銀行員の年収は、勤務先の規模や担当職務、そして経験年数などによって大きく異なり、年齢やキャリアを重ねることで高水準に達する場合もあります。
では、銀行員の平均年収はどの程度なのでしょうか。
11月は冬のボーナスを意識する時期でもあり、賞与の金額が注目される季節です。
本記事では元銀行員である筆者が、銀行員の平均年収を年代別に整理し、全体の平均値と照らし合わせながら、給与実態を解説していきます。
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【元銀行員が解説】銀行員の「年収」はどのくらいが平均?
政府統計の総合窓口が実施した「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、銀行員の平均年収は「約631万1200円」と示されています。
・平均年収:約631万1200円きまって支給する現金給与額:40万1900円年間賞与・その他特別給与額:148万8400円
なお、同調査によると、銀行員の毎月の基本給や諸手当を含む平均月額給与は「40万1900円」、年数回の賞与や臨時手当の平均は「148万8400円」と報告されています。
上記は「全年齢を含む銀行員」の平均給与ですが、「日本の給与所得者全体」の水準と比べた場合、その差はどの程度あるのでしょうか。
●銀行員の平均年収を「日本の給与所得者全体」と比較
国税庁が公表した「令和6年分民間給与実態統計調査結果」によると、給与所得者の平均年収は478万円でした。
1年間を通して勤務した人の平均給与は4年連続で増加し過去最高を更新していますが、それでも銀行員の平均と比較すると依然として低い水準にとどまっています。
さらに、国税庁の同調査では、1年間勤務した給与所得者の平均賞与は75万円とされており、この点でも銀行員のほうが水準は高いといえます。
ただし、ここで示しているのは全年齢を含む平均値であり、収入は年齢層によって大きく変動します。
次章では、年代別に銀行員の平均的な「月給・賞与・年収」を確認していきましょう。
【年齢別で見る】銀行員の「月給・賞与・年収」を一覧表でチェック!
政府統計の総合窓口「賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査」によると、年齢別における銀行員の平均的な「月給・賞与・年収」は、以下の結果となりました。
※ここでは、銀行員が該当する「金融営業職業従事者」を指します。
●【銀行員の収入事情】年齢層:平均月収:ボーナス一覧
・~19歳:18万8100円:12万500円
・20~24歳:27万6800円:48万3100円
・25~29歳:33万9100円:119万600円
・30~34歳:40万5200円:158万3400円
・35~39歳:46万4200円:189万3700円
・40~44歳:49万600円:213万7400円
・45~49歳:46万4500円:183万円
・50~54歳:47万2200円:186万7000円
・55~59歳:45万5100円:170万9100円
・60~64歳:33万4100円:109万7600円
・65~69歳:33万6700円:100万9200円
・70歳~:26万8400円:35万1900円
銀行員の収入は、20歳代後半から30歳代前半にかけて大きく増加し、40歳代前半でピークを迎えます。
40歳代以降は少しずつ減少し始め、定年前後を境に再雇用といった影響から大幅に減少します。
次章では、「銀行員の年齢別の平均年収」を「給与所得者全体の年齢別の平均年収」と比較していきます。
●【最新データと比較】給与所得者の「年代別の平均年収」はいくら?
次に、国税庁が発表した「令和6年分 民間給与実態統計調査」のデータをもとに、給与所得者全体の平均年収と、銀行員の平均年収を比較していきます。
【給与所得者全体の平均年収(銀行員の平均年収)】
・~19歳:118万円(237万7700円)
・20 ~ 24歳:277万円(380万4700円)
・25 ~ 29歳:407万円(525万9800円)
・30 ~ 34歳:449万円(644万5800円)
・35 ~ 39歳:482万円(746万4100円)
・40 ~ 44歳:516万円(802万4600円)
・45 ~ 49歳:540万円(740万4000円)
・50 ~ 54歳:559万円(753万3400円)
・55 ~ 59歳:572万円(717万300円)
・60 ~ 64歳:473万円(510万6800円)
・65 ~ 69歳:370万円(504万9600円)
・70歳~:305万円(357万2700円)
どの年代を見ても、銀行員の平均年収は全体の平均を大きく上回っており、「銀行員は高収入に分類される職業である」といえる結果となっています。
では、経験年数別の場合はどうでしょうか。
【経験年数別で見る】銀行員の「月給・賞与・年収」を一覧表でチェック!
政府統計の総合窓口「賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査」によると、経験年数別における銀行員の平均的な「月給・賞与・年収」は、以下の結果となりました。
経験1~4年の段階で収入は大きく伸び、5~14年の中堅層では賞与の増加により年収が安定して上昇します。
15年以上のベテランになると、役職や責任の度合いに応じて、さらに年収が高くなります。
また、国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」では、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与を「勤続年数別」にみた場合、最も高い水準は30~34年で751万円でした。
このデータは経験年数ではなく勤続年数に基づくものですが、同一の職種や企業で働き続ける期間が長くなるほど収入が増えるという傾向は、給与所得者全体に共通して見られると考えられます。
銀行員なら高収入も夢ではない!しかし本当に「安泰な職業」と言えるのか
本記事では元銀行員である筆者が、銀行員の給与実態について解説していきました。
銀行員の収入は、どの年代においても給与所得者全体の平均を上回っており、高収入の職業である一方で、「銀行員であれば将来も安泰」とは言い切れません。
近年では、デジタル化やAIの進展により、銀行員の立場は従来ほど安定的とはいえなくなっています。
このような時代背景を踏まえると、将来にわたり安定したキャリアを築くためには、変化を柔軟に受け入れながらスキルを磨き続ける姿勢が求められます。
従来の「安定職」というイメージに依存せず、成長を意識することが今後はより一層重要になるでしょう。
参考資料
・政府統計の総合窓口「賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査」
・国税庁「令和6年分民間給与実態統計調査結果について」
中本 智恵
最終更新:11/16(日) 7:30