可愛いすぎるだろ…第4世代MINI「史上初の試み」とは?【試乗記】

5/22 17:32 配信

ダイヤモンド・オンライン

 MINIはドライビングだけでなく、ライフスタイルそのものを楽しむクルマの代表。BMWが手がける第4世代のMINIがデビューした。発表会にはデザイン責任者のオリバー・ハイルマー氏も来日。さらにチャーミングになった造形をアピールしてくれた。BEVも登場した最新MINIはいままで以上に惹かれる。

● MINI史上初の試みが 始まろうとしている

 MINIが新世代へと飛翔した。先日、新しい3ドアハッチバックのMINIクーパーとMINIカントリーマンがお披露目されたのだ。HBモデルは従来グレード名だった“クーパー”がシリーズ名称となり、ピュアBEVモデルが新登場。カントリーマンは、モデルチェンジを機に“クロスオーバー”から名称を一新すると同時に、日本仕様にもBEVモデルが加わった。

 MINI新世代化の兆候は昨年から見えていた。スタートは2023年3月のクラブマン“ファイナルエディション”の発表。クラブマンは5ドアハッチバックと競合していたものの根強い人気を誇っていた。それが終わることが宣言されたのだ。1969年に端を発するモデル名の終焉はそれなりに意味があると感じた。それから半年後、昨年9月にMINIカントリーマンがワールドプレミアされ、新型はBEVをラインアップすることがアナウンスされた。BEV登場は、新規プラットフォームの採用を意味する。いよいよBEV時代に移行。MINI史上初の試みが始まろうとしている。

 新たな流れを実感しようと2月中旬新型MINIカントリーマンをテストドライブした。場所はポルトガルのリスボンである。ところで、カントリーマンという新名称だが、これはそもそもグローバルで使われていたモデル名である。クラブマン同様クラシック・ミニの時代から親しまれているネーミングだ。だが日本では商標登録上、長年使えなかった。それも一件落着したのだろう。第3世代のクロスオーバーは“本名”を名乗ることとなった。

 新型MINIカントリーマンのプラットフォームはBMW・X2/iX2と共有する。というか、X1/iX1と同じ。BMWのプレミアムコンパクトSUV用として開発されたユニットをベースにしている。構造上ICE(内燃機関)とBEVでシェアできるのがポイント。と同時に走りのよさは実証済みである。軽量かつ高いボディ剛性が操縦安定性を高め、柔らかいセッティングを可能にしたサスペンションが、快適な乗り心地と高いコーナリングスタビリティを産む。

● “ゴーカートフィール”が心地いい BEVになっても楽しい走りは健在

 見事な走りのエビデンスとなるのは“2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー”の選考結果だ。BMW・X1/iX1は高い評価を得て“インポート・カー・オブ・ザ・イヤー”に輝いた。選考委員を務めるモータージャーナリストの多くが、その走りのよさに得点を入れた。そのプラットフォームをMINIらしくセットアップしたのが今回のカントリーマンである。

 デザインはキープコンセプトといっていい。グリルとヘッドライトの位置関係、各ピラーの立ち方はこれまでと変わらない。ルーフラインも同様のイメージだ。が、ディテールは新しさをかもし出す。LEDを使ったヘッドライトユニットのシグネチャーやテールランプのユニオンジャックを連想させる光のライン、八角形のグリルやバンパーの形状は凝っている。そこにトレンドも注入されている。

 インテリアも新鮮だ。いちばんの注目はメータークラスターを廃止した点だろう。ドライバーへの情報伝達は大型センターモニターとフルカラーヘッドアップディスプレイとなる。大型センターモニターは手が込んでいて、いろいろなデザインが楽しめる。クラシックとかスポーツとかをテーマに、まったく異なるデザインを映し出し、車内の雰囲気を変えるのだ。いうなれば、デザイナーが遊んでいるような演出、まさに“MINIらしさ”。他のブランドではできないワザだ。

 走りの印象も素晴らしい。ステアリングを握ったのは、カントリーマンSE・ALL4とジョン・クーパー・ワークス・カントリーマンの2種類。前者がBEV、後者がハイパフォーマンスICEとなる。日本仕様にはBEVとしてもう1台出力を抑えてFWDにしたカントリーマンEがあり、ICE仕様は1.5L直3ターボのカントリーマンC、2L直4ターボのカントリーマンS・ALL4、そして2L直4ディーゼルターボを積んだカントリーマンDがラインアップされる。ちなみにディーゼルは日本専売モデルと聞いた。

● 現在BEVでこれだけ走りが楽しめるのは このプラットフォームしかない

 カントリーマンSE ALL4の走りは、すべてのレベルが高い。低速域から高速域までBEVであることを忘れさせる軽快さが際立っていた。スタートも好印象。アクセルに対するリニアな加速に不自然さはない。初速からいきなり太いトルクが立ち上がることはなく、踏みしろに比例するカタチで出力を発揮する。そしてワインディングに入ると床下にバッテリーを敷き詰めているのを忘れさせるフットワークのよさを見せつける。ここがMINIの個性。ほとんどのメーカーのBEVは“もっさりした重さ”を感じさせるのだが、それがない。また、回生ブレーキがコーナーの手前のアクセルオフでいい感じに利くのも美点。いかにも“ゴーカートフィール”をコンセプトにを掲げるMINIらしい。開発陣は走りのツボを熟知している。現在BEVでこれだけ走りが楽しめるのは、このプラットフォームしかないだろう。

 MINIジョン・クーパー・ワークス・カントリーマンも抜群に楽しかった。これまでと同様パワーもフットワークもスタンダードモデルのひとつ上をいく。とにかく速い。が、固められたサスペンションは少々乗り味を悪くする。試乗車の20インチのピレリP-ZEROだと、路面によっては気になるピッチングが発生した。

 新型MINIカントリーマンとのファーストコンタクトは上々だった。日本でもこれから触れるタイミングが増えるだろう。パワーソースの豊富さからも魅力あるモデルであることは間違いない。もちろん年央に上陸予定の3ドアハッチのMINIクーパーも大いに気になる。MINIは力強く前進した。

 (CAR and DRIVER編集部 報告/九島辰也 写真/MINI)

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最終更新:5/22(水) 17:32

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