外国語習得の最短ルートは「勉強しない」こと 歯磨きをするように言語を学ぶコツ

4/30 14:02 配信

東洋経済オンライン

日本で生まれ育ちながら、英語から、世界最難関のアラビア語まで、約5年間で12ヵ国語(スペイン語、英語、フランス語、アラビア語、インドネシア語、ロシア語、ポルトガル語、ドイツ語、トルコ語、中国語、タイ語、韓国語)を習得したKazu Languages氏。「私は語学の達人ではありません」と語る同氏は、効率的に外国語を習得する秘訣は「勉強しないこと」だという。その驚くべき学習法とはどのようなものか、著書の『ゼロから12ヵ国語マスターした私の最強の外国語習得法』よりご紹介します。

■語学は「勉強」するほど身につかない

 「外国語を自由自在に使えたらいいな」──きっと多くの人が、一度は夢見たことがあるのではないでしょうか。

 一方で、「何度か外国語習得にトライしたけれど、挫折してしまった」という方もいらっしゃると思います。「外国語習得は難しいもの・大変なもの」と刷り込まれて、半ば諦めている人も少なくないと思います。

 なんともったいないことでしょう。「学び方」さえ工夫すれば、外国語習得は、それほど難しくも大変でもありません。誰でも、いつからでも、何語でも、何ヵ国語でも、習得できる。私自身、日本で生まれ、育ちましたが、実体験からそう断言できます。

 私も、以前は外国語を習得するのは難しいと思っていました。

 でも、今ならわかります。外国語習得を難しいと感じるのは、それを「勉強」として捉えているからなんだ、と。

 「外国語習得」とは、外国語を「勉強」するということではないの?  という声が聞こえてきそうですが、私は明確に違うと考えています。そして不思議なことに、外国語学習を「勉強」と捉えるほど、習得というゴールは遠くなってしまうのです。

 私は、学校の「英語の授業」がどうしても好きになれませんでした。しかし、ある時外国の言語や文化への関心が高まり、気付けば5年間でスペイン語、英語、フランス語、アラビア語、インドネシア語、ロシア語、ポルトガル語、ドイツ語、トルコ語、中国語、タイ語、韓国語の12ヵ国語をマスターしていました。

 今、その違いは何だったのか。今振り返ってみると、当時は「勉強」でしかありませんでした。

 もっと言えば、いつどこで役立つのかわからない知識を、ひたすら頭に入れて、テストで合格点を取るためだけのものになってしまっていたように思います。それでは身につかなかったのは無理もありません。

 しかし、スペイン語をはじめとする12ヵ国語の習得は、実際に取り組んでみると「勉強」ではありませんでした。自在に使えるようになりたい一心で学び方をゼロから見直したことで、習得までの道のりのすべてがワクワクに満ちたものになりました。

■歯磨きをするように言語を学ぶ――習慣化のコツ

 外国語学習継続の最大のコツは習慣化です。

 たとえば朝、顔を洗う。歯磨きをする。これらの行動は当たり前すぎて、「面倒くさいな。今日はいいか……」なんて思う人はいないでしょう。これに匹敵するくらい当たり前の習慣として、外国語学習が日常に組み込まれると、「面倒くさいな。今日はいいか……」と思うまでもなく継続できます。それどころか学習時間をもたないと気持ち悪いくらいになるかもしれません。

 そのためには、1日のうちの「どのタイミングに勉強するのか」をあらかじめ決めておくことをおすすめします。外国語学習の継続の秘訣も、習慣化と密接に結びついています。

 「朝、起きたら顔を洗う」「食後に必ず歯を磨く」というように、「昼休みになったらPimsleurを開く」「通勤中はPodcastを聴く」というようにタイミングを決めておくと、日常生活の中で習慣化しやすいでしょう。

 ちなみに私は、朝は脳がリフレッシュされていて集中力が高いような気がするので、起床直後を外国語学習の時間としています。

 また、1日にどれくらい勉強するかを「時間の長さ」ではなく「量」で決めることも大切です。たとえば、「1日に1レッスンを終わらせる」という具合にです。「時間の長さ」は一見、わかりやすい目安なのですが、「毎日、学習の充実度が高かろうと、最低でも30分勉強する」といった決め方だと、その30分をダラダラ過ごしてしまうかもしれません。

 すると、学習の充実度が低い場合でも、決まった時間をただこなすだけで「今日もクリアした」と見なしてしまうという落とし穴があります。すると、「毎日、勉強時間を確保している割にぜんぜん上達しない」という状況に陥る危険性があります。

 また、1日あたりの勉強量を決めないままだと、やる気満々でいられる学習の初期段階はたくさん量をこなせても、徐々に失速し、いつの間にか学習習慣すらも失われる危険があります。1日に決まった量を学ぶことにすれば、こうした事態は避けられるというわけです。

 「今日はこのフレーズを覚えた」「この会話文を理解した」「この文法を覚えた」といった達成感を毎日、得られることも、継続の推進力になるでしょう。

 毎日、一定のペースで学んでいくことが、結局のところ最も確実なのです。

■やる気より「環境づくり」が大事

 いくら自分の意思で外国語学習を始めたとしても、モチベーションの維持は、おそらく誰にとっても悩みの種だと思います。三日坊主を繰り返してきたという人も多いかもしれません。特にモチベーションが下がりやすいのは学び始めて少し経ったころです。

 私も、日によってモチベーションが高かったり低かったりします。最初はやる気満々ですし、ひとつ学ぶごとに上達を実感できてモチベーションが維持しやすいのですが、その言語に少し慣れてくると、ある種の停滞期に突入することが多い気がします。そうなったときに、いかに一定のペースで学習を進めるかは常に課題になっています。

 そして最終的にたどり着いた答えは、「そもそもモチベーションに頼らないほうがいい」ということです。

 モチベーションとは心理的なものです。そして人の心理は日々、移り変わるのが自然であり、ひとつのかたちに留めておくことなどできません。そんな不確かなものに頼ろうとすること自体、危ういのではないか。どうしてもやる気が起こらないときに気持ちで乗り越えようとするのは難しいのではないかと気付いたのです。

 飽くことなく外国語学習を続けるには、おそらく「気付いたら今日もちょっとはかどっていた」という現象を起こし続けることが重要なのだと思います。自分の「やる気」には頼らないとすれば、どのようにすればそんな現象を起こせるでしょうか。

■取り掛かるまでが一番のハードル

 鍵となるのは「物理的な環境」です。

 たいていは取り掛かるまでが一番のハードルなので、モチベーションが高かろうと低かろうと、できるだけサッと学習に取り掛かれるよう「最初の一歩」のハードルが低い環境を作っておくということです。こうしてひとたび取り掛かってしまえば、気付いたときには1日分の学習量を難なくこなしている、そんなものなのです。

 そのために私が実践しているのは、「教材をしまいこまずに、すぐに目につくところに置いておく」「学習に使用しているYouTubeチャンネルのページを開きっぱなしにしておく」「音声教材をダウンロードしてすぐに再生できるようにしておく」といったことです。

 このように「決まったタイミングに、決まった量を学習する」「サッと取り掛かれる環境づくりをする」というのは、いってみれば外国語学習の習慣化の最低ラインといえるでしょう。

東洋経済オンライン

関連ニュース

最終更新:4/30(火) 14:02

東洋経済オンライン

最近見た銘柄

ヘッドラインニュース

マーケット指標

株式ランキング