説明しにくい気持ちを上手く伝える魔法の言葉 仲間の輪に入りづらい子でもスッと入れる話し方

4/16 13:02 配信

東洋経済オンライン

学校でクラスのみんなが盛り上がっているけど、どうやって話の輪に入っていいかわからない。友だちに自分の気持ちを上手く伝えられない。そんな子どもに親から何かアドバイスができるでしょうか。
子どもの小学校生活で、「仲間に入りたい」「嫌なことを言わないでほしい」「教えてほしい」「意見を言いたい」など、シチュエーションにあわせた言い方と、その考え方を紹介している齋藤孝さんの新刊『こんなときどう言う? 事典』より一部抜粋、再構成してお届けします。

■話の中に飛びこんでみよう

 <学校に行ったら、みんなもりあがっていて、出遅れたみたい!  話に入りたい!>

基本)「ねえねえ、入れて入れて」と何度も言ってみよう
できる! )「へえー、へえー」って感じで反応しながら入っていく
これだけでもOK)うなずいたり、反応したりしながらそばで聞いているだけでもいいと思う
 <「へえ~」と言いながら話の輪に入っていってみよう>

 みなさんは大なわとびって知ってるかな?  長いなわを回して、みんなでとぶ競技のことです。あのなわが回っているところに、1人ずつ入っていくときって、うまくタイミングをみないといけないよね? 

 会話に入るコツも、大なわとびと同じです。うまくタイミングを見て、「へえー」と反応をすることで、スッと会話に入っていけます。

 もちろん、仲よしの相手なら、「何の話をしてたの?」と聞いても大丈夫です。しかし、そんなに仲がよくない相手に聞いてしまうと、「今、仲間だけで話をしていたのに」と思われてしまうこともあるし、相手の話の腰を折ってしまうことにもなります。

 だから、まずはタイミングを見て、「へえー、そうなんだ」とあいづちを打ちながら話の中に飛びこんでみてほしいんだ。

 最初のうちは「何の話だろう?」と思うことがあるかもしれませんが、聞いているうちに話がわかってくるはずですからね。

 そして「話が聞こえちゃったから、ぼくも反応するね」といった感じで、「へえー」とうなずいたりして、話題やその場の雰囲気になじむようにしてみてほしいんです。この「なじむ」ということが、かんたんに言うと、「いっしょの話題を話せる仲間になる」ということなのではないかなと、ぼくは思います。

■表情だけでも会話はできる

 どうしても「声をかけにくいな」と思ったら、近くにいてうなずいたり、表情で反応したりしてもいいんじゃないかな?  それでも十分、「いっしょに聞いてくれてるんだな」と伝わりますから。

 ぼくは以前、知っている言葉がまったく通じない人と話したことがあるんです。それは北極圏に住む「イヌイット」という民族の人なんだけど、お互いにまったく言葉がわからないのに、1時間ぐらいもりあがったんだよね。

 話はわからなくても、相手が笑ったらぼくも笑う、みたいなことをしたり、ぼくが飲みものを飲んだら、相手も飲んで乾杯したり……。あるいは、イヌイットの言葉を言ってもらって、それをぼくがくり返すと、相手は「ちょっとちがうな」みたいな表情で、言葉を教えてくれようとしたりね。そんなことでも十分にもりあがれたのです。

 つまり、人間というのは、言葉だけで会話をしているわけではないのです。表情やあいづちのような体の表現でも、十分に会話として成り立つこともあるんです。

 それには、お互いに様子をよく見て、気を合わせたり、笑顔でいることを心がけたりすることが大切だけどね。

 だから、「わたしもみんなといっしょにいるよ」という雰囲気を出せば、無理に話しかけなくても大丈夫だと思いますよ。

 POINT 反応を返しているだけで話には加われる

 <自分の気持ちを説明したいけど、うまく言葉にできない。正しくないかもしれないし、よくわからない>

基本)「~かもしれない」ことを思いつく限り話そう
できる! )友だちに「こういうこと?」って質問してもらったら? 
これだけでもOK)「うまく言葉にできないんだけど」という前置きをして、なにかしら言えばいいと思うよ
 <気持ちって、もともと伝えにくいものなんです>

 気持ちって、目に見えないものですよね。ということは、形にできないものですし、言葉にするのもけっこう大変なんです。

 「『悲しい』とか、『うれしい』みたいに、言葉にできるんじゃないの?」と思うかもしれないけど、きみが思っている「うれしい」と、ぼくが思っている「うれしい」が、まったく同じかといったら、ちがうよね?  それに、きみが今日「うれしい」と思ったことと、1年前に思った「うれしい」も、まったく同じではないと思うんだ。

 その「うれしい」のちがいを言葉で説明するとなったら、けっこう大変だよね。だから、気持ちというのは、かんたんに説明できるものではないということを、まずは覚えておいてください。

■言葉足らずでも大丈夫

 それでも、どうしても自分の気持ちを伝えたいときや、伝えなくてはならないときがあると思います。「悲しい」とか「うれしい」といった言葉で言い表せないようなモヤモヤした気分だったり、「うれしいけどさびしい」みたいな、2つの気持ちが混じっていたりするときは、どうやって伝えればいいのか悩むかもしれません。

 そんなときのための、魔法の言葉があるんです。それは「うまく言葉にできないんだけど」です。

 これをつけて話すことで、相手は「きっとうまく説明できないけど、一生懸命話そうとしているんだな」と気づいてくれます。そして、あなたの説明が言葉足らずであったとしても、「もしかして、こういうことなの?」と、相手が言葉を付け加えてくれることもあります。

 その後は、「なんとなくこんな感じかな?」「でも、ほかにはこういう気持ちもあるかもしれない」「いや、そうじゃなく、別の気持ちかもしれない」といったように、ぼんやりしていても、できるだけ自分の気持ちに近い表現で伝えるようにしてみてほしいんだ。

 気持ちはもともと伝えにくいものなんだから、1回で決めつけるような言い方はしなくても大丈夫です。まずは、「かもしれない」という感じで、思いつく限りの気持ちを表す言葉を口にしてみます。

 そうすると、相手も「つまり、○○って気持ちなの?」「わたしが○○のときの気持ちと同じかな?」なんて、いろいろと考えてくれたりします。そこから、「たしかにそういう気持ちかも!」と気づけたりします。

 そうやってやりとりしているうちに、だんだんと自分でも気持ちを深く理解できるようになって、「こういう気持ちだったんだ」と、はっきりとした言葉で説明できるようにもなりますよ。

 POINT 気持ちを言葉にするには、いろいろ言葉を試してみる

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最終更新:4/16(火) 13:02

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