厚生年金、「平均年収600万円」で「40年間」働いてきた会社員がもらえる将来の年金額は月額いくら?

11/16 14:15 配信

LIMO

物価高がいつまで続くのか、先行きが見通しにくい状況が続いています。とくに年金が収入の柱となるシニア世代の方は、この状況に不安を感じている人も少なくないはずです。

将来受け取る年金額は、自分がどのような職業に就き、何年働いたか、給料や賞与をいくら受け取ったかによって異なります。一般的に、納めた額が多ければ年金は増え、少なければ減ることになります。

11月は、来年の準備を始める人が多い季節。年金や生活設計を見直すことで、物価高の不安を少しでも減らし、安心して新年を迎えるための第一歩になります。

そこで今回の記事では、生涯の平均年収が600万円で、40年間勤務してきた方が受け取る年金額がいくらかになるか、お伝えします。

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おさらい|公的年金制度の仕組みは?

●年金制度の概要

日本の公的年金制度は、国民年金と厚生年金の2階建て構造になっています。1階部分が国民年金(基礎年金)に当たり、2階部分が厚生年金部分になります。

日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入するのが国民年金です。加入者は職業などによって、「第1号被保険者」「第2号被保険者」「第3号被保険者」の3つのいずれかに分類されます。

 ・第1号被保険者・・・自営業者や学生、無職の方など
 ・第2号被保険者・・・会社員や公務員など
 ・第3号被保険者・・・第2号被保険者に扶養されている配偶者
自営業者やフリーランス、学生などは第1号被保険者となり、厚生年金に加入していない方は、第1号被保険者か第3号被保険者のいずれかとなります。

会社員や公務員は第2号被保険者に分類され、国民年金と厚生年金、両方の制度に加入することになります。

●年金保険料は? 
国民年金保険料は毎年度見直され、令和7年度の国民年金保険料は1万7510円です。

第1号被保険者の場合、保険料は自分で納付し、原則として40年間(480カ月)納付する必要がありますが、学生の方や事情により納付が困難な方には免除や猶予などの特例措置が設けられています。

全期間納付すると、年金は満額が受け取れます。令和7年度は、満額支給だと月額で6万9308円になります。

会社員や公務員は国民年金と厚生年金、両方の制度に加入することになりますが、保険料は会社が半分を負担してくれるので、自己負担額は半分になります。保険料は、厚生年金保険料として給与から天引きされます。

保険料の計算は、給料や賞与額から標準報酬月額、標準賞与額を決定し、これに保険料率をかけて計算されます。

また、第3号被保険者は第2号被保険者の被扶養者なので、保険料は加入制度が負担し自己負担がありません。

厚生年金と国民年金の平均受給額はいくら?

厚生年金の受給額を計算する前に、まずは厚生年金と国民年金、それぞれの平均受給月額がいくらなのか確認してみましょう。

厚生年金(第1号)
※国民年金部分を含む

 ・全体:14万6429円
 ・男性:16万6606円
 ・女性:10万7200円
国民年金

 ・全体:5万7584円
 ・男性:5万9965円
 ・女性:5万5777円
国民年金受給者の平均年金月額は約6万円、厚生年金受給者の平均年金月額は約15万円となっています。

厚生年金と国民年金の受取額には、現役時代の働き方、給与や賞与の額、また、どの保険制度に何年加入していたかなど、いくつかの要因によって個人差が生じやすくなります。

また、厚生年金の男女間の差に関しては、男女のライフスタイルの差から生じていると考えられます。

現代のシニアが現役時代の頃は、男女の働き方の差が大きい時代でした。しかし、現在では男女の働き方の差は以前より縮小しています。

近年は女性が結婚や出産を経ても働き続けることを選択する方が増えているので、時代が進むにつれ、受給額の差は縮小していくと想定されます。

年収600万円・勤続40年の会社員の年金額を試算

自分が受け取る年金額は、ねんきん定期便やねんきんネットでも確認することができますが、自分で大まかに計算することも可能です。

ここからは、仮に生涯の平均年収が600万円で、民間企業で40年間勤務した方の年金受給額がいくらになるか、計算してみましょう。

この方は第2号被保険者に該当し、国民年金(老齢基礎年金)と厚生年金(老齢厚生年金)が受け取れます。まずは、国民年金から計算していきます。

●国民年金|受給額の計算式(令和7年4月分から)
老齢基礎年金の計算式は下記のとおりです。

83万1700円×(保険料納付済み月数/加入可能年数×12月)※昭和31年4月2日以後生まれの方

満額の保険料を納めた場合、納付済み月数は480月で、乗数は1になります。したがって、老齢基礎年金部分として83万1700円((1))が受け取れます。

次に、厚生年金を計算してみます。

●厚生年金|受給額の計算式(令和7年4月分から)
老齢厚生年金の計算式は以下のとおりです。

年金額=報酬比例部分(※)+経過的加算+加給年金額

※報酬比例部分の計算

報酬比例部分=A+B
・A(2003年3月までの加入期間):平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの加入期間の月数
・B(2003年4月以降の加入期間):平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間の月数

年金の大部分は報酬比例部分が占めているので、今回の計算では経過的加算と加給年金額は無しとします。

ちなみに、厚生年金の経過的加算とは、過去の年金制度改正で、制度をまたがることによって生じる格差を解消するために設けられた制度のことです。一方、加給年金とは、生計をともにする配偶者や子供がいる方に支給される年金のことです。

それでは、上記の式から厚生年金を計算します。なお、今回のケースでは、2003年4月以降に厚生年金に加入したものとして、計算式Bのみを使用します。

生涯の平均年収が600万円の場合、月あたりの収入は50万円で、平均標準報酬額は50万円になります。

50万円×5.481/1000×480月で、厚生年金の受給額は131万5440円((2))です。

(1)と(2)を合算すると、214万7140円となり、月額換算すると17万8928円となります。よって、この方の年金月額は約18万円ということになります。

まとめにかえて

今回の記事では、年収600万円で40年間勤務してきた方が受け取る年金額がいくらかになるか、お伝えしました。

日本の年金制度は、仕組みや計算が複雑なだけでなく、年金に関する用語を理解するのが難しい場合もあります。

年金について詳しく知りたい方、あるいは分からないことがある方は、自分で調べてみるほか、お住まいの年金事務所や社労士やFP(ファイナンシャルプランナー)に尋ねてみるのもひとつの方法です。

とくに年金額に関しては、自身で把握しておくと、老後の生活費をどれくらいに設定できるかがわかり、足りない場合は対策を講じることもできます。

早めに老後準備を始めることもできるので、自分がいくら受け取れるか分からない方は、調べてみてはいかがでしょうか。

参考資料

 ・日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
 ・厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
 ・日本年金機構「老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額」
 ・日本年金機構「は行 報酬比例部分」
 ・日本年金機構「○令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和7年度版)」

土屋 史恵

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最終更新:11/16(日) 17:25

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