ミドル&シニアのための“超王道”投資術第4回「3人の投資賢者が教える、新NISAで買った銘柄とその戦略」

5/11 8:32 配信

ダイヤモンド・オンライン

 2024年1月からスタートした新NISA。制度が恒久化され、非課税保有期間が無期限になるなど、これまで以上に使い勝手の良い制度へと進化した。連載第4回となる今回は、投資のプロが新NISAをどのように活用しているかについて、ファイナンシャル・プランナーの藤原久敏氏、投資系YouTuberのぽんちよ氏、個人投資家の坂本慎太郎氏の3人にそれぞれの戦略を語ってもらった。

 ※本ホームページに掲載されている事項は、証券投資の勧誘を目的としたものではありません。最終的な投資の決定は、ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。

● FP・藤原氏のつみたて投資枠は手堅く分散投資して、低コスト・低リスクで資産形成

 ――FP事務所の代表を務め、投資の著書も多数ある藤原氏ですが、ご自身の新NISAの活用方法について教えてください。

 基本的には、つみたて投資枠で手堅く積み立てながら、成長投資枠で応援したい個別銘柄をスポット購入しています。

 具体的には、つみたて投資枠では、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」「〈購入・換金手数料なし〉ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)」の3本にそれぞれ1万円ずつ投資しています。

 「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」は全世界の幅広い株式に低コストで分散投資できる商品で、運用成績も抜群です。

 「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」は国内外の株式や債券、REIT(不動産投資信託)などの八つの投資先に分散投資できるバランスファンド、「〈購入・換金手数料なし〉ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)」は、国内外の株式と債券の四つの主要資産に均等に投資するバランスファンドで、どちらも手堅い運用が期待できます。

 また、「〈購入・換金手数料なし〉ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)」は、運用資産バランスがGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)と同じ比率ということで、直近年利3.97%で日本の公的年金を運用しているアセットアロケーションに乗っかってみたいという興味もあります。

 次ページでは、投資のプロである藤原氏が陥った“わな”とそこから学んだ教訓を紹介するとともに、他の2人のNISA活用法を解説していきます。

 ――つみたて投資枠では月10万円まで非課税で投資できますが、積立金額を月3万円に抑えている理由を教えてください。

 現在、相場がだいぶ上がっていることもあって、取りあえずは月3万円で様子見をしている状態です。

 ただ、ここで強く言っておきたいのは、「せっかくの非課税枠なのだから使い切らないと損」という考え方は危険だということ。

 投資枠を埋めるためだけに、無理して積立金額を大きくしたり、欲しくない銘柄に妥協して投資したりするのは、本末転倒です。

 ――なるほど。それでは成長投資枠の活用はどうされていますか。

 成長投資枠では、個別銘柄のスポット買いに充てており、応援したい企業の銘柄を厳選して買っています。具体的に現在保有しているのはマンダムとカシオ計算機です。どちらも私にとっては非常に身近で関心のある企業で、一生保有したいなと思える銘柄です。

● 旧NISAでは無理に枠を埋めようとして失敗

 ――個別銘柄を選ぶ上で他に重視しているポイントはありますか。

 新NISAで購入する銘柄は長期での保有を考えているため、配当利回りは重視しています。

 具体的な配当利回りの目安は3%で、マンダムとカシオ計算機は両方ともその目安をクリアしており、将来的にも大きな減配はないと考えています。

 また、長期保有の場合には企業の将来性も重要なポイントとなります。将来性を測る指標はさまざまですが、私の場合は海外の売上比率に注目しており、マンダムはインドネシアなどの売上比率が高く、東南アジアの成長性を取り込めることを期待しています。カシオも海外の売上比率が80%弱と非常に高く、世界的に人気が確立しているジーショックのような商品があることも大きな強みです。

 かくいう私自身も、旧NISAのときに、年間の120万円の枠を埋めようと欲しくない銘柄を無理やり買って、後悔したことがありました。「使わないと損」はついつい陥りがちな考えですが、投資判断を曇らせる原因になるため、注意してください。

● 投資系YouTuber・ぽんちよ氏はクレカのポイントをもらいながら両枠違った戦略で投資

 ――YouTubeのチャンネル登録者数は44万人を誇り、初心者に向けて投資の情報発信をされているぽんちよ氏ですが、新NISAはどのように活用していますか。

 私は楽天証券で新NISA口座を開設しているのですが、楽天証券では、楽天カードと楽天キャッシュを併用することで、楽天ポイントを獲得しながら毎月15万円までキャッシュレスで投信積み立てができるんですね。クレカ(クレジットカード)のポイントは買い物にも使えるし、投資にも回せるのでお得です。

 私は、つみたて投資枠では米S&P 500系の投資信託に10万円を積み立てて、残りの5万円は成長投資枠でインド株式系の投資信託に積み立てています。後は、それとは別に米国高配当株式ETFのVYM(バンガード・米国高配当株式ETF)を一部購入しています。

 ――S&P 500系の投資信託はどのような理由で選んだのでしょうか。

 S&P 500系の投資信託は、米国企業を代表する約500社の株式に分散投資できる商品です。米国が今後も世界経済の行方を握る国だということは間違いないと思うので、米国株式型の投資信託に投資をしておきたいという理由で選びました。

 特にS&P 500の約500社というのは世界で活躍する企業ばかりなので、この商品一つで全世界に幅広く分散投資をしているのと同等のリスク分散効果を得ることができます。

 また、私自身がまだ若いので、S&P 500系の投資信託で積極的にリターンを狙っていきたいという思いもあります。特に新NISAでは投資で得られた利益が非課税になるので、できるだけ新NISA口座内ではリターンを狙っていきたいですね。

 ――成長投資枠で選んだ二つの商品についてはどうでしょうか。

 インドは労働力人口の割合が非常に高い国で、今後もどんどん経済成長していくことが予想されます。そうした点に魅力を感じて、インド株式系の投資信託への投資を決めました。

 米国以外の国に投資することでリスク分散しつつ、高いリターンを期待することができます。

 成長投資枠のもう一つの米国高配当株式ETFのVYMは、配当利回りが3%程度の高配当株の詰め合わせパックです。VYMに成長性のある企業も多数含まれているため、今後の株価の伸びと増配の可能性を期待して投資しています。配当金は再投資に回すことで複利効果の恩恵も得られます。また、将来的には現金収入として生活費に活用していこうと考えています。

● 50代以降の人はバランス型投信の利用がお薦め

 ――投資初心者に向けて投資する商品を選ぶ際のアドバイスをお願いします。

 自分の投資スタンスに合った商品を選ぶことが大切です。例えば、若くてこれからガンガン資産を増やしていきたいという人は、米国株式系の投資信託がお薦めです。

 私が投資しているS&P 500系の投資信託も良いですが、よりリターンを狙いにいくのであれば、ハイテク銘柄や成長銘柄を中心に構成されている米ナスダック100系の投資信託も有力な候補といえます。

 逆に、50代以降の世代で投資期間がそこまで長く取れない人には、債券を含んだバランス型ファンドがお薦めです。債券は株式と比べてリターンは劣る一方で値動きが小さい傾向にあり、安定した資産形成を行いたい人に向いている金融商品です。また、債券の値動きは株式と反対に動くことが多く、株式市場暴落時のクッションにもなりますよ。

● 投資スクール所長・坂本氏はつみたて投資枠は利用せず、成長投資枠一択の上級者向け攻めの投資

 ――株式トレードスクール「こころトレード研究所」の所長を務め、個人投資家として「Bコミ」のハンドルネームでも知られる坂本氏ですが、ご自身の新NISAの活用方法について教えてください。

 つみたて投資枠は利用していません。つみたて投資枠では購入できる商品が限られているため、自分の理想とするアセットアロケーションを組めないからです。つみたて投資枠の対象商品の要件には「主たる投資の対象資産に株式を含むこと」という項目があるため、債券やREITのみを投資対象とするファンドを購入することができません。

 バランスファンドを購入することで債券やREITへの投資も可能ですが、つみたて投資枠で購入できるバランスファンドで惹かれるものはありませんし、自分の手でアセットアロケーションをつくれないと投資の面白みも半減してしまいます。そのため、今後どうするかは検討中ですが、現在のところつみたて投資枠の利用は考えていません。

 ――投資のプロとしてご自身で割り当てをしたいという思いから、現在は成長投資枠一択なんですね。

 はい。なので新NISAでは、成長投資枠で個別銘柄への投資を行っています。具体的にはプレミアムウォーターホールディングス1社に集中投資していて、過度な株価上昇がなければ、将来的には投資枠である1200万円全額をプレミアムウォーターに投資する予定です。

 プレミアムウォーターは現在の業績も好調ですし、今後大きく伸びることを予想しています。また配当利回りも2.39%(2024年3月予想)です。

 キャピタルゲイン(株式の値上がりによる利得)とインカムゲイン(金融商品を保有していることで得られる利益。株式の配当金、投資信託の分配金など)の両方を取れる銘柄ということで期待しています。

● 老後の資産も計算し、成長投資枠で狙いたいのは高配当株投資

 ――成長投資枠で個別銘柄を購入したい投資初心者に対して、何かアドバイスはありますか。

 キャピタルゲインを狙いにいく場合には、きちんとした投資知識が必須となりますし、新NISAのような長期投資は不向きです。

 そのため、投資初心者の場合は、インカムゲイン狙いで高配当銘柄を選ぶことが基本となります。また、海外の景気や為替の変動に影響される傾向が強い外需株もお薦めできません。そこでお薦めしたいのが、内需株かつ配当利回りが高く長期で安定している銘柄です。

 新NISAは期間が無期限なので、高配当銘柄への投資によって老後も配当金をもらい続けることができます。「始める時期が遅いと駄目」なんてことは全くないですから、特に50代の方は基本的にインカム投資をすべきだと思っています。

 ――配当金が老後の生活資金にもなるわけですね。

 新NISAはあらかじめゴールを定めることが大切です。65歳のリタイア後にどの程度のお金が不足するのかを計算しておき、不足分を配当金で賄えるようなポートフォリオを現役時代のうちに形成しておけば、老後生活も安心ですよ。

 いかがでしたか。ファイナンシャル・プランナー、投資系YouTuber、個人投資家と、立場が違う投資賢者3人の新NISAの活用法は、まさに三者三様。こちらはあくまでも個人のスタンスではありますが、これからの資産形成のヒントにしたいですね。

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最終更新:5/11(土) 8:32

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