パナソニックも東レもPBRが1倍割れで超安い…それでも内部留保たっぷり!アクティビスト垂涎の「最高の割安42銘柄」を一挙公開する!

10/4 11:30 配信

マネー現代

世界のファンドが虎視眈々と狙う「超優良割安株」

日本株市場は上下に激しく動く展開が続いているが、一部の企業で非常に歪な株価と財務の形が出来上がってしまっているのが今の日本株市場の現状だ。

その代表例が、PBR(株価純資産倍率)の格差の拡大である。

前編『日産、ホンダ、JR東海が軒並み「超“割安”」の怪現象…!日本株、つぎの上昇相場の前に知っておきたい優良株たちの「秘められた実力」』で紹介したように、あの世界を代表する大手自動車の日産自動車が、0.3倍割れだ。

そしてその顔ぶれの多くが、大手の製造業や資源、金融といった景気敏感株に偏っていることが分かる。これは景気後退懸念に巻き込まれる形で株価が軟調に推移してきた結果であることは疑いない。

図:時価総額1兆円超の低PBR銘柄ランキング

しかし、裏を返せば、一部の企業では、その財務の健全性に比して株価が非常に割安な状態で放置されているということである。ここまで極端に低PBR化が進行すれば、今後こういった企業の買収を意図した投資が活発化する可能性も出てくるだろう。

そこで、今回は、高クオリティな割安銘柄を選定していきたい。

PBR改革でも減らなかった「内部留保」

ところで、PBRとは一般的にバランスシート上の純資産をもとに解散価値を測る指標として用いられることが多く、企業を買収して解散した際に元が取れるのかどうかを判断するための指標だ。本題に入る前に、PBRはそもそも解散価値を正確に測るものであるのかを確認しておきたい。

というのも、純資産には現金が多く含まれることは事実だが、それと同時に企業は多くの負債を抱えているからだ。会社を解散して残余財産を分配する前には、当然ながら債権者へ各種の負債を返済しなければならない。いくら現金性資産を多く抱えていようとも、それを上回る負債があれば最終的に手元に資金が残らないどころか、投資としてはマイナスになってしまう。

また、純資産には、残存しているのかが不明な資本金や、リアルタイムで大きく変動するリスクのある自己株式などが含まれ、完全に現金としての価値を表すものではない。

そこで、純粋に企業の「金持ち」度を判断するための指標として有用なのが、利益剰余金だ。

いわゆる内部留保と呼ばれる存在である。利益剰余金は、企業が創業からため込んできた配当後の最終益の累積値であり、バランスシート上で大きな制約なく企業が自由に使用できるお金といえる。

近年この利益剰余金が積み上がり続けていることが大きな問題となっており、それにメスを入れようと議論が活発化したのが、東証の資本効率性の議論(いわゆるPBR改革)であったことは記憶に新しいところだ。

それでも、剰余金は大きく減少しておらず、過去比較では高い水準を維持したままとなっている。

図:利益剰余金・総資産比率の推移

言い換えれば、日本の金持ち企業は増え続けており、増配や自社株買いの活発化で資本の吐き出しが急増した現在でも、その状況は大きく変わっていないことになる。

これでは、PBRが切り上がらないのも当然といったところだろう。

「内部留保が多く」、「借金の少ない」銘柄をさがせ!

とはいえ、総資産の中に占める利益剰余金の比率は3割前後であり、その他の大多数は現金以外の資産か、負債が占めていることになる。つまり、大半の企業は買収して解散しても手元に負債が残る可能性が高く、少なくともPBRの観点からは買収する価値に乏しい。

ただし、中には、無借金に近い状態で経営を維持しつつ、内部留保を多くため込んでいる企業も存在するかもしれない。

そこで、純資産のうちで利益剰余金以外の項目は価値を算定できなくとも何らかの方法で換金・処分できるものとして、利益剰余金で負債を賄えるのかを数字で判断することにする。

具体的には、現状で利益剰余金が負債総額を上回っている状態であれば、買収をして負債を清算してなお手元に資金が残ることになるだろう。これを便宜上、「ネット利益剰余金」と呼ぶことにする。

図:ネット利益剰余金とは

もちろん、負債には様々な形態や会計上にのみ表れる数字も存在するが、少なくとも利益剰余金が負債の総額を上回っていれば、数字上はざっくりとそれらすべてをカバーできると考えていいだろう。

では、このネット利益剰余金を用いて、具体的にどのように銘柄を選定していけばいいか。

ここからは会計・財務の厳密性は無視し、大まかにどういった視点で銘柄選択をすべきかを考えたい。

アクティビストが狙う「超割安株」の見分け方

まずは、買収して会社を解散した際の残余財産を得ることが目的ならば、当然ながら投資した金額つまり時価総額に対してネット利益剰余金が上回ることが大前提だ。

無論、現在の株価ですべての株を購入できるわけはなく、多額の資金で買い上げれば平均購入単価は大きく上昇するだろうが、株価の正確な予測は困難であるため、ここでは考慮せずにざっくりと時価総額を取得コストと仮定する。

一方、対価としてのネット利益剰余金の側については、それが全額懐に入るわけではない。会社を清算して残余財産を分配する際に避けられないのが、税金の問題である。

一般的に、残余財産の分配はみなし配当に位置づけられるため、税率20.42%がかかることを考慮しなければならない。そして、取得コストと、この税金考慮後のネット利益剰余金の比率を「解散価値倍率」とする。

ちなみに、各企業のすべての株式が市場に出回っているわけではない。

オーナーや金融機関などが株式を握っていたり、その企業自身が自社株を多く保有していたりすれば、一定の割合が市場に流通していない場合もある。その際、取得コストは浮動株比率を乗じた流通時価総額として計算する必要があるが、対価としてのネット利益剰余金もその取得比率に応じた按分となり相殺されるため、計算上は無視して問題ない。

しかし、この市中に出回っている株式の割合を表す浮動株比率は、違った観点で重要な意味を持つ。なぜなら、仮に会社を買収してその後に解散する場合は、株主総会に出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成票が必要となるからだ。つまり、発行済み株式数の3分の2以上を保有できなければ、直ちに解散して目的を達成することができない可能性が高くなるため、取得する意味がない。

そこで、浮動株比率が67%未満の企業は選定の対象外とする必要がある。

また、銀行やメディアについても、様々な法規制から事前に政府や監督機関の承認が必要であったり、買収後の業務に制約があったりと自由度が低いため、対象から除外すべきだろう。

これまでの条件をまとめると、以下の図のようになる。

図:解散価値倍率による銘柄選択

ついに浮かび上がる「超・優良割安株」

では最後に、これら諸々のプロセスを経た銘柄の例を以下に掲載しておきたい。

これまでの条件を満たしたうえで、今期の予想増益率がプラスであれば、余程のトラブルや過剰な配当がないかぎり現在の利益剰余金の水準は担保されうるため、業績予想の情報も加味しておくべきだろう。

現実に起こりうる問題や会計・税務の詳細な設定をほぼ無視しているうえ、様々な仮定に仮定を重ねた選定ではあるが、「厳選された優良割安株」を見出すという意味だけでも、有用性の高いリストといえるだろう。

一挙公開!厳選の結果、姿を現した「珠玉の42銘柄」

図:解散価値倍率 銘柄ランキング

さらに連載記事『たばこ産業「JT」の株はなぜ上がるのか…?「新NISA」と「PBR割安」効果が継続中の日本株で、「JT株」が圧倒的に上昇した秘密』でも、珠玉の銘柄を紹介しているので、ぜひ参考としてほしい。

マネー現代

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最終更新:10/4(金) 11:30

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