日経平均株価が再度4万円を超えて上昇するのはいつになるのか

11/25 7:32 配信

東洋経済オンライン

筆者はこの定期コラムで「いよいよ日経平均4万2224円超えの条件が整った」(10月14日配信)、「2025年に向け『日本株の黄金の時間』がやって来る」(11月11日配信)などで強気の相場観を披露してきた。

 だが、直近の日経平均株価は、と言えば掲載直後10月15日(14日はスポーツの日で休場)の3万9910円から11月22日の3万8283円まで何度も上値の壁にはね返され、4万円すらタッチできないでいる。

■なぜ「4年連続最高益」でも株価が冴えないのか

 上がらない理由は、ウクライナ戦争の拡大や、アメリカの次期トランプ政権への不安など世界情勢を含めると多々ある。だが、理由を日本国内に限れば、「業績不安」や「円安の追い風でも、インバウンド好調でも、反応しない『両者の関連銘柄』」だ。

 まず「業績」については、確かに日経平均予想EPS(1株当たり利益)が10月15日の2514円をピークに11月14日には2425円になっており、この「右肩下がりのチャート」の姿を見ると買いにくい。

 しかし、某大手紙が集計した3月期が本決算の企業1074社の2024年4~9月期決算の純利益は、約27兆2000億円と前年同期比15%増加し、4年連続で最高益更新となっている。

 では、この数字と日経平均予想EPSの景色の違いは何か。まさか日本を代表する企業である日経平均構成銘柄225社が、今回集計した1074社の中で劣っているとみる者はいないだろう。

 予想EPS低下の理由は簡単だ。4~9月期(中間)決算を締める時点で、今年度年後半の為替見通しが不透明だったため、各企業が慎重な見通しを出したことによる。

 1ドル=140円台、150円台の円安メリットを受けた好調な中間決算だったが、年度末には130円台もありうるとみる為替の専門家がいた中では、慎重にならざるをえなかった。

 ところが今や130円台の円高よりも160円の円安もありうるという情勢変化の中で今後やって来る10~12月期(第3四半期)決算では、慎重な見通しを解除し、通期上方修正を出す企業が続出すると考えるほうが、妥当ではないか。ただしその決算数字が出るのは新年1月後半からのことだ。

 これを市場が目先(今年末)どれだけ先取りできるかにかかってはいるが、直近の大手紙の上場企業の2025年3月期の純利益は前期比2%増となる見通しで、8月時点の1%減益予想からは上振れし、一転して4年連続で最高益となる。これが円安効果でさらに上振れする気配が出てくれば、12月からの先取り相場が到来してもおかしくない。

■円安・インバウンド好感銘柄が上がらない理由とは? 

 一方、「円安でも、インバウンド好調でも反応しない関連銘柄」については、前回、インドSENSEX指数の不振理由(同指数は9月26日の史上最高値以降低迷しているが、その理由は調整期間不足にあるとした)を解説したが、これと同様、材料を先取りして高値をつけた後の反動安ではないかと思っている。

 円安でも動かない輸出関連株は、次期トランプ政権の関税政策を前にしてやむをえないところもあるだろう。ではインバウンド好調でも動かない銘柄はどうか。

 例えば代表的な三越伊勢丹ホールディングス(HD)の高値は今年7月だった。信用取引の高値からの日柄調整期間は6カ月だが、実質的な売りは5カ月目で終わると言われる。三越伊勢丹HDの5カ月目は11月だから、それは今週でほぼ終わるはずだ。つまり、「日柄(日数)調整という悪材料」は織り込んだとみるのが妥当ではないか。折しも10月の訪日外国人客数は331万人となり、すべての月を通して過去最高となった。

 好環境のインバウンド関連を例にとったが、このことは日経平均にもあてはまる。前述の通り、7月11日の史上最高値からの日柄調整はほぼ終わり、再上昇の準備は整っている。

 また、今週からはいよいよ9月中間決算を終えた企業の配当支払いが始まる。円安でも動かないトヨタ自動車の配当支払い予定日は26日(火)で、グループ10社が一斉に支払いを開始する。他社の支払日も今週と来週に集中している。

 ただでさえ、日銀によると、マネーストックM3(市中に出回っているいカネの量)が1600兆円台と高水準で推移する中で、自己株買い償却で株式の量は減少している。需給関係はますます買い方有利の市場となっていくはずだ。

■11月最終週の短期的な見通しは? 

 さて、11月の最終の立会日は29日(金)なので、今週は月曜日から金曜日まで5日立会の完全な1週間となる。実は、同じ11月でも2020年などは最終日が月曜日だったので、たった1日だけの最終週だった。

 このような11月の最終立会日を含む週の騰落合計値を見ると、2023年138円安、2022年314円安、2021年929円安、2020年は1日だけで211円安と、4年連続マイナスの11月最終週となっている。

 それはこのところの4年間が年の中盤までのところで高値をつけていたということに起因すると思うが、7月高値の今年も、同様になるのだろうか。4年間のマイナス以前は、圧倒的に11月最終週は高かった。その頃の投資家は年末高を期待し、さらに12月は株を枕に年を越し、年初高を期待した。

 ということで、少なくとも25日(月)は買い先行で始まりそうだが、日経平均は3万9000円台を固めて12月相場につなげてほしいと思っている。

 デフレ脱却相場の総仕上げとしての「2025年黄金相場」という筆者の見方はまったく変わっていない。また銀行・建設の内需主体の相場観も不変だ。筆者の見方に対し、メガバンクはまだしも、年初には圧倒的に反対意見の多かったゼネコンで、大林組が連日のように上場来高値を更新している。2025年相場を象徴する動きだと思っている。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

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最終更新:11/25(月) 7:32

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