(ブルームバーグ): 前社長による不正行為があったとする資産管理専門の日本カストディ銀行(CBJ)は19日、第三者委員会による調査報告書を公表した。前社長が関与するなど問題のある複数の外部委託案件が確認され、ガバナンスや企業風土に関連する問題が顕在化したとした。
報告書では、システム発注などの外部委託案件で、前社長の潜在的な利益相反の可能性のある契約について取締役会での報告・議論がなかったことや、委託先選定の比較検討や再委託先のモニタリングが不十分であったことなど、外部委託管理の仕組みに脆弱(ぜいじゃく)性があったと認定した。
CBJは三井住友トラスト・ホールディングスが33.3%、みずほフィナンシャルグループが27%、りそな銀行が16.7%出資するなど、株主各社とCBJは完全な親会社と子会社ほど関係は強くない。ガバナンスや企業風土の問題には株主との関係が通底しているとし、株主との継続的な対話と連携強化は避けられないと指摘した。
金融庁はCBJのほか、同行の監督管理について筆頭株主である三井住友THに対しても報告命令を出しており、今後さらなる行政処分に発展するかも焦点となる。
複数の関係者によると、三井住友THなど主要株主は再発防止のために、現在の監査役設置会社となっているCBJを監査等委員会設置会社に移行させ、ガバナンスの強化を図る方針だ。社外取締役を過半数に増やすほか、独立社外取締役を中心とした監査等委員会を設けて取締役の選解任や報酬について意見を言えるようにする。
ガバナンス強化の具体策は5月初旬を目標に決め、6月のCBJの株主総会で正式決定する。
CBJの発表や第三者委の報告書では元取締役としているが、複数の関係者によると、元取締役は三井住友信託銀行出身の田中嘉一元社長を指す。
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最終更新:4/19(金) 18:20
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