堺市「中百舌鳥駅」周辺に変化の兆し? 進む再整備で「活性化」は叶うか《楽待新聞》

5/19 19:00 配信

不動産投資の楽待

大阪府中部にある、堺市北区の中百舌鳥(なかもず)駅周辺が変わるかもしれない。

現在、同駅にある駅前広場を中心に、堺市によって再整備の準備が進められているからだ。

そもそも中百舌鳥駅の周辺はどんなエリアなのか。今後どのようなまちづくりが計画されているのだろうか。見ていこう。

■中百舌鳥駅周辺エリアについて

大和川を挟んで大阪市の南側に位置する堺市は、大阪府の中で2番目の人口と面積を有する政令指定都市だ。

街の歴史は古く、古代には仁徳天皇陵をはじめとする多くの古墳(百舌鳥古墳群)が築造されており、中世には海外交易の拠点として発展した。

2023年にはG7大阪・堺貿易大臣会合が開催されるなど、歴史に紐づいた国際的なイベントが開催されたことも。

また、戦後は沿岸部に堺泉北臨海工業地帯などが造成されたこともあり、最盛期の人口は2012年に約84万3000人を記録している。2024年4月時点の人口は約80万8400人である。

そんな堺市北区の中百舌鳥町には、南海電鉄高野線および泉北高速鉄道の中百舌鳥駅、大阪メトロ御堂筋線のなかもず駅(始発駅)がある。3路線の交わる結節点として交通利便性が高いことがエリアの強みだ。

実際に、都心の梅田への所要時間は大阪メトロで33分、なんば駅へは南海電車で18分と通勤・通学には便利な街となっている。また、駅前には府道28号線が通っており、車でも都心エリアへ容易にアクセスできる。

■上位計画となる堺市基本計画2025

その中百舌鳥駅周辺では現在、再整備が検討されている。その背景には、上位計画となる「堺市基本計画2025」がある。

堺市基本計画2025は、少子高齢化や公共施設などの老朽化に伴う維持管理、社会保障関係費の増大など、社会経済情勢の変化に対応する都市を作るためのものとして作られた。

計画は2020年に策定されており、2030年度を見据えながら社会の変化に対応し、将来にわたって持続可能な都市経営を推進するため、2025年までに取り組むべき方向性を示している。

2030年をゴールとした場合、2025年はちょうど中間点にあたるとともに、大阪・関西万博が開催される年でもある。

堺市基本計画2025の中で、中百舌鳥エリアの空間像は「大学や産業支援機関、スタートアップ企業などが集積し、ビジネス・学術での交流機会を創出するエリア」とされている。

そして、今後のエリア戦略として掲げられているポイントは以下の通りだ。

・大学や産業支援機関を活かした新事業の創出に向けた交流や連携の取り組みを促進

・大阪市内とつなぐ交通結節点の強みを活かした交流促進、活力創出

特に中百舌鳥エリアは「イノベーション創出拠点」に位置付けられており、その空間像は「大学や産業支援機関、スタートアップ企業などが集積し、産学官連携などによる新たな技術やビジネスが生まれるイノベーション創出拠点」だ。

イノベーション創出拠点における今後のエリア戦略は「イノベーション創出に向けた技術開発やマッチング、起業支援に向けた取り組みを促進」とされる。

■百舌鳥駅前広場の活性化に向けた再整備方針

中百舌鳥駅前広場の再整備検討の目的は、中百舌鳥エリアの活性化と魅力向上を図ることだ。

再整備を通じて駅前空間の賑わいや活力を高め、交通利便性を向上させることで都市拠点としての魅力強化につなげるのが狙い。魅力強化によって企業誘致などを進め、成長産業や新事業の創出を促進する。

なお、中百舌鳥エリアの課題点としては以下のポイントが挙げられている。

・高い技術力を有する中小企業とスタートアップを含めた企業間の連携や協業の促進が必要。

・大阪におけるスタートアップ支援のハブとなる、うめきたエリアとの連携強化が必要。

・コロナの影響により小規模なオフィスに対する需要が高まっている一方で、オフィスが不足している。

他方、中百舌鳥エリアには、スタートアップ企業や研究開発型企業向けに特化したインキュベーション施設の「S-Cube」があること、その付近に堺商工会議所、堺市産業振興センターなどが集まっていることは強みと言えるだろう。

堺市基本計画2025で中百舌鳥駅周辺がイノベーション創出拠点に位置付けられているのは、こうした背景があるからだ。

S-Cubeや商工会議所などの施設は駅前に集まっており、つまり中百舌鳥駅周辺のエリアを活性化させることは、堺市が考えるイノベーション創出拠点の誕生にもつながると言ってよいだろう。

このため、イノベーション創出拠点にふさわしい駅前空間の創出に向けて、駅前の空間をシンボリックな拠点にするべく、民間施設の整備が検討されているのだ。そして、民間施設の公募選定支援業務を野村証券に委託することが決まった。

特に交通利便性の高さから評価を集めている中百舌鳥駅周辺エリアだが、近年では人口減少など、都市としての課題を抱えていることも事実である。

駅前エリアの活性化が、企業誘致や誘致に伴う人口減少の鈍化といった行政の狙いにつながるか、今後の推移に要注目だ。

朝霧瑛太/楽待新聞編集部

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最終更新:5/19(日) 19:00

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