リターン際立つ円キャリー取引、ボラティリティーが阻む恐れ

5/3 16:02 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 円を借りて新興国通貨に投資するキャリー取引は、今年最もリターンを上げてきた取引の一つだが、これを日本当局による動きが妨げる恐れが出ている。

日本の通貨当局は今週、2度にわたって円買い介入を行ったとみられ、円ボラティリティーを測る指標は急上昇し、昨年7月以来の高水準を付けた。円を調達通貨とする新興国通貨のキャリー取引は今週マイナスとなる方向で、中でもインド・ルピーやコロンビア・ペソを対象とするものが振るわなくなっている。

キャリー取引とは、投資家が円など低金利通貨を借りて、高利回り通貨に投資することだ。円安が続き、ボラティリティーも比較的低かったため、円は今年、主要な調達通貨となってきた。円キャリー取引は、新興国のあらゆる通貨に対してプラスのリターンを生み出してきた。

だが、それも終わりを迎えようとしている可能性がある。ブルームバーグの集計データによると、新興国8通貨を対象とした円キャリー取引のキャリーリスク比率は3月に付けた高水準から低下しており、この戦略のリスク・リワードが悪化していることを示唆している。日本の通貨当局による介入が疑われる中、この悪化は主に円のボラティリティーが上昇したことに起因する。

BNYメロンの市場戦略・インサイツ責任者、ボブ・サベージ氏は日本当局が実施したとみられる為替介入の新興国通貨への影響について、興味深いと指摘。投資家の関心はトルコ・リラやブラジル・レアルから、インドネシア・ルピアなどのアジア通貨に向かう公算が大きいとの見方を示す。

トレーダーは日本当局がいつまで円安を防ぐことができるか懐疑的だ。日米の金利差は大きく、円安圧力は続くとみられる。

円は1986年以来の低水準に落ち込む可能性、1ドル=165円も-RBC

現時点では、円はなお割安な調達通貨で、フォワード・インプライド利回りは引き続きゼロを割り込んでいる。ブルームバーグが対象としている他の30通貨では同利回りが軒並み1.2%を上回っており、中国人民元を借りるなどの選択肢よりも、円キャリー取引は魅力的であり続けることを示唆している。

ジェフリーズの外国為替グローバル責任者、ブラッド・ベクテル氏は新興国市場のキャリートレードが円高によって頓挫する可能性は低いとし、「今後持ち直すだろう」と述べた。

原題:Yen Volatility Threatens to Derail One of the Year’s Best Trades(抜粋)

(c)2024 Bloomberg L.P.

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最終更新:5/3(金) 16:02

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