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【株価はどう動く?】米国の金利、インフレはいつ落ち着くか、日本ではバリュー株の底上げ続く

5/15 21:00 配信

財界オンライン

「遠い戦争は買い、近い戦争は売り」

 2024年に入ってからの日本の株価は急ピッチで上昇し、3月4日と3月22日にダブルトップを付けており、波動から言ってもいつ下落調整があってもおかしくない局面でした。

 この波動通り動く場合には、その裏付けとなる売り材料が出てきます。実際にイラン・イスラエルの交戦という新たな売り材料が出て、4月19日にはザラ場で1300円以上下げ、終値も1011円安の37068円となりました。

 4月末にかけての日本株の下落に影響を与えたのは地政学リスクでした。イラン・イスラエルの交戦がさらに拡大すると再び中東戦争になりかねませんし、その先には第3次世界大戦の懸念すら出てきかねません。4月は、このように悲観的に考えた人が株を売ったのだろうと思います。

 もう1つは米国内の金利とインフレで、私が予想した通り、高止まりになっています。昨年末辺りには、日米の多くのアナリストが米金利の下げを予想していましたが、そうした展開にはなっていません。年5回の利下げを予想する向きもありましたが、足元では1回ないし2回、または利下げなしという見方も出てきています。

 ただ、少し冷静に状況を見てみると、これら2つの材料はどちらも日本には直接関係がありません。米国の金利とインフレの高止まりは米国内の問題です。日本はむしろ脱デフレで2%のインフレを目指していますから、状況が全く違うわけです。

 地政学リスクは、どの国にとっても不安材料ですが、紛争地域はロシア・ウクライナやイラン・イスラエルは、日本からは遠く離れています。もちろん戦況の悪化によって原油価格の急騰となれば日本経済にダメージを与えかねませんが、現時点ではそこまでの事態とはなっていません。むしろイラン・イスラエル双方が、現段階でお互いの面目を保った形になっていますから、戦線は拡大しないのではないかと見ています。

 その意味で、4月の日本株は下げる必要がない中での急落でした。まるで「富士川の戦い」で水鳥の羽音に驚いて逃げたとされる平氏軍のような状況でしたから、GW前にかけて日経平均は値を戻したのです。

 相場の世界では「遠い戦争は買い、近い戦争は売り」という格言があります。以前から指摘しているように、第1次世界大戦時には日本に特需があったわけです。ロシア・ウクライナ戦争は第1次大戦のような規模ではありませんが、すでに日本には特需が発生しています。

 11月の米大統領選までは円安・ドル高、日本株高、米国株は波乱の展開という相場の流れが予想されます。

 短期の展開を予想すると、3月22日の4万1087円を突破するのに時間がかかりそうです。波動からいうと、34年ぶりの新高値4万円台が壁となって、3万8000円から4万円のゾーンでの揉み合いが当面続くものと見ています。

 昨年の相場を振り返ると6月、9月がダブルトップでした。9月の高値を付けた後、3万円から3万4000円のゾーンで揉み合い、結局3万4000円の壁を抜けずに終わったわけですが、この間約6カ月揉み合いました。

 今回は、昨年より相場環境が改善していますから、6カ月揉み合うことはないと思いますが、3月の高値を抜くのは「3月またがり60日」の法則でいうと、5月22日頃が転換点となります。

 今後、4万円の壁を抜けるための買い材料として考えられるのは、大企業の3月期決算の好調です。同時に、昨年4月から始まったバリュー株の底上げが一層拡大します。中でもPBR(株価純資産倍率)1倍割れの企業などが、この改善に向けて自社株買いや増配などを行うことになるでしょう。

 さらに新NISA活用のニューマネーが株式市場に入ってくることで、日経平均は4万円の壁を5月20日以降に突破してくるのではないかと見ています。

 この時の買い材料は、前述のバリュー株の底上げ以外に米国の金利、インフレが落ち着く可能性があることです。4月30日、5月1日のFOMC(米連邦公開市場委員会)では利下げはなかったのですが、次回のFOMCではパウエル議長が前回より、利下げに前向きな発言をする可能性もあるのではないかと思っています。

 なぜなら6月頃から大統領選挙が本格化しますから、金利、インフレの高止まりが続くとバイデン政権にとって厳しくなります。インフレで、物価高の中で当選できる政治家はいません。

 米国株も3月21日が直近の天井ですから、日本の日柄とも合います。ですから5月20日前後頃から日米共に当面の調整局面が終わって株高の助走が始まるというのが、相場の波動から見た楽観シナリオです。

 しかし、4万円の壁を突破しても、その後株価が4万5000円、5万円を目指すためには、やはりグロース株が上がってこなければなりません。DX・AI革命を牽引するような本命の銘柄が出てこなければ、高値圏での揉み合いとなるでしょう。

 個人投資家にとって24年の狙い目は、バリュー株では各業界の一流企業株で配当が高く、PBRの低い銘柄になります。

 また、日本経済がデフレを脱却し、インフレに向かう中で上がるものとして金融、不動産、資源が考えられますので、今後は金融・不動産関連株、資源株は要注目です。他にもインバウンド(訪日外国人観光客)関連で消費関連、特に食品株は狙い目です。

 経済・株価と政局・政治はコインの表裏です。日本では6月の解散総選挙の可能性は消えていませんが、岸田政権の支持率は低迷しています。もちろんパーティ券の問題は反省すべきですが、国民にとってもっと大事なことは、人々の生活を守る、豊かにするための景気対策、経済成長の達成です。岸田首相の「資産所得倍増」を前面に打ち出して、むしろ早期に解散して、国民に信を問うことが必要なのではないでしょうか。

財界オンライン

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最終更新:5/15(水) 21:00

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