人生100年時代の現代において、将来への不安から投資を始める人々が急増しています。特に2024年の新NISA制度スタートにより、投資の間口は大きく広がりました。税制優遇と分かりやすい仕組みで、これまで投資に踏み出せなかった初心者にも、資産形成への第一歩を踏み出す機会となったのです。
金融庁の統計によれば、2025年6月末時点でのNISA口座開設数は2696万口座を突破しています。わずか半年で、100万口座以上も増加するという大きな伸びを見せています。
「もう遅いのでは」と諦めてしまいがちな50歳代でも、口座開設数が6%増と、着実に成長しています。
NISA口座の利用状況調査(2025年6月末時点)
出所:金融庁「NISA口座の利用状況に関する調査結果の公表について」
そこで本記事は「50歳から始めて役に立つの?」 「退職までの15年間で、どれくらいの資産形成が可能なの?」
そんな疑問にお答えするため、50歳から65歳までの15年間で積立投資を行った場合の最終資産額を、2つの異なる利回りパターンでシミュレーションしていきます。
人生後半の資産形成は、皆さんが思っているより大きな可能性を秘めているかもしれません。ぜひ、この記事を通して、老後の豊かな生活を実現するためのヒントをつかんでください。
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投資シミュレーション
まずはじめに、15年の積立投資で、最終資産額がどのようになるかを、2パターンの利回りで見ていきます。
前提条件は以下の通りです。
・投資月額:5万円
・投資期間:15年(元本総額は900万円)
【利回り3%の場合】
・運用利益:231万円
・最終資産額:1131万円
【利回り5%の場合】
・運用利益:424万円
・最終資産額:1324万円
50歳からはじめる積立投資のメリット
シミュレーション結果からもわかるように、50歳からの積立投資でも、確かな資産を作ることが可能です。
場合によっては、この年齢からの投資開始が最適なタイミングとなり、老後の生活を豊かにするための有効な選択肢となることもあります。ここからは、50歳からの積立投資のメリットをお伝えします。
●ライフイベントが一段落するタイミング
50歳代という時期は、子どもの独立や住宅ローンの完済など、人生の大きな支出の山を越える人が多くいるタイミングです。教育費や住居費といった負担が減少することで、家計に余裕が生まれやすくなります。
そのような場合には、老後を過ごすための資産形成に、しっかりと資金を回すことができるようになる傾向があります。資金的にも生活的にも、40歳代までと比較して少しの余裕が生まれることで、じっくりと腰を据えて投資について考えることができるようになるのです。
●一般的な「収入のピーク期」を迎える
長年のキャリアを積み重ねてきた50歳代は、多くの人にとって収入がピークを迎える時期でもあります。特に男性の賃金カーブにおいては、多くの人が定年を迎える直前の50歳代では、キャリアの最終段階となり、統計においても収入が一番大きくなる時期です。
そのように、徐々に収入が安定し、ピークを迎えるような働き方をしている人にとって、50歳という年齢は、投資に回すお金を確保しやすい時期になり得ます。
老後資金として貯蓄をしているお金を投資に回すことで、退職を迎えるまでの期間で、無理なくお金を育てて老後資金を作ることが可能なのです。
●老後の楽しみを作れる
50歳からの積立投資は、単に老後の不安を解消するためだけのものではありません。むしろ、老後の楽しみを作るための準備と捉えることができます。
「退職したら、夫婦で日本一周旅行がしたい」
「地方に移住して、ゆっくり暮らしたい」
「新しい趣味や学び直しに挑戦してみたい」
このように、引退後のセカンドライフで叶えたい夢を思い描き、その実現のために資産を育てていく。そうすることで、投資が単なる「作業」ではなく、未来の自分への期待感を高めてくれる「楽しみ」へと変わります。
健康寿命が延びる現代において、50歳からの積立投資は、その後の人生をより豊かにするための、賢明な選択と言えるでしょう。
新NISAを使った積立投資のメリット
2024年にスタートした新NISA制度は、積立投資を行うのに最適な選択肢です。ここからは、新NISA制度による積立投資のメリットをお伝えしていきます。
●インフレーションに備えることができる
低金利が続く日本においては、銀行にお金を預けているだけでは、利息はあまり期待できません。むしろ、物価が上がっていく「インフレ」によって、お金の価値が実質的に下がってしまうリスクがあります。
例えば、物価が上昇して100円で買えたものが200円になった場合、お金の価値そのものは半分に下がってしまったことになります。これに対し、市場全体の動きに連動するような投資をしていた場合は、物価の上昇に合わせて投資先の資産価値も連動して上がる可能性があるため、インフレへの備えになります。
タンス預金や銀行預金だけでは、このようなインフレへの対応が難しいのが現実です。
●利益を非課税で受け取ることができる
通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかります。しかし、新NISA制度では投資で得た利益が非課税となるため、税引後のリターンが大きく向上します。
例えば、今回の2つめのシミュレーションの場合、投資利益は424万円です。NISAではない通常の口座を使用した投資であれば、売却をする際に約84万円の税金が差し引かれてしまいます。しかし、新NISA制度を利用していると、424万円をすべて受け取ることができるのです。この非課税メリットは、長期的に資産を形成していく積立投資において、大きなメリットになります。
2024年から開始された新NISA制度では、投資枠の拡大や、非課税期間の無期限化により、50歳代からスタートしても、その効果を実感できるでしょう。
おわりに
50歳からの投資は、決して遅いことはありません。むしろ、家計支出に余裕が生まれ、収入もピークを迎える傾向にある50歳代は、投資を始めるのに理想的なタイミングとも言えます。
本記事のシミュレーションで見たように、月5万円を15年間積み立てるだけでも、利回り次第では元本900万円から1324万円もの資産形成が可能です。さらに、新NISA口座を活用することで、得られた利益が全額非課税となり、その全額を受け取ることができます。
人生100年時代、65歳で終わりではなく、その先の20年、30年を豊かに生きるための準備を自分自身で行うことが求められています。
50歳から始める投資によって、老後の不安解消だけではなく、これからの人生をより豊かに彩るための未来への投資の一歩を踏み出してはいかがでしょうか。
参考資料
・金融庁「NISA口座の利用状況に関する調査結果の公表について」
・金融庁「つみたてシミュレーター」
・厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査の概況」
・金融庁「NISAを知る」
斎藤 彩菜
最終更新:12/14(日) 14:15