価値あるアクティブファンドを届けることの重要性を共有、コムジェスト・アセットマネジメント社長の高橋氏の出版記念講演会

1/23 15:40 配信

サーチナ

 コムジェスト・アセットマネジメント株式会社代表取締役社長である高橋庸介氏(写真:中央左)の著書「未来を変える価値ある投資 IFAのための指南書」出版記念講演会が1月22日、東京・丸の内で開催された。同著書において特別対談が掲載されているr-Laboratory代表取締役の上地明徳氏(写真:右端)、なかのアセットマネジメント代表取締役社長の中野晴啓氏(写真:左端)、小山企画代表取締役の北尻克人氏(写真:中央右)が登壇した。同著書は高橋氏が「昨年の春に体調を崩した。その時に、日頃セミナーで話している内容を誰でも伝えられるようにとの思いで、この本を書いた。最初にして最後の著作になると思う。遺書のつもりで書いた」と語る。出版記念講演会は福岡、大阪に続き、東京開催が3回目。各会に50名を超えるIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)や投資家が参加した。

 北尻氏が進行役となり、高橋氏と上地氏、中野氏がパネラーとして参加する鼎談を繰り広げた。まずは、著作を執筆した動機について問われた高橋氏が、「当初は出版社から『投資の教科書』という副題をつけてはどうかと提案があったが、あえて『指南書』とさせていただいた。常に南を指し示すコンパスのように、投資において忘れてはならないことをまとめた」と語った。そして、「表紙の赤は長年応援しているプロ野球の広島カープのチームカラー。猫が好きなので、表紙に猫の絵も入れてもらった。この本で得られる印税は全額保護猫の活動に寄付するつもり」と、自身の思いのたけを書き綴ったと紹介していた。

 上地氏は「資本所得を家計に届ける」ことを目的にIFA事業を行っている。「一般にグローバル株式の長期リターンは年7%程度、コムジェストが運用する株式戦略は年12%程度のリターンが出ている。せっかく実現益としての資本所得が出ているのに、残念ながら日本の家計には、その恩恵が届いていない。届けられる環境を作っていきたい」(上地氏)と考えている。中野氏は「今、日本には新しい金融機能が求められている」という。「高度経済成長期には銀行が国民から集めた預金を企業に融資し、産業育成を実現した。しかし、バブル崩壊以降は金融の仲介機能を以前のようには果たせなくなった。『資産運用立国』という構想が機能するには、投資家である国民の意志をカタチにする金融機能が必要だ」とし、本格的なアクティブ運用ファンドは資金の出し手の意志を尊重する投資商品になり得ると語った。

◆インデックスファンドにはないアクティブファンドの価値とは

 中野氏は「新NISAによって新たに400万口座が生まれ、積立投資で継続的に投資されている。この結果を持ってNISAは成功したという評価の声があることは事実だが、その資金の大半はインデックスファンドに向かっている。大手ネット証券の積立投資の90%が『S&P500』と『全世界株式(オール・カントリー)』だという話も聞く、それで本当に十分といえるのだろうか?」と疑問を呈した。そして、「投資という行為には『投資家の意志』がある。インデックス投資は、その意志を放棄していると言えるのではないだろうか。また、『S&P500』に投資している人は、『S&P500』が上がった下がったという「記号」としてしか見ていない。記号だけを見ていると、それがマイナスになればおもしろくないし、マイナスが続けば嫌になってやめてしまうだろう。そのような投資は長期に続けられない。意志のある投資、その意志への共感で資金が集まるような本物のアクティブファンドが必要だ」とアクティブファンドの意義を語った。

 高橋氏は「コムジェストはインデックスに勝とうとは思っていない。ただひたすら年率10%以上の利益成長が続けられると予想する企業の発掘に努めている。その結果、世界株式戦略では過去33年間で年平均12%というリターンを実現した。株価は企業の利益成長を反映する。年10%以上の利益成長を実現する企業に投資していれば、株価も10%以上上昇するのは当たり前だ。ここ1-2年の日本株式戦略のパフォーマンスが悪いとお叱りを受けるが、その時々の株価の動きは予測ができない。直近の国内株市場は銀行株や商社株など割安株が値上がりした。成長株に投資しているコムジェストの運用には逆風といえる状況だった。だからといって銀行株に投資すれば投資哲学を曲げることになる。この状況を我慢して長期に保有していただくことで、コムジェストの運用をご理解いただける」と語った。

 上地氏も「長期的には株価は企業利益によって決まる」ということは、株価の分析を行ったデータからも明らかと語った。そして「『S&P500』には5%~10%は赤字の企業が含まれる。それも含めて500社の利益を平均するとそこそこの利益成長となり、『S&P500』もそこそこに値上がりする。より利益成長率の高い銘柄群を選別して投資するファンドは『S&P500』を上回るパフォーマンスになる。私たちは販売可能な2000本以上のファンドの中から、優れた運用成績を残している6本を選び抜いてお客様に提案している。その6本のうちの1本がコムジェストが運用戦略を担うファンドだ」とした。そして、「運用アドバイスでリターンのことだけでつながっていると、リターンは時に裏切るので長い関係が続かない。大事なことは、投資の理念や投資哲学で共感できるかということ」と語った。

◆信託報酬が低いことは何より優先されるのか?

 来場したIFAから、「3年ほどアドバイスをしていた個人投資家の方から、Youtubeの投資番組を視聴して手数料の高いアクティブファンドを薦められて損をしたことがわかった。あなたのアドバイスは二度と聞かないといわれた」という相談があった。これに対して、高橋氏は「インデックスに投資していると、核兵器や大量破壊兵器を作っている会社にも投資することになる。『S&P500』には十数社の兵器を作る会社が含まれ、『MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス』には三十数社が含まれている。あなたの資金が大量破壊兵器の製造に使われることをどう思われますかという問いかけもできる。インデックスに採用されている企業より、本当に素晴らしい企業だけを選んで投資することの価値を共有することが大事」と語った。

 上地氏は、ある医師の投資家がYoutube動画を見てIFAとの契約を見直したいと言い出した時のエピソードを紹介した。「その医師の方に、先端医療や治療についてYoutubeにあがっている無料コンテンツで学んだことはありますか? と問いかけてみるとすぐに理解してくださった。専門家の立場で、学びになるような内容がYoutubeで発信されていることはまれなことで、多くは目立ちたいためだけに極端な意見を発信している」と情報に振り回されないことの重要性を紹介した。中野氏は「投資信託の基準価額は手数料控除後なので、基準価額で比較する限り、信託報酬の違いは問題にならない。基準価額の推移が納得のいくものであれば、信託報酬の水準は問題にならないのでは」と指摘した。

 北尻氏は「インデックスファンドは特に何の付加価値も運用成果には加えていないので、たとえ0.01%でも報酬を得るということはおかしいのではないか。それと比較するとアクティブファンドのファンドマネージャーやアナリストは、わずかな信託報酬では安すぎると感じるほど様々な調査や分析をしてくれている。コムジェストのファンドマネージャーの動きを知れば年1%程度の信託報酬では安すぎると感じるのだが、皆さんはどう思うのだろう」と語っていた。

サーチナ

最終更新:1/23(木) 15:40

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