短期的な株価下落に恐怖して株を売ってはいけない。長期投資で「複利の力」を最大限に活かし、雪だるま式に資産を増加させるために必要なことは?

8/14 21:02 配信

ダイヤモンド・ザイ

●「複利の力」を最大限に得るためには? 
 投資の世界では、「複利の力」という言葉がよく使われます。

 この概念は、投資の利益が時間と共に雪だるま式に増加することを意味します。しかし、この効果を最大限に引き出すためには、最初から最後まで市場に完全に投資することが重要です。短期的な市場の変動や不安に惑わされることなく、長期的な視野で投資を継続することが、複利の果実を享受するための鍵となるのです。

 そのためにはまず、複利の力を理解することが重要です。

●「複利の力」を得るには、市場に常に投資している状態を保つことが必要
 複利とは、利益がさらに利益を生む現象であり、元本と利息の両方を次にまた投資する形になるため、時間が経つにつれて投資額が急速に増加していきます。

 たとえば、100万円を投資して年利5%が得られた場合、1年目の終わりには最初の100万円は105万円になっています。この105万円を再度投資すれば、次の年にはさらに多くの利益が得られます。そして、このようなことをずっと続けていく結果、資産は雪だるま式に増えていくことになるのです。

 この効果を最大限に引き出すためには、市場に常に投資している状態を保つことが必要です。

●株式市場が大きく下落した時、恐怖心から株を売却して投資を中断すると、最もリターンの大きい日を逃してしまう可能性がある
 このところ、株式市場の変動が大きくなっています。株式市場が大きく下落すると、多くの投資家は恐怖心から株の売却を検討しますが、これは長期的には複利効果を弱める行動になります。

 株式市場の一時的な下落は避けられません。しかし、歴史的に見ても、時間の経過とともに株式市場は回復し、さらに成長を遂げることが多いのです。したがって、株式市場の変動に一喜一憂するのではなく、長期的な視点を持って投資を続けることが重要です。

 また、投資を中断することで、最もリターンの大きい日を逃してしまう可能性もあります。

 市場が開いている一部の日に得られるリターンだけが、長期的なリターン全体の結構大きな部分を占めているという現象があるからです。これらの日に市場から離れていると、大きな利益を逃すリスクが高まります。

 この種のことを対象とした研究結果によると、最も利益の出る数日を逃すと、長期的なリターンに大きくマイナスの影響を与えることが明らかになっています。

●株式市場の短期的な変動に動揺しないこと。投資の成功は継続的な投資と忍耐にあり
 それと、投資家の行動として、投資で得た利益を再投資するのではなく、使ってしまうケースも結構見られます。あるいは投資で得た実現利益を再投資せず、長い間、現金のまま置いてしまうケースも見られます。このようにしていると、当然、複利効果は得られません。

 結論として、複利の力を最大限に活かすためには、完全に投資した状態を維持することと再投資が必要不可欠と言えます。

 株式市場の短期的な変動に動揺せず、長期的な視野を持って投資を続けることで、時間と共に資産を着実に増やしていくことができるでしょう。投資の成功は、一瞬のタイミングを当てることではなく、継続的な投資と忍耐にあるのです。

 ●ポール・サイ ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。

ダイヤモンド・ザイ

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最終更新:8/14(水) 21:02

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