(ブルームバーグ): 中国政府は、米メタ・プラットフォームズのメッセージアプリ「ワッツアップ」へのアクセスを長らく遮断してきたが、一部のユーザーが利用できるようになった。世界有数の厳しいインターネット統制を敷く中国では異例のことだ。
アクセスが遮断されていたため、中国のワッツアップのユーザーはVPN(仮想私設網)を介して同アプリを利用してきたが、北京と上海のユーザーは現在、VPNを使わなくてもメッセージの送受信が可能になった。シグナルやインスタグラムなど他の外国ソーシャルメディアプラットフォームは、中国政府のネット検閲システム「グレートファイアウオール(金盾工程)」によって引き続きアクセスが阻まれている。
アクセスが可能になってから中国全土でどれだけの人がワッツアップを利用したかは不明。微博(ウェイボ)を含む国内のソーシャルメディアでは、この現象はトレンドとしてまだ取り上げられていない。テンセント・ホールディングス(騰訊)のメッセージアプリ「微信(ウィーチャット)」が10億人強に利用されているのに対し、ワッツアップの利用者は数百万人と推定される。
ワッツアップの担当者はコメントを控えた。中国サイバースペース管理局(CAC)もファクスでの問い合わせに返答していない。
これまでも通常はアクセスできないサービスやサイトが短時間利用可能になることはあった。専門家によると、こうしたケースはネットワーク規制の不具合によるものだという。ただ今回は北京と上海の少なくとも一部ユーザーが2週間にわたり中断することなくワッツアップを利用できている。
アプリユーザーの少なくとも1人によれば、米アップルが中国当局の命令を受け、ワッツアップやスレッズを中国のアップストアから削除したのとほぼ同じタイミングで、ワッツアップが利用可能になった。
アップル、中国のアップストアからワッツアップ削除-当局の命令受け
原題:WhatsApp, Banned in China, Is Suddenly Working for Some Users(抜粋)
--取材協力:Kurt Wagner.
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最終更新:5/10(金) 11:36
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