「やりたいこと」を探すほど自信が奪われる理由 コストをかけなくてもやる気が出てくる習慣とは?
自信にあふれる人たちは「自分はすごい」という思い込みで傲慢な態度をとっている人々ではありません。むしろ謙虚な姿勢で、明るく自然体。しかも、自分の力を引き出すのがとてもうまいタイプなのです。『やりたいことができる私になる自信貯金』より一部抜粋・再構成のうえ、「自信のある人に共通する習慣」について解説します。
■大切なのは、成功体験の“大きさ”ではなく、“回数”
この記事を読んでいる人のなかには、「自信をもちたい。そのためには、なにか『やりたいこと』を見つけてスキルや資格を身につけ、自分を変えていかねば」などと考えている人がいるかもしれません。
しかし、「やりたいこと探し」に必死になっても、なかなか夢中になれることは見つからず、いざなにかやろうと思っても「面倒くさそう」「いまのままでいいか」と、気持ちが引き気味になってしまうのではないでしょうか。
無理もありません。「やりたいこと」というのは、探して見つかるものではないのです。
やりたいこと探しに必死になるのは、いまの自分に対して、「このままじゃ物足りない」と刷り込んでいるようなもの。「なにかないかな」と、心を満たしてくれるものを探せば探すほど、物足りなさは強くなり、自信も奪われていくというわけです。
じつは、だれもがすでに、自信がもてる要素を備えています。それは新しいことでなくても、これまであたりまえのように続けてきた「平凡な習慣」を続けること。それこそが自信の源といっていいでしょう。
たとえば、毎朝、ベッドを整えること。植物に水をあげること。家族や同僚に笑顔で「おはよう」と言うこと。仕事に行くこと。散歩すること。ときどき空を眺めること。
1日の終わりにお風呂にゆっくり浸かること……。そんなささやかな習慣は、少しだけ私たちを幸せに、そしてタフにしてくれる小さな“成功体験”なのです。
これまでくり返してきた習慣によって、いまの自分はつくられています。いざなにかをしようと思ったときに「なんとなくできそう」と感じる根拠のない自信や、自分のことを好きでいる自己肯定感につながっているのです。
大切なのは、成功体験の“大きさ”ではなく、“回数”。つまり、気づかぬうちに「自信貯金」と呼べるものが、ちゃんと貯まっているというわけです。
■いまの自分にあるものに目を向ける
本当の自信のある人は、特別なことをしていなくても、生き生きと輝いて見えます。安易に人と比べず、「私はいまの生活が好き」という誇りと、納得感があるからです。
夜、眠るときに「今日もいい1日だった」と思えるような日々を送れていたら、毎日、自分を幸せにできているのですから、それは自分への信頼も厚いはずです。
ありふれた毎日のなかにも、しみじみと味わえる豊かさや幸せがあり、感謝できることはたくさんあります。そんな平凡な暮らしが、なにかの拍子に崩れ去ってしまったとき、「自分は多くのものをもっていた」と気づくはずです。
いつでも、どこででも幸せになれる人は、いまの自分にないものを追い求めるのではなく、いまの自分にあるものに目を向けて、少しずつ成長、成熟していきます。
自然の法則のなかでは、時間とともにすべてのことが移り変わっていて、私たち自身も、まわりの環境も徐々に変化していきます。
自分を幸せにできる人は、基本的な習慣を続けているだけでなく、ときには仕事のやり方を変えてみたり、散歩の距離を少しだけ増やしたり、お風呂時間に読書をしたりと、習慣のマイナーチェンジもやっています。
自信とは、筋トレのようなもの。1キロのダンベルでトレーニングをして筋力がついたら、つぎは2キロのダンベルに挑戦してみたり、別のトレーニングをやってみたくなったりするのと同じ。ひとつの習慣を続けているうちに自信がついて、自然に別なこともやってみたくなる。ときには大きなチャレンジをしてみたくなるものです。
わざわざ「やりたいこと探し」をしなくても、自然の流れで「やってみたいこと」には出逢えるのです。
■やる気が出なくても、とにかくなにか行動を始める
まずは「簡単にできること」をポンポンと片づけましょう。自信をもっている人というのは、例外なく、フットワークが軽いものです。
しかし、どんな人であっても多かれ少なかれ「さぼりたい」「怠けたい」「ラクをしたい」という気持ちはあります。
仕事、家事、勉強など、やらなければならないことはたくさんあるのに、ついだらだらとテレビを見たり、スマホでネットサーフィンをしたりして、時間ばかりが過ぎていく。不安や焦りを感じているのに、行動に移せない自分が嫌になってしまう……ということは、だれにでもあるでしょう。
そんなときに「動くか・動かないか」が、自信にも大きな影響を及ぼすといえます。そもそも、どうして人は、だらだらして、やる気になれないのでしょう。
脳科学的な側面からいうと、「脳」という器官は、体重の2%程度の重さしかないのにもかかわらず、体全体で消費するエネルギーのうち約20%を使うといいます。ともかく脳は“大食漢”で、ものすごくエネルギーがいるのです。
もちろん、生きていれば、ほかの臓器もエネルギーを必要とするので、外からの刺激がないときは、脳は活動を抑制して、“省エネモード”でだらだらと働きます。
つまり、脳にはもともとできるだけさぼろうとする機能が備わっているのです。テレビやネットは主体的な行動ではなく受け身で、そこそこ心地よい刺激を与えてくれるので、何時間でもだらだらできます。といっても、脳は反応することで意外に疲れているのですが。
やる気が出ないときは、無理に気持ちを奮い立たせようとしてもうまくいきません。とりあえず、簡単なこと、好きなこと、やりやすいことから、ハードルを低くして、軽い気持ちでポンポンと片づけるのがポイントです。
やる気が出なくても「とりあえず10分だけ」とやり始めると、脳も徐々に活性化して“通常運転モード”に切り替わり、やる気が起こります。
大切なのは「やる気が出るまで待つ」のではなく、やる気が出なくても、とにかくなにか行動を始めること。そして、気が乗らなくても、作業を10分だけ、続けてみましょう。
脳のコンピュータが立ち上がって、積極的に動き始めるまで、最低10分程度、脳への刺激を与えることが必要だといわれます。始めてしまえば、“作業興奮”が起こり、いつの間にか熱中しているのです。
■無理に難しいことをしても、自信にはならない
また、飛躍的に成長しよう、自信をつけようと、いきなり難しいことから入る人もいますが、これもうまくいきません。
あなたにもこんな経験がありませんか。難しい参考書の練習問題にトライしようとしても、やる気がわかず、「やっぱり私にはムリ」とあきらめてしまう。けれど、難易度低めの練習問題を何度もくり返しているうちに、自信がついてくること。
人は「私にもできる」と希望をもつと、やる気がわいてくるのです。反対に、「私にはムリ」という無力感のまま進むのは、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるようなもの。当然のことながら、力も出ないし、成果も出せないでしょう。
仕事でも、学びでも、生活や遊びでも、難しい課題に挑戦するときは、全体をひとかたまりで見ると、その量や複雑さに圧倒されて気持ちも萎えてくるものです。
作業を10分から1時間以内で片づく程度の大きさに分解して、「ToDoリスト」に落とし込み、一つひとつクリアしていくと達成感もあり、俄然やる気もわいてきます。
私はやる気が出ないときは、一つひとつの作業を“丁寧”にやることにしています。たとえば、外出する気分になれないとき、いつもより丁寧に顔を洗い、丁寧にお化粧をし、丁寧に服を選んでおしゃれをする。すると、自然に気持ちが前を向いて、玄関を出るときには「楽しんでこよう!」という気分になっているのです。
「簡単なことから」「10分間」「丁寧に」を心がけていると、やる気のスイッチが入りやすくなり、最初の一歩が踏み出せるようになります。
ともかく動くことで、やる気になり、自信になることを忘れないでください。
東洋経済オンライン
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最終更新:9/15(日) 14:02