「報連相を徹底しろ」は今どき通じるのかを考えた かつてはビジネスの基本として叩き込まれたが今はどうか

6/26 7:32 配信

東洋経済オンライン

 時代がどんどん変化していく。そんな中で職場の人間関係の悩みはますます広く、深くなっていると思う。多様化しすぎていて、専門家でも太刀打ちできないことが増えているのだ。

 特に上司と部下との関係はデリケートだ。10歳も20歳も離れた部下ならば、悩みが深すぎて思考停止になるレベルであろう。

 しかし決してあきらめないでもらいたい。何事も原理原則である。ビジネスコミュニケーションの基本さえ押さえれば、たいていの悩みは解消するものだ。

 今回は上司と部下とのコミュニケーション、特に「報告・連絡・相談」の「報連相(ほうれんそう)」に焦点を当てて解説する。部下育成や組織内コミュニケーションで悩みを抱えている方は、ぜひ最後まで読んでもらいたい。

■「報連相」こそが最強のコミュニケーション

 「報連相」と聞いて、「え?  今どき?」と驚いた人も多いだろう。

 「報連相を徹底するだけで職場の人間関係が良好になるのなら、誰も苦労しない!」と思う人もいるはずだ。気持ちはわかる。

 私は常々、職場の人間関係を良好にするためには、「衛生要因」に着目すべきだと言っている。

 「衛生要因」とは簡単に言えば、「水」のように「あっても満足はしないが、ないと不満に思うもの」だ。仕事においては会社の方針と管理、上司との人間関係、労働条件などがそれにあたる。

 逆の意味で「動機付け要因」がある。これは「満たされると満足するが、満たされなくても不満ではない」もので、達成、承認、仕事そのもの、責任、昇進などがある。

 仕事のモチベーションを上げるには「動機付け要因」のほうが、効果的に思える。

 しかしどんなに好きな仕事に就いたとしても、上司からしょっちゅう承認欲求を満たすような声かけがあっても、会社の方針がおかしかったり、上司のマネジメントが不明瞭だったり、ルールを守らない社員がいても注意しないような人ばかりがいたらどうだろう。

 やはり「衛生要因」が満たされないと、職場に対するエンゲージメントは上がらないはずだ。

 大事なのは「点数を上げる」ではなく「点数を下げない」こと。退屈かもしれないが、上司は「部下の満足を増やしたい」と考えるのではなく、「部下の不満を減らそう」と考えるべきだ。

 そのとき、具体的な行動としてポイントとなるのが「報連相」である。普通のことだと思われるかもしれないが、20年近く現場に入って支援をしてきたものの、報連相が徹底されている企業は意外と少ない。たかが報連相、されど報連相なのだ。

■「連絡→報告→相談」が基本

 報連相とは、報告・連絡・相談の略だ。しかし覚えるときは、「報連相」ではなく「連絡→報告→相談」の順番を守って実践するようにしよう。

 まず「連絡」について簡単に解説しよう。報連相の中で、最も心理的ハードルが低く、絶対に欠かせないのが「連絡」だ。

 「来週の月曜日に緊急の朝礼を行うと、メンバーに連絡しておいて」

 「お客様に9時半には到着すると、連絡してくれないか」

 このように上司から言われて連絡を怠ったら、間違いなく部下は叱られる。難しいことではないし、誰だってできるわけだから、ついつい連絡を忘れてしまうような人は信頼されない。

 これは上司もそうだ。

 ・メールはいつ返信してくれるのか

 ・次回の打ち合わせはどんな内容になるのか

 ・課長会議で決まったことは何なのか

 何も連絡しない上司は、部下から信頼されない。

 「そのうち連絡するから」

 と言っておいて、なしのつぶての上司がいる。部下には「連絡がない!」と叱るくせに、自分は連絡を怠るのだ。

 ひどいのは、あとから連絡漏れが発覚することだ。たとえば課長のあなたがいないところで、部下が部長と次のような会話になったらどうだろう。

 「来月、大事なイベントがあるのに、そんな呑気なことやっていていいのか?  課長から聞いていないのか?」

 「え?  来月にイベントがあるんですか?  課長からは何も連絡を受けていませんが」

 「なんだと?」

 おそらく部下は「いつも課長は大事なことを連絡してくれない」とレッテルを貼るはずだ。こういった基本的なことを連絡せずにいたら、上司だろうと「減点」されるに決まっている。

 普段からの連絡を怠っておいて、

 「君の仕事をいつも評価しているよ」

 「君の将来のキャリアについて相談に乗ろうか?」

 と、部下の承認欲求ばかりを満たそうとするのは、“痛い”上司である。

■正しい報告をするための2つのポイント

 次に「報告」だ。

 連絡と異なり、報告するときは「進捗」はもちろん、「変化」や「結果」も意識して相手に伝えなければいけない。

 当然、上司は気になるから、

 「この商談はどうなってるんだ?  ちゃんと進捗を報告しろよ」

 「あの研修は終わったのか?  終わったのならキチンと結果の報告をしなさい」

 と、報告を怠る部下に小言を言う。しかし報告を怠る上司も多いのではないか。

 「来週から4日間、組織風土診断のアンケートが始まる。必ず提出期限を守るように」

 これは連絡である。それでは、報告とは? 

 「組織風土診断のアンケートを専門の企業に分析してもらっている。予想以上に時間がかかっているようだ。結果は10日後に出ると思う」

 これが進捗報告である。

 「先日行った組織風土診断のアンケートだが、結果はさらに3日ほど遅れるようだ」

 これも進捗報告である。「変化」があるたびに報告しよう。

 「3日遅れると伝えたが、予定通りに分析結果が出るようだ。結果が出たら、全社員に開示する」

 これが結果報告である。報告には主に「進捗」と「結果」の報告がある。部下から上司はもちろんのこと、上司から部下に対してもこまめに報告すべきである。

 「あれ、どうなったんですか?」

 と部下から質問されるようでは、人間関係を良好に保つことはできない。

 「なんのこと?」

 「組織風土診断のアンケートですよ。もう結果が出たんですか?」

 「ああ、遅れてるみたいだ。言わなかったっけ?」

 「聞いてませんが」

 こんな風に部下から質問される前に、上司も先回りして部下に報告することが重要だ。

■相談は相手への報酬と考えよ! 

 そして最後が「相談」だ。

 相談することがなくても、相談しよう。特に上司に対しては、相談をビジネスにおける「報酬」と捉えるべきだ。上司は部下から相談されるとうれしいものだ。解決を目的にしてしまうと、

 「ネットで検索したほうが早い」

 「ChatGPTで事足りる」

 と思うかもしれない。しかし相手と良好な関係を築くためと考えて、あえて自分で解決せず、相談しに行くのだ。

 これは上司から部下に対してもそうだ。部下に対しては「報酬」にはならないが、関係を築き、維持するのにとても役立つ。

 「オンライン会議のやり方、とても上手だよね?  コツがあったら教えてほしいんだけど」

 「SNSでこんな意見を見つけたんだけど、君はどう思う?」

 他愛もない相談でいいのだ。真剣に問題解決しようとせず、会話のきっかけ作りに使えると受け止めたらいい。

 「自分の意見を尊重してくれる」

 「私を頼ってくれるんだ」

 部下にこのように思ってもらえることが目的だ。

■全方位で「報連相の鬼」になれ! 

 最後にまとめよう。

 連絡は「発生型」だ。上司に対してだけでなく、部下にも連絡すべきことが発生したら、すぐに連絡しよう。反対に、報告と相談は「設定型」。自ら設定しないとできないので、報告と相談は強く意識すべきだ。

 私は自分に対しても、部下に対しても、クライアント企業の営業にも「報連相の鬼になれ!」と伝えている。上司や部下に対してはもちろんのこと、お客様に対しても「報連相の鬼」になってコミュニケーションをとるのだ。

 世の中には、いろいろな「話し方」「伝え方」「コミュニケーション」のテクニックが紹介されているが、私は「報連相」が基本だと思っている。

 どんなに口下手でも、聞き上手じゃなくても、報連相さえしっかりしていれば、人間関係を悪くすることはない。繰り返すが、たかが報連相、されど報連相だ。意外とみんな「できていない」ので、「報連相の鬼」になるだけで、大きな強みを手に入れられるものと受け止めたい。

 最後に、世の中の上司たちに伝えたいことがある。

 部下に報連相を意識してできない人は、部下にマウントをとりたいという気持ちが強すぎるせいだと自覚しよう。自分の上司にはできるのに、部下にはできないのなら部下を尊重していない証拠。

 「最近の若者は……」は通じない。全方位で報連相することを心がけよう。

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最終更新:6/26(水) 7:32

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