新NISA対象外でも存在感、「毎月分配型」投信への資金流入が回復

4/11 5:30 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 「毎月分配型」の投資信託が、逆風下で根強い存在感を示している。1月に始まった新NISA(少額投資非課税制度)の対象外とされ、先細りも懸念されたが、資金流入に回復の兆しが出てきた。

毎月分配型投信は、月ごとに決算を行い保有者に分配金を支払うファンド。安定的な分配金が受け、かつて一世を風靡(ふうび)したが、運用が振るわなくても資産を取り崩して分配金を出す商品性への批判もあり、市場シェアを失ってきた。

松井証券が毎月分配型(ETFなど除く)の資金の出入りを推計したところ、2024年1ー3月(第1四半期)はマイナス約160億円と、2四半期連続の純資金流出だったものの、流出規模は前期比で減っており、2月と3月は流入超過となった。

分配金を頻繁に捻出するため複利効果を得にくい毎月分配型投信は、長期投資に向かない商品とされ、新NISAの対象から除外されていた。新NISA特需から漏れ、蚊帳の外に置かれたとの見方もあったが、根強い需要が示された格好だ。

松井証の海老澤界ファンドアナリストによれば、投信マーケットでは「新NISAの対象商品でなければ投信には値しない」といった声が聞こえるほど、毎月分配型にとって逆風は強まっていた。

根強いニーズ

投資信託協会の資金純増ランキング(1カ月)では、9日時点でアライアンス・バーンスタイン(638億円)とインベスコ・アセット・マネジメント(508億円)の高分配投信が3位と4位に入った。上位2本は信託報酬を抑え、個人投資家に人気の「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(2273億円)などのインデックス型だった。

新NISAで買えない毎月分配型に資金が集まる背景について、松井証の海老澤氏は、NISAの投資枠に投資資金が収まらない富裕層などから「一定のニーズがある」と分析。新NISAを機に他の投信への乗り換えで毎月分配型を売却する動きも落ち着いてきたという。

海老澤氏によると、11年後半から12年にかけ全体の7割以上を占めた毎月分配型の残高は、直近で2割を切るまで減少した。商品性が顧客本位でないとする金融庁の圧力などが背景とみられる。同氏は「かつてが異常だった」とは言うものの、定期的に資金を受け取りたいという投資家心理は根強く、毎月分配型が消滅することはないとみている。

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最終更新:4/11(木) 5:30

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