株式週間展望=イベント通過、トランプ・トレード続くか
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フジクラ | 6,273 | +143 |
日経平均予想レンジ:3万8500-4万1500円
今週は特大イベントの米大統領選を通過し、株式市場はトランプ前大統領の返り咲きに好反応を見せた。FOMC(米連邦公開市場委員会)でも事前の予想に沿った0.25ポイントの追加利下げが打ち出され、マーケットには安心感が広がっている。ただ、為替と金利の激しい動きに対する反動も想定される中、日本株も目先は乱高下する可能性がある。
<米金利注視、来週はCPIも>
米大統領選は接戦とされた下馬評に反し、共和党のトランプ氏が激戦州を全勝する圧倒的な強さで民主党のハリス副大統領を下した。市場では財政拡張や規制緩和を意識し米長期金利が上昇し、これに伴い円安が急進行。株式もリスクオンに傾き、日経平均株価が再び4万円に接近した。
トランプ氏が1期目に巻き起こした株高の記憶もあり、市場は大統領選結果をひとまず好感した格好。ただ、同氏が主張する移民の大量送還や、輸入品に高関税を課す極端な政策は、世界に混乱をもたらす恐れもある。日本時間8日午後5時の段階でまだ結果の出ていない米下院選も共和が制することになれば、そうした懸念はより深まりそうだ。
米長期金利は大統領選の大勢が決した6日に、およそ4カ月ぶりの4.4%台まで上昇。FRB(米連邦準備制度理事会)の政策金利引き下げを受けて7日は低下したものの、今後も波乱の火種となる可能性がある。実体経済を踏まえても同国ではインフレ再燃への警戒感があり、次回12月のFOMCでは利下げがいったんストップする可能性が指摘されている。
そうした意味で、来週13日の米10月CPI(消費者物価指数)、14日のPPI(生産者物価指数)は注目だ。コア指数の市場予想はいずれも前月比プラス0.3%となっている。上ブレすればトランプ新政権への意識と相まって、金利が再び上昇する可能性がある。
<生成AI需要なお強く>
一方、日米の株式市場の精神的支柱の1つである生成AI(人工知能)の需要は引き続き堅調なようだ。データセンター向けの超多芯(しん)高密度光ケーブルで高シェアのフジクラ <5803> は好決算を発表。現地20日にはAI半導体最大手の米エヌビディアの決算も控える。
トランプ・トレードも中期的に継続しそうだ。シェールガス関連のほか、日銀の年内利上げ観測で金融株などには追い風が期待される。自動車株をはじめ輸出企業には関税リスクがつきまとうものの、EV(電気自動車)優遇策の転換は日本勢が得意とするハイブリッド車やガソリン車には商機となる。
日経平均は3万7500-4万円どころのボックス相場を形成しつつある。7-9月決算発表もおおむね一巡したため、今後はドル・円や米金利といった外部要因による受動的な展開が視野に入る。一方、累積出来高が多い価格帯は突破しているため、意外高の動きにも備えておきたい。
このほか、国内で11日に10月景気ウオッチャー調査と10月日銀金融政策決定会合の「主な意見」が公表される。海外では米10月小売売上高が15日に出るほか、同日に中国10月小売売上高や工業生産も。一方、ドイツの連立与党崩壊は気になる要素だ。
提供:ウエルスアドバイザー社
ウエルスアドバイザー
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最終更新:11/8(金) 18:03