アジア通貨と株が軒並み安-ドル高と元安レート、勢い欠く中国成長で

4/16 12:50 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 16日の外国為替市場では、米ドル相場が再び上昇の勢いを増し、アジアの新興国・地域通貨は、対ドルで注目されていた相場の節目を軒並み試す展開となった。自国通貨の下落に歯止めをかけるため、一部の通貨当局は為替市場介入を余儀なくされた。

中国の1-3月(第1四半期)の国内総生産(GDP)は予想を上回る伸びとなったが、景気回復に期待を持てるほどの強さを欠いた。米政策金利の高止まり観測への不安も加わり、アジア株の指標であるMSCIアジア太平洋指数は2%余り下げ、昨年8月以来の大幅安となった。

台湾積体電路製造(TSMC)やサムスン電子などテックハードウエア関連株が指数の下げを主導し、このままいけば昨年8月以来で最も長い5営業日続落となりそうだ。日本株と韓国株の下げが特に目立ち、オーストラリアのS&P/ASX200指数は年初来の上昇分を消した。

ブルームバーグ・ドル・スポット指数は5営業日続伸し、この期間の上昇幅を約2%に拡大した。短期金融市場が織り込む米当局の利下げ開始時期はいまや9月で、1週間前の7月から後ずれした。

INGグループの為替戦略責任者、クリス・ターナー氏は「現時点でドル強気の流れに逆らうのは極めて厳しい」とリポートで指摘。ブルームバーグ・ドル指数はさらに1.2%上昇して1280に達し、昨年10月以来の高水準に達する可能性があると同氏はみている。

ドルの騰勢に押される形で、中国人民銀行(中央銀行)は管理フロート(変動相場)制の制御を緩めざるを得なくなった。人民銀はこの日、人民元の中心レートを1ドル=7.1028元と、3月1日以来約1カ月ぶりの元安水準に設定し、アジアの新興国・地域通貨への下押し圧力が高まった。インドネシア・ルピアと韓国ウォンが特に大幅な下げに見舞われた。

インドネシア・ルピアは2020年以来4年ぶりに対米ドルで1ドル=1万6000ルピアを割り込み、インドネシア銀行(中央銀行)は、ルピア買いの市場介入に動いた。

韓国ウォンは22年後半以来となる1ドル=1400ウォンの心理的節目まで下げ、同国の通貨当局は過度に一方的な動きを警告した。マレーシア・リンギットも1998年以来の安値に近づき、マレーシア中央銀行はリンギットの下支えに動く用意があると示唆した。

台湾ドルも16年以来の安値を付け、フィリピン・ペソは22年後半以来の1ドル=57ペソに下落。インド・ルピーはドルに対する過去最安値を更新した。

MSCI新興市場通貨指数の年初来の下落率は1.8%に達した。

バークレイズのアジアFX&EMマクロ戦略責任者、ミトゥル・コテチャ氏は「ほとんどのアジア通貨はドル高に屈服せざるを得ないだろう。アジア通貨の動きは、米国利回り上昇と市場のリスク回避傾向の高まりが促した幅広いドル高に起因している。きょう人民元・中心レートが元安水準に設定されたことや円安によりさらに圧力が加わる」と指摘した。

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原題:Dollar Bulldozes Its Way Through EM Currencies Aided by Yuan、Asian Stocks Slide Most in Eight Months on China, Rates Concerns、Dollar Set for Best Run in Year With Fed Seen on Hold for Longer(抜粋)

--取材協力:Matthew Burgess.

(c)2024 Bloomberg L.P.

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最終更新:4/16(火) 21:17

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