FPである筆者のもとに、「物価は上がっているのに給料が上がらないので、資産運用をしたい」とご相談に来られる方も多くいらっしゃいます。
確かに、国民の実質賃金は減少傾向にあり、物価上昇に給料の増加が追い付いていないのも事実です。
しかし、資産運用を取り入れたら誰しも大きく資金を増やせるのかというと、そうではないと考えています。
なぜなら、資産運用には価格変動リスクなどが伴うからです。
大切なのは、自分に合った金額で、家計やライフスタイル、リスク許容度に合った資産運用を目指すことです。
今回は、実際に資産を大きく増やしている方が多い傾向にある「富裕層」のお金の使い方について見てみましょう。
40歳未満~50歳代において、月の生活費がどれくらいかかっているのか平均額もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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【月の生活費】40歳未満~50歳代「年代別」の平均はいくら?
現役世代の月の生活費はどれくらいかかっているのでしょうか。
総務省統計局「家計調査報告家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」より、今回は二人以上世帯のうち勤労者世帯に視点をあてて、世帯主の年齢階級別に月の生活費を確認します。
●【40歳未満】月の生活費
・実収入:60万6539円
・消費支出:28万544円
・非消費支出:9万18円
・家計収支:23万5978円
●【40歳代】月の生活費
・実収入:70万607円
・消費支出:33万1526円
・非消費支出:12万9607円
・家計収支:23万9474円
●【50歳代】月の生活費
・実収入:71万898円
・消費支出:35万9951円
・非消費支出:14万1647円
・家計収支:20万9300円
年代が上がるにつれ収入が増えていますが、消費支出・非消費支出も増えています。
またあくまで平均であり、家庭差も大きいでしょう。
物価高により家計が圧迫されているご家庭がある一方で、日本では富裕層や純富裕層が増加傾向にあります。
「富裕層と準富裕層」は日本にどのくらいいる?
富裕層の定義には複数の基準がありますが、野村総合研究所の発表によると、「富裕層」とは純金融資産が1億円以上5億円未満の世帯を指します。
さらに、純金融資産が5億円以上の世帯は「超富裕層」と分類されています。
純金融資産保有額別の世帯数と資産規模
出所:株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」(2025年2月13日)
日本には、純金融資産1億円以上を保有する富裕層(超富裕層を含む)が165万3000世帯いるとされています。
●【一覧表でチェック】富裕層の「世帯数」と「保有資産規模」
・超富裕層(5億円以上):11万8000世帯/135兆円
・富裕層(1億円以上5億円未満):153万5000世帯/334兆円
・準富裕層(5000万円以上1億円未満):403万9000世帯/333兆円
・アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満):576万5000世帯/282兆円
・マス層(3000万円未満):4424万7000世帯/711兆円
なお、日本では「超富裕層」や「富裕層」に分類される世帯の資産規模や割合が年々増加傾向にあります。
国民の平均所得額は減少傾向…。一方で「日本で富裕層は増えている」って本当?
厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、2002年の平均所得は602万円、中央値は485万円でした。
一方、2023年のデータでは平均所得が524万4000円、中央値は405万円と、いずれも大きく低下しています。
2024年は前年と比べ少し上がり、平均所得は536万円、中央値は410万円となりましたが、2002年と比較すると家計の所得水準は下がっており経済環境の変化が家計に影響を及ぼしていることがわかります。
このように、日本全体の所得水準が停滞している一方で、富裕層の資産は下記のとおり着実に拡大しているのが実情です。
●富裕層と超富裕層が保有する「資産総額」の推移をチェック
・2015年:121万7000世帯・272兆円(+20.9%・+12.9%)
・2017年:126万7000世帯・299兆円(+4.1%・+9.9%)
・2019年:132万7000世帯・333兆円(+4.7%・+11.4%)
・2021年:148万5000世帯・364兆円(+11.9%・+9.3%)
・2023年:165万3000世帯・469兆円(+11.3%・+28.8%)
次章では、「富裕層は何にお金を使っているのか」について、調査データをもとに確認していきましょう。
【消費動向調査】お金持ちはどんなことにお金を使ってる?
続いて、ラグジュアリーカードの調査データを参考に、新富裕層のお金の使い方について見ていきましょう。
「2024年の新富裕層の消費動向」の調査概要は以下のとおりです。
・調査対象期間:2024年1月1日~2024年12月31日
・調査対象:期間中のラグジュアリーカード(チタンカード、ブラックカード、ゴールドカード、ブラックダイヤモンド)会員※人数非公開
●富裕層の主な支出カテゴリーTOP3
・1位:オンライン通販
・2位:飲食店・レストラン
・3位:バー・居酒屋
オンライン通販の利用先としては、Amazon、メルカリ、Dellが中心となっており、リモートワークの普及や自宅環境を充実させたいというニーズの高まりが背景にあると考えられます。
飲食分野では、Uber Eatsや高級レストランの利用など、外食への支出も引き続き高水準を維持しています。
さらに、ビジネス関連サービスの利用は前年比2.7倍と大幅に増加しており、INVOYやマネーフォワードなど、経費管理や業務効率化に投資する傾向が強まっています。
●「ロレックス」の取扱高が前年比で531%増!
カテゴリー別の取扱高前年比で第3位となったのは、「宝飾店・時計・銀製品」で、なかでもロレックスは、2024年の取扱高が前年比約531%という非常に大きな伸びを示しています。
注目すべきは購入者層で、ロレックスの購入者のうち約4割が35歳以下という結果が出ています。
若い世代の間でも、「自分への投資」として高級時計を選ぶ傾向が強まっていることが浮き彫りになりました。
●「ユニクロ・GU」でも前年比215%の増加に
意外な注目を集めたのがユニクロとGUで、2024年の取扱高は前年比約215%増と大きく伸びました。
さらに、ラグジュアリーカード会員を対象としたライフスタイル調査でも、「よく身に着ける洋服ブランド」としてユニクロが42.1%と最多票を獲得しています。
「高級品=ステータス」という価値観だけでなく、「自分に合ったスタイルを選ぶ」という意識が、新富裕層の間で広がっていることがうかがえます。
自分に合った資産形成の方法を考えてみましょう
ここまで、平均所得額の推移や、富裕層が増加していることについて詳しく解説しました。
実際に大きな資産を貯めている富裕層は、使うお金について目的を明確にしていることが伺えます。
なかなか貯金が増えていかない方は、何にお金を使っているのか把握できておらず、貯められるはずのお金も使ってしまっている可能性も考えられます。
まずは、今のお給料をどのように使っているのか確認するとよいでしょう。
資産を増やすための第一歩が「先取り貯金」です。
将来のために積立が必要な金額を先に引き落として、残りの金額を生活費とする方法です。
使いすぎを防ぐことができるため、目標とする大きな資産を貯める近道になるのではないでしょうか。
家計やライフスタイルをチェックして、自分に合った資産形成の方法を考えてみましょう。
参考資料
・厚生労働省「国民生活基礎調査2002年」
・厚生労働省「国民生活基礎調査2023年」
・厚生労働省「国民生活基礎調査2024年」
・株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計 | ニュースリリース | 野村総合研究所(NRI)」
・Black Card 1株式会社「【ラグジュアリーカード|新富裕層の消費動向調査】円安・物価高を超えた消費パワー、12月には過去最高の取扱高を更新! (PRTIMES)」
・総務省統計局「家計調査報告家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
横野 会由子
最終更新:11/9(日) 19:15