【為替本日の注目点】ドル円わずかに34年ぶりの高値を記録

3/28 11:04 配信

サーチナ

 ドル円は昨日の東京時間午前中に151円97銭まで買われ、わずかながら2022年10月の高値を抜く。政府が3者会合を開き市場に強いメッセージを送ったこともあり、NYでは151円17銭まで下落。ユーロドルは1.08台前半で小動き。株式市場は3指数が揃って反発。S&P500は44ポイント上昇し最高値を更新。債券は続伸。長期金利は4.19%台に低下。金は続伸し2200ドル台に。原油は小幅に続落。

ドル/円 151.17 ~ 151.42
ユーロ/ドル 1.0811 ~ 1.0829
ユーロ/円 163.43 ~ 163.73
NYダウ +477.75 → 39,760.08ドル
GOLD +13.50 → 2,212.70ドル
WTI -0.27 → 81.35ドル
米10年国債 -0.041 → 4.190% 

【本日の注目イベント】
豪 2月小売売上高
独 3月雇用統計
英 10-12月期GDP(改定値)
英 10-12月期経常収支
米 債券市場、短縮取引
米 新規失業保険申請件数
米 10-12月GDP(確定値)
米 3月シカゴ購買部協会景気指数
米 3月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
米 2月中古住宅販売成約件数

 ドル円は昨日の東京時間昼前に上昇し、一時151円97銭までドル高が進みました。これで、わずかですが2022年10月に記録した151円96銭(一部には151円95銭と表示するところもあります)を抜き、34年ぶりのドル高を付けたことになります。ドルが買われた背景には、中国人民銀行の「基準値」が元安方向に設定された影響もあったようですが、直接的には今回も日銀審議委員の発言でした。田村審議委員は、「青森県金融経済懇談会」で講演を行い、先行きは経済・物価・金融情勢次第としつつ「ゆっくりと、しかし着実に金融政策の正常化を進め、異例の大規模金融緩和を上手に手仕舞いしていくため、これからの金融政策の手綱さばきは極めて重要だ」と述べさらに、「当面、緩和的な金融環境が継続する」と、植田総裁が決定会合後の記者会見で述べた発言と足並みを揃えていました。市場は「円の金利は当面上がらない」と受け止めて円売り加速させたようです。

 ただ、市場ではその後急速に介入警戒感が高まり、ドル円は利益確定の円買いに水準を下げ、欧州市場では151円03銭前後まで売られ、NYでも上値の重い展開でした。財務省・金融庁・日銀は関係者が集まり、「3者会合」を開き情報交換を行いました。神田財務官は、「最近の円安の進展はファンダメンタルズに沿ったものとは到底言えず、背景に投機的な動きがあることは明らかだ。行き過ぎた動きに対してはあらゆる手段を排除せずに適切な対応を取る」と述べ、これまでよりも強い言い回しになった印象です。やはり財務省としては152円を前にして、強いメッセージを発しておく必要があったと考えられます。市場参加者も、これまでよりも強いメッセージを感じ取り、ひとまずポジションを縮小する動きを取り、これがドル円を151円手前まで押し下げたものと思われます。

 今後は、もちろん水準にもよりますが、常に介入を警戒する必要がありそうです。これまでの「口先介入」から一歩踏み込んだと思われ、仮に介入があれば5円~6円程度円高方向に振れる可能性はありそうです。ただ、これまでの筆者の経験からすれば、介入でトレンドが変わる可能性は極めて低いと考えます。米国も巻き込んだ「協調介入」であれば話は別ですが、インフレの再燃懸念が急速に高まっている米国にとって「ドル高」はインフレ抑制にはプラスに働くため、その可能性はほとんどないでしょう。これでドル安が急速に進めば、米国のインフレを加速させることにもなり、米財務省としても受け入れられないところでしょう。

 イエレン財務官は市場介入について2022年8月15日に次のような発言を行っています。曰く、「市場が決定する為替レ―トがドルにとって最善の仕組みであり、われわれはそれを支持している」と。この文言からすれば、「為替レートは市場が決定するもの」といったニュアンスが汲み取れます。また、政府日銀が2022年10月24日に実際に市場介入に踏み切った後では、「日本のいかなる介入も知らない」、「介入が行われる場合、以前は日本から確かに通知があった。ボラティリティに対する懸念からだと理解した」、「新たな介入に関して米財務省はあらためて連絡を受けてはいなかった」とイエレン氏は語っています。いずれにしても、財務省はかなり「本気」であると理解して、ここからは慎重に対応することが肝要になります。

 本日のドル円は150円50銭~152円程度を予想します。ないとは思いますが、仮に政府日銀が「押し下げ介入」に踏み切るようだと、この予想レンジは何の意味もありません。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)

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最終更新:3/28(木) 11:04

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