<新興国eye>インドネシア中銀、0.25ポイント利上げ―通貨ルピア急落阻止狙い

4/25 10:21 配信

ウエルスアドバイザー

 インドネシア中央銀行(BI)は24日の理事会で、インフレ抑制と通貨ルピア相場を安定させるため、主要政策金利の1週間物リバースレポ金利を0.25ポイント引き上げ、6.25%とすることを決めた。市場の大方は据え置きを予想していた。
 

 また、中銀は過剰流動性を吸収するための翌日物預金ファシリティー金利(FASBIレート)も5.50%、翌日物貸出ファシリティー金利も7.00%へと、いずれも同率引き上げた。
 

 中銀はインフレ加速を受け、22年8月会合で利上げに転換、23年1月会合まで6会合連続で金利を引き上げたが、利上げ幅が計2.25ポイントに達したことを受け、同2月会合で金利据え置きに転換、同9月会合まで8会合連続で据え置いた。同10月会合で再利上げに踏み切ったが、同11月会合で据え置き、前回3月会合まで5会合連続で据え置いていた。利上げは23年10月会合以来で、6.25%の金利は過去最高となる。
 

 中銀は声明文で、今回の利上げについて、「世界的なリスク悪化の影響から通貨ルピア相場の安定を強化するためであり、インフレ率を24年と25年に前年比1.5-3.5%上昇(中央値2.5%上昇)の物価目標の範囲内に抑制するための先制的かつ将来を見据えた措置」とし、通貨下落を阻止するためとしている。市場では今回の利上げはコロナ禍以来の安値まで落ち込んだルピア相場を支えるための1回限りと見ている。ルピアはドルに対し、年初来で5.07%も急落していたが、利上げ発表後はルピア高方向に大幅に改善した。
 

 ペリー・ワルジヨ総裁は会見で、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げサイクル開始の遅れや中東情勢の不確実性を指摘した上で、「現状でインドネシア経済へのリスクを軽減するために強力な政策対応が必要だ」と述べた。ルピア安は輸入インフレを加速させるため、ルピア相場の安定はインフレ防止にもなる。
 

 今後の金融政策について、中銀は通貨ルピア相場を安定させるため、政策金利を高めに維持する一方で、景気を支援するため、企業や家計部門への銀行信用(貸出)を一段と拡大する方針。
 

 市場ではルピア相場の不安定な状況がしばらく続くため、中銀は利下げサイクルの開始を24年末か25年初めまで遅らせると見ている。それまでは金利は据え置かれると予想している。利下げサイクルの開始については、ワルジヨ総裁は前回会合で、ルピア相場の安定とインフレの低下を確実にするため、「しばらく政策金利を据え置き、24年下期に利下げの余地があるか判断する可能性が高い」と指摘していた。ただ、市場ではインドネシア中銀の利下げペース(利下げ幅)はFRBのペースに合わせるため、利下げ回数も少なく、小幅利下げになると予想している。
 

 これまで中銀は景気支援策として、23年7月会合で、一般の商業銀行やシャリア銀行などを対象とした流動性強化政策(KLM)を決め、同10月1日に銀行が中銀に積み立てる預金準備率を引き下げたが、今回の会合では、「引き続き、このKLMを一段と強化する」としている。その上で、「KLM強化により、直ちに81兆ルピアの追加流動性が提供され、流動性のインセンチブ(奨励策)規模を246兆ルピアに高めることができる」としている。
 

 次回の会合は5月21-22日に開かれる予定。
 

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 アジア債券 <1349> 、上場EM債 <1566> 、アセアン50 <2043>
 

提供:ウエルスアドバイザー社 
(イメージ写真提供:123RF)
 

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最終更新:4/25(木) 10:21

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