クシュタール会長、セブンへの提案強化の可能性-資産査定を条件に
(ブルームバーグ): カナダのコンビニ大手でセブン&アイ・ホールディングスに買収提案しているアリマンタシォン・クシュタールのアラン・ブシャール創業者兼会長は13日、デューデリジェンス(資産査定)で財務状況を把握できるようになれば、その結果を基に買収提案を強化できる可能性があると述べた。
同日都内で開いた会見で、ブシャール氏は改めて、デューデリジェンスに必要なデータにアクセスできていないと主張。秘密保持契約を結んでデューデリジェンスができるよう、セブン側に求めた。またセブンとの買収が実現すれば真の「チャンピオン」になれると強調し、敵対的買収は検討していないとも述べた。
クシュタールは、セブン買収に対する株主や日本の消費者の理解を得るため、情報発信を強化している。自社の紹介や主張を掲載するウェブサイトも公開した。足元ではセブンとのつばぜり合いも垣間見える。同社が10日に公開した株主への書簡を受け、クシュタールは11日、セブンの対応が非常に限定的だとする声明を発表。協議の焦点が米国の規制当局の承認関連ばかりで、失望していると述べていた。
13日の会見でクシュタール経営陣は、日本事業への考えも示した。セブン買収で合意に至った場合、日本での店舗閉鎖や従業員解雇は考えておらず、投資や雇用を生み出す考えを強調した。フランチャイズモデルを尊重し、維持したいとしたほか、加盟店オーナーのサポートを強化し、利益率を改善したいとも述べた。
クシュタールは昨年、買収額として1株18.19ドル(約2700円)を提示。セブンの12日終値(2178.5円)を大きく上回る水準だ。また1月にはセブンの要請に応じて円建ての非拘束的な修正提案を提出したという。具体的な換算額については言及しなかった。
こうした中、今後焦点になるのは株主の動きだ。すでに一部株主はセブンの対応に不満を示している。セブンの株主である米資産運用会社アーチザン・パートナーズ・アセット・マネジメントは9日付でクシュタールとの交渉などを求める書簡を送ったほか、13日にはセブンの相次ぐ取締役辞任を受け経営陣の責任追及を株主に呼びかけた。
セブンは全ての事実を把握していないアーチザンが、株主価値顕在化に向けたあらゆる選択肢を追究するというセブンの姿勢を誤って認識しており、遺憾と10日に反論していた。5月27日に株主総会を控える中、今後他の株主からも同様の要求をつきつけられる可能性もある。
セブンは6日、買収提案を検討する特別委員会の委員長を務めたスティーブン・デイカス氏が5月27日付で社長に就く人事を発表。2030年度までに総額2兆円の自己株を取得することや、SEIの新規株式公開(IPO)計画なども明らかにしていた。
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最終更新:3/13(木) 13:15