中国ナショナリズムが飲料大手を直撃、ネット上でバッシングの標的に

3/12 16:10 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 中国の飲料大手、農夫山泉は愛国的な中国ネット市民の主要ブランドに対するバッシングの新たな標的となっており、ナショナリズムが強まりつつある環境に置かれた国内企業の課題を浮き彫りにしている。

主要な競合企業の杭州娃哈哈集団の創業者、宗慶後氏が2月25日に死去したことをきっかけに、農夫山泉の製品の味や品質を巡る苦情の声が高まり、ネット上で農夫山泉の製品ボイコットの呼びかけが広がった。それ以来、同社の株価は香港市場で6%近く下落し、中国本土銘柄から成るハンセン中国企業株(H株)指数の構成銘柄で最悪級のパフォーマンスとなっている。

農夫山泉を巡っては、娃哈哈など他のブランドと比べたボトル水の品質に関する議論が長年続いているほか、日本を連想させる要素があると一部の人々が主張する製品パッケージから、同社の創業者で中国一の資産家の鍾睒睒氏の経営戦術に至るあらゆるものが批判の対象となっている。また、鍾氏の息子が米国のパスポートを持っているとの疑惑も、一族の中国への忠誠を疑問視するネット市民の怒りを招いた。

農夫山泉の複数の幹部にブルームバーグが電子メールでコメントを求めたが、すぐには返答が得られなかった。同社に電話したが、応答はなかった。

一部の中国企業はここ数年、買い物客の関心を主要グローバルブランドから中国製品にシフトさせた愛国心の高まりの恩恵を受けている。しかし、農夫山泉を巡るネット上の騒動は、ナショナリズムの圧力が高まる中で、国内の大企業でさえも陥りかねない落とし穴を浮き彫りにした。

こうした状況は、低迷する中国本土の民間部門を回復させ、今年5%前後の成長目標達成を目指す政府にとっても、課題となっている。

原題:China Nationalists Target Top Tycoon’s Firm in Internet Boycott(抜粋)

--取材協力:Jing Li、Josh Xiao.

(c)2024 Bloomberg L.P.

Bloomberg

関連ニュース

最終更新:3/12(火) 16:10

Bloomberg

最近見た銘柄

ヘッドラインニュース

マーケット指標

株式ランキング