国民民主党は12月11日、いわゆる「空室税」の導入に向けた法案を、衆議院に単独で提出した。都市部を中心に住宅価格・家賃の高騰が続く中で、投機的な取引をおさえ、居住希望者の需要に応じた住宅供給を促す狙いだ。
おおまかな法案の内容をまとめるとともに、2人の不動産投資家に法案への受け止めや想定される影響を聞いた。
■「居住実態ない住宅」と「2年以内の転売」に課税強化
法案では、対象地域として、東京23区や政令指定都市、保養地などを挙げている。投機的な取引、居住実態のない住宅の増加で、住宅供給が減り価格・家賃が高騰する地域を指定して、状況の改善を目指す。
法案の柱の1つはいわゆる「空室税」で、住宅価格などが高騰する地域で、居住実態のない住宅の所有者へ課税できるようにするものだ。土地価格をもとに税金の額を決めるが、税率は、法律の施行後に政府が設計することになる。
もう1つの柱が、短期転売の抑制だ。取得から2年以内の住宅などを譲渡した場合に、個人では譲渡による事業所得・雑所得を他の所得と分けて課し、法人では通常の法人税と別に追加課税などを行う。
一方、転勤や療養、親族の介護など、やむを得ない事情によって居住実態が無くなる場合には、課税の対象から外すことにしている。
■制度設計の焦点は
法案では、政府に対して施行後1年以内に必要な法整備を求めている。また、政府が実態を調査することも盛り込み、投機的な取引などが物件価格・家賃に与える影響を把握した上で、制度を具体化する方針だ。
国民民主党は今年の参議院選挙で「空室税」導入を公約に盛り込んだ。その際、外国人の投機的な取得を課税対象としたが、こうした取引は外国人も日本人も行っているとして、この法案では国籍を限定していない。
今後の焦点は、1)「非居住」を認定する基準、2)「住宅価格等高騰地域」の線引き、3)課税時の税率、4)既存の税制との整合性などだろう。
最終的な制度のかたちによっては、不動産投資家の物件保有や売却戦略に大きな影響を及ぼすことになる。今後、各党に賛同が広がるのか、そして法案が成立した場合の具体的な制度設計の行方に関心が集まりそうだ。
■国民・浜口政調会長「住宅取得しやすい環境整えたい」
今回の法案提出について、国民民主党の浜口誠政調会長は「住宅価格や家賃の上昇を是正し、住宅を買いたくても変えない人がいる状況を改善したい。対象地域などの詳細は、どのような形がよいか検討が必要だ」と話している。
また「他党には、同様の問題意識を持っている党もいるはずだと考えており、これから働きかけていきたい。法案を成立させ、住宅を取得しやすい環境を整えられるよう粘り強く取り組む」と意気込む。
■不動産投資家の法案に対する考えは
不動産価格の上昇を受けた規制への動きを、不動産投資家はどう見ているのだろうか。
関西などで30年以上の不動産投資歴がある「MOLTA」さんは、「都心の物件高騰は間違いなく、価格を抑える政策は理解できる。賃貸物件の空室への課税は危惧しておらず、法案で対象になる地域では、周辺相場を見て家賃を下げればいずれ入居が決まるからだ」と話す。
そのうえで「急な転勤などを理由とする空室を対象から外すことも重要だが、制度に例外を作れば、その穴をついて裏をかく人も出てくるだろう。政府には何かを規制するよりも、国民の可処分所得を増やし住宅が購入できるようにする政策に注力してほしい」という考えだ。
一方、関東圏で不動産投資を行う「しげお@」さんは、「対象は住居・賃貸の両方になるのか、空室をどう認定するのか、税率はどうなるかなど、詰める必要がある重要な要素が多く、目的通り機能する制度設計は簡単ではないと思う」と話す。
また「空室や短期転売で税率が2倍になるなら、投機的な動きを控える人もいるだろうが、多少税率が上がるくらいなら焼石に水かもしれない。最終的な制度によるが、都心の物件価格上昇はなかなか止めづらいかもしれない」としている。
不動産投資の楽待 編集部
最終更新:12/14(日) 11:00