[上海 21日 ロイター] - 中国の大手国有銀行は今週、オンショア・スワップ市場で人民元をドルに交換し、為替スポット市場でそのドルを売却しているもようだ。関係筋2人が21日、ロイターに明らかにした。
元相場はこの1週間で2%上昇し、約4カ月ぶりの高値となる1ドル=7.13元前後。関係筋によると、大手国有銀は今週もドル売り・元買いを続けている。
国有銀は当局に代わって為替市場に介入しているとみられることが多いが、通常は元安圧力が高まった際にドルを売っており、幅広くドル安となっているこのタイミングは珍しい。
元相場の回復を加速させる狙いがあるのではないかとディーラーは見ている。国有銀行が元の上昇を加速させ、輸出企業に外貨収入の元への交換を促そうとしているとの見方も一部から聞かれた。
国内スポット元は一時1ドル=7.1296元に上昇し、基準値(中間値)を4カ月ぶりに上回った。
中国人民銀行(中央銀行)が設定する元の対ドル基準値も今週上昇。きょうの基準値は7.1406元で8月7日以来の元高水準だった。
ソシエテ・ジェネラルのリード・アジア・マクロ・ストラテジスト、キヨン・ソン氏は「このレベルで基準値をドル安方向に設定しているのは驚きだ。人民銀が政策金利引き下げの地ならしをしているように見える」と述べ、外部環境が好ましい時に、できるだけ元を押し上げようとしていると指摘した。
経済の活性化になお政策支援が必要だが、米国などとの金利差を考えると一段の金融緩和は元を押し下げるとアナリストは指摘する。
人民銀は、流動性の供給を拡大しているが貸出金利は据え置いている。
クレディ・アグリコルの首席中国エコノミスト、Zhi
Xiaojia氏は「ドルがさらに大きく下げるか、センチメントを好転させる出来事がない限り、現在の水準付近で一定のボラティリティーが想定される」と指摘。そのうえで「現実に金利差は相当あり、金利や準備率の引き下げなど一段の政策緩和を予想する」と述べた。
ロイター
最終更新:11/21(火) 20:27
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