10日の日経平均は大幅反落。終値は491円安の48088円。米国株安を受けて下落して始まると、寄り付き天井となって早々に下げ幅を3桁に拡大。ファーストリテイリング<9983>が決算を受けて大幅高となったが、三連休を前に幅広い銘柄が売りに押される中、9時台後半辺りからは下方向に勢いがついた。500円近い下落で前場を終えると、後場には下げ幅を600円超に広げる場面もあった。ただ、節目の48000円を割り込んだところでは下値が拾われており、終盤にかけてはやや下げ幅を縮小。大幅安とはなったものの、終値では48000円を上回った。
東証プライムの売買代金は概算で6兆3300億円。業種別ではプラスは小売1業種のみで、食料品や空運が小幅な下げにとどまった。一方、証券・商品先物、鉱業、石油・石炭などが大幅な下落となった。同種軟骨細胞シートの第3相試験において第1例目の症例が登録されたと発表したセルシード<7776>が、買いを集めてストップ高比例配分。半面、特別調査委員会の設置および上期決算発表の延期を発表したエア・ウォーター<4088>が、売りが殺到してストップ安比例配分となった。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり149/値下がり1442。決算が好感されたファーストリテイリングが6%を超える上昇となり、久々に節目の5万円を上回った。決算発表を前に良品計画が2%を超える上昇。キーエンス、安川電機、ファナックなどFA・ロボット関連が地合いの悪い中でも堅調に推移した。上方修正や増配を発表した吉野家HDが大幅高となった。
一方、IHI、三菱重工、川崎重工の防衛大手3社がそろって大きめの下落。ソニーG、日立、NECなど電機株が弱かった。前日急騰したソフトバンクGが3%を超える下落。原油価格の下落を受けて、INPEX、石油資源開発、ENEOSなど原油との連動性が高い銘柄の下げが大きかった。今週は高市氏の自民党総裁選勝利を材料に核融合、ドローン、宇宙関連などが強く買われる場面があったが、きょうはその反動が強めに出て、助川電気工業、テラドローン、アストロスケールなどが急落した。
日経平均は大幅安。ただ、一時48000円を割り込んだものの、そこからさらに売り叩くような動きは見られなかった。終値(48088円)では48000円や5日線(48059円、10日時点)を上回っており、きょうの下げに関しては、相場のトレンドを変えるようなものではなかったと考えられる。
ただ、引け後に公明党の斉藤代表が高市自民党総裁に連立離脱の方針を伝えたことが伝わっており、斉藤代表も会見を行っている。公明党は首班指名で高市氏ではなく斉藤代表の名前を書くもよう。斉藤代表は会見で、「政治とカネ」の問題が離脱の大きな理由であった旨の発言を行っている。自公が分裂となると、野党も自民党とは距離を置いてくるだろう。今週の株式市場は「前祝いムード」一色となったが、今の自民党は少数与党。「サナエノミクス」始動どころか、高市氏が首班指名で勝てない可能性も出てきた。この三連休の間にも政治に関する様々なニュースが出てくると思われるが、高市氏が本当の意味で「自民党を変える」メッセージを出してこないと、期待が相応に高まった分、失望の反応が大きくなってしまうだろう。
【来週の見通し】
波乱含みか。月曜が休場で立ち合いは4日。10日の引け後に公明党が連立離脱の意向を示したことが伝わっており、「高市トレード」の逆回転による円高・株安に対する懸念が浮上してきた。米国では金融株を中心に決算が出始める。堅調推移が続いている米国株が決算を材料に一段高となるようであれば、グローバル株式市場にとって安心材料になると見込まれる。また、成長期待の高い銘柄に関しては、反動安に見舞われる場面があっても押し目では買いが入るとみる。それでも、政治に関するニュースが指数や為替を大きく動かす可能性が高いだけに、週を通して不安定な動きが続くだろう。
【今週を振り返る】
大幅高となった。自民党総裁選で高市早苗氏が勝利したことを好感して、週明け6日の日経平均は2000円を超える大幅上昇。高市氏が政策通と見られていたことから、幅広い銘柄に買いが入った。積極財政や金融緩和が意識されて為替市場で円安が進行したことも日本株の上昇を後押しした。7日は上を試した後に失速して小幅なプラスにとどまり、8日はハイテク株が弱く3桁の下落となった。一方、9日はソフトバンクグループが上昇をけん引して800円を超える上昇。10日は三連休を前に大幅安となったが、週間では政治の変化に対する期待から大きく水準を切り上げた。日経平均は週間では約2319円の上昇となり、週足では6週連続で陽線を形成した。
【来週の予定】
国内では、「2025大阪・関西万博」が閉幕(10/13)、9月マネーストック、「CEATECジャパン2025」(幕張メッセ、~10/17)(10/14)、9月訪日外客数、20年国債入札(10/15)、8月機械受注(10/16)などがある。
企業決算では、イオン、Jフロント、コスモス薬品、高島屋、U-NEXT、クリレスHD、SHIFT、イズミ、いちご、アークス、ディップ、イオン北海、ドトル日レス、MV東海、IDOM、タマホーム、大黒天、イオン九州、SFoods、ボードルア、カーブスHD、TSIHD、ファンタジー、リテールPT、SFP、進和、ラクトJPN、PRTIMES、スタジオアリス、エコス、ライク、ブックオフGH、佐鳥電機、ククレブ(10/14)、東宝、ベイカレント、マネフォワード、サイゼリヤ、松竹、ウイングアーク、ウエストHD、日置電、パソナG、TKP、グロービンク、トランザクショ、ベクトル、アクセルスペ、FPパートナー、日本国土、前沢工、TENTIAL、東名、DDグループ、ABEJA、バロック、メディアドゥ、テラスカイ、オキサイド、レント、ANAP、オープンG、セラク、JRC、串カツ田中、ヨシムラフード、北の達人、出前館、シーラHD(10/15)、東製鉄、アンビス、アジュバンH、ゲンダイAG(10/17)などが発表を予定している。
海外の経済指標の発表やイベントでは、ノーベル経済学賞、中国9月貿易収支(10/13)、独10月ZEW景況感指数、IMF世界経済見通し発表、Windows10サポート終了予定(10/14)、中国9月生産者物価指数(PPI)、中国9月消費者物価指数(CPI)、米9月消費者物価指数(CPI)、米10月ニューヨーク連銀製造業景気指数、米地区連銀経済報告(ベージュブック)、G20財務大臣・中央銀行総裁会議(~10/16 ワシントン)(10/15)、米9月小売売上高、米9月生産者物価指数(PPI)、米10月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数、米10月NAHB住宅市場指数(10/16)、米9月住宅着工件数、米9月建設許可件数、米9月輸出物価指数、米9月輸入物価指数、米9月鉱工業生産指数、米9月設備稼働率、米8月対米証券投資(10/17)などがある。
米企業決算では、ファスナル(10/13)、ゴールドマン・サックス、ジョンソン&ジョンソン、JPモルガン、シティグループ、ブラックロック、ウェルズ・ファーゴ、ドミノ・ピザ(10/14)、モルガン・スタンレー、バンク・オブ・アメリカ、PNCファイナンシャル、アボット・ラボラトリーズ、シンクロニー・ファイナンシャル(10/15)、チャールズシュワブ、キーコープ、マーシュ&マクレナン、スナップオン、トラベラーズ・カンパニーズ、M&Tバンク、バンクオブニューヨークメロン(10/16)、リージョンズファイナンシャル、トリスト・フィナンシャル、ステート・ストリート、シュルンベルジェ、アメリカン・エキスプレス、ハンチントン・バンクシェアーズ、フィフスサードバンコープ(10/17)などが発表を予定している。
アジアでは10/16にTSMCが決算発表を予定している。
なお、米国は政府機関の一部閉鎖が続いているうちは、政府発表の経済指標などが見送りとなる可能性がある。
小松
最終更新:10/10(金) 17:10