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前澤友作が激怒する「投資詐欺」の卑劣…!「SNSの投資話」のウラには「国際犯罪組織」があった!北朝鮮・ロシアのハッカー集団、そのヤバすぎる実態

5/17 11:16 配信

マネー現代

陳腐な詐欺も防げない「暗号資産」の行きつく先

(文 砂川 洋介) XやLINE、FacebookなどSNSを利用していた人ならば、「著名人による投資広告」ほぼ必ず目にしたことがあるだろう。

 先日、実業家の前澤友作氏と堀江貴文氏が自民党の部会に出席して、「なりすまし詐欺」を排除する規制強化策を強く訴えたことで、政治家や事業者もようやく重い腰を上げ、対応に乗り出している。

 前編「前澤友作が激怒した「詐欺広告」のウラで蠢く、詐欺師たちの「狡猾な手口」…! 明らかになった、投資詐欺に「ひっかかりやすい人」の「6つの特徴」」で紹介したように、投資詐欺は拡大している。今年4月には、昨年11月からの半年間で7億円もの大金をだまし取られたケースが発生した。

 警察庁が公表した「SNS型投資・ロマンス詐欺の被害発生状況等について」によると、2023年のSNS型投資詐欺の認知件数は2271件で、被害額は277.9億円だ。あくまでも警察庁が認知した数字であることから、実際の被害状況は大きく上回っていることが容易に想像できる。

 しかし、その手口は実際には陳腐なもので、お金を実際にあずける運用主体の信用を見定めれば、こんな詐欺にひっかかることはない。

 すでに世界では、信用力のあるマーケットに連動する「ビットコイン現物ETF(上場投資信託)」が登場している。なぜ、現物ビットコインETFのような商品が登場しているかと言えば、背景に陳腐な投資詐欺を行う日本の詐欺集団よりももっと恐ろしい、国家規模の詐欺集団が世界に存在しているからだ。

 さらに、このような投資環境の改善が行きつく先には、現在の暗号資産交換所が必要なくなる可能性も出てくる。詐欺が横行するにもかかわらず自浄作用が働かなかった暗号資産業界は、信用力の高い世界的な株式投資マーケットに飲み込まれてしまうだろう。

国家規模のハッカーたちが蠢く暗号資産業界

 ちょうど、前澤友作氏らが「なりすまし詐欺」に怒りを表明したほぼ同じタイミングで、米国のブロックチェーン分析企業の「Chainalysis」が、業界の犯罪動向のレポートをリリースした。「The 2024 Crypto Crime Report(2023年暗号資産犯罪動向調査レポート)」が、それで、以下「2023犯罪レポート」呼び、その中身を紹介していこう。

 同レポートは、2023年にブロックチェーン上で暗号資産がどれだけ犯罪に使用されたのか、金額ベース及び件数等でまとめられている。

 2023年は、Defi(分散型金融)プロトコルからの盗難や、北朝鮮等の関与する攻撃者などのハッキングにより17億ドル(1ドル150円換算で2550億円)が被害にあった。

 2022年の被害は、38億ドルだったので、大幅に減少したことになる。金額の減少は、主にDeFiハッキングの減少が大きいと「Chainalysis」は指摘しており、セキュリティの改善及びDeFi活動全体の低下によるものが大きく関係していると考えているようだ。

 一方で、件数自体は増加している。2023年は231件で、2022年の219件から増加した。件数が増加した背景は、暗号資産関連ビジネスを手掛ける主体が増加したことがある。

 セキュリティの高度化で被害金額は減少したものの、ハッキング攻撃はいまだに衰えていないのである。

北朝鮮の脅威にさらされてきた暗号資産

 ここで押さえておきたいのが、暗号資産ハッキングを語る上で避けては通れない国、北朝鮮に関係したハッキングの状況だ。

 ハッキングによって獲得した総額は、10億ドルと前年の17億ドル比では減少したが、件数は過去最多の20件と増加(前年は15件)した。

 北朝鮮国家に所属するハッカーであるKimsuky(キムスキー)、Lazarus Group(ラザルス・グループ)らによって、2023年にDeFiプラットフォームが盗難にあった総額は約4億2880万ドルで、中央集権型サービスは1億5000万ドル、暗号資産交換所は3億3090万ドル、ウォレットプロバイダーは1億2700万ドルと様々な業態に対して幅広くハッキングしている。

 2021年頃まで、北朝鮮関連のハッカーは、暗号資産交換所へのハッキングを主流としていた。

 2018年1月に発生したコインチェック事件をおぼえているだろうか。日本における大手暗号資産交換所のコインチェックがサイバー攻撃を受けて、580億円相当の暗号資産が流出。被害者は26万人にものぼった。

 コインチェック事件について、韓国国家情報院や、国連の北朝鮮制裁委員会専門家パネルは北朝鮮の「Lazarus Groupの仕業」とほぼ特定している。

 また、2022年10月14日、金融庁と警察庁は連名で「北朝鮮当局の下部組織とされるラザルス(Lazarus)と呼称されるサイバー攻撃グループによる暗号資産関連事業者等を標的としたサイバー攻撃について」と称した注意喚起を行った。それによれば、「我が国の関係事業者もこのサイバー攻撃グループによるサイバー高原の標的となっていることが強く推察される状況」と述べている。

 Lazarus Groupの知名度は非常に高く、北朝鮮の外貨獲得に大きく貢献したと推察される。

北朝鮮・ロシアのハッカー集団の勢いは増している

 「Chainalysis」は、「今後の暗号資産ハッキングについて」として、2023年において、明らかに攻撃者の高度化が進み、その手口も多様化しているが、暗号資産プラットフォームのセキュリティ対策や、攻撃への対応が高度化してきている点は、良い兆候と言える。

 仮に、暗号資産プラットフォームが侵害された後、すぐに行動を起こせば、法執行機関が資金を凍結した交換所に対して差し押さえを行ったり、資金が流出したサービスからアカウントやユーザーに関する情報を収集したりするといった対応が可能となる。

 時間の経過と共に、これらのプロセスが改善されていくことで、暗号資産ハッキングによる被害額は減っていくと指摘している。

 だが、米国が制裁を行っている北朝鮮は、国を挙げてハッキングを行っているほか、ロシアはKraken Market(暗号資産交換所のKrakenとは全く関係は無い)などダークネットマーケットと深いつながりがある。

 また、ロシアは、暗号資産マネーローンダリング先進国ともいえるほど昔から闇の勢力が暗躍しており、2014年のマウントゴックス事件の犯人であると見られているアレクサンダー・ビニック氏は、ロシアの暗号資産交換所「BTC-e」を通じてマネーローンダリングを実施した。

 その額は40億ドル相当で、現在の価値に換算するとビットコインの値上がりと円安もあるため、日本円換算では数十兆円となる。中東も米国の制裁の影響で暗号資産を活用したマネーローンダリングは活発だ。

 つまりハッキングやマネーローンダリングの需要が増加傾向にあることから、暗号資産関連ビジネスのセキュリティは日々高まっているが、ハッカーなどの技術も同じスピード感で向上しているわけだ。

 これでは、日本の投資詐欺と同じ「いたちごっこ」の状況が終わることは無いだろう。

滅びゆく「暗号資産交換所」

 このような厳しい環境のなかで登場したのが、米ナスダック市場に上場したビットコイン現物ETFだった。今年1月にスタートし、順調に投資資金を獲得しているが、これは、暗号資産が常にハッキングのリスクと隣り合わせにあることが意識された結果と言っていいだろう。

 ビットコイン現物ETFは、1月に米国市場でスタートし、4月には香港市場でもスタートした。今後、わざわざリスクを背負って暗号資産を直接保有する人はどんどん少なくなるだろう。

 様々な暗号資産に紐づいたETFが続々と誕生すれば、世界中の暗号資産交換所は衰退の一途をたどる。暗号資産交換所は、もはや必要なくなるというわけだ。

 暗号資産交換所への司法のメスは、一昨年ごろから急激に厳しくなった。

 世界最大の暗号資産交換所のバイナンスは、マネーローンダリング規制違反で米司法当局に摘発された。その罪に問われた創業者のCZ氏は昨年11月に有罪を認め司法取引に応じ服役中だが、懲役4カ月の刑期を終えて今年夏ごろには自由の身となる。

 彼は、暗号資産交換所の行く末を感じて司法取引に応じたのではないか。もし、そうであるならば「さすが業界のガリバー」と言わざるを得ない。

 連載記事「ビットコインまたも暴落! しかし、それは「大反転の予兆」だった…! 「現物ETF」の誕生でこれから暗号資産に起こること」でも、暗号資産を取り巻く環境の変化について解説しているので是非、参考にしてほしい。

マネー現代

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最終更新:5/17(金) 11:16

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