年明けから物価上昇のニュースが続き、生活費の見直しや将来の資金計画を意識するシニア世帯が増えています。
特に60歳代・70歳代は、退職後の生活費をどのように確保するかが大きな関心事となりやすい層です。
本記事では、最新の「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」や厚生労働省の年金データをもとに、現代シニアの貯蓄事情や年金受給額の実態を見ていきます。
平均値と中央値の差から見える「老後資金の現実」を踏まえ、これからどのように備えるべきか考えるきっかけにしていただければ幸いです。
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【60歳代・70歳代の二人以上世帯】現代シニアの貯蓄事情は?
まずは、J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」から、60歳代と70歳代の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)を見てみましょう。
●金融資産保有額の平均値・中央値
・60歳代:平均値2683万円、中央値1400万円
・70歳代:平均値2416万円、中央値1178万円
平均値だけを見ると、どちらの年代も2000万円以上の貯蓄を確保し、老後も比較的安定して暮らせるように思えます。
しかし中央値を見ると、実際の資産水準はそこまで高くありません。70歳代で中央値が減少している点を見ても、老後の資金不足が現実化しつつあります。
そのため、長寿化・医療費増・物価上昇をふまえると、貯蓄が十分とは言い切れません。
●金融資産保有額「2000万円超」の割合
金融資産保有額が「2000~3000万円未満」および「3000万円以上」の割合は以下のとおりです。
・60歳代:39.6%
・70歳代:37.5%
60歳代以降は退職金などのまとまったお金を手にするケースも多く、全体の3割以上の世帯が2000万円以上の金融資産を保有しています。
一方で、金融資産をまったく保有していない世帯も1割程度存在しており、家庭ごとに大きな格差があることが伺えます。
現代シニアの年金事情|国民年金・厚生年金の平均月額をチェック
老後に取り崩せる資産が少ない場合、生活費の大部分を公的年金等の収入に頼ることになります。
では、現代のシニアはどのくらいの年金を受け取っているのでしょうか。
厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、国民年金のみを受け取る場合と、国民年金+厚生年金を受け取る場合の平均月額を見てみましょう。
●【国民年金の平均月額】
・全体 5万9310円
・男性 6万1595円
・女性 5万7582円
●【厚生年金の平均月額】
・全体 15万289円
・男性 16万9967円
・女性 11万1413円
※国民年金部分を含む
国民年金の平均月額は5万9310円、基礎年金部分を含む厚生年金の平均月額は15万289円となっています。
ただし、年金額は現役時代の収入や加入期間によって大きくばらつきます。
厚生年金を含めても、受給額は1万円未満から30万円以上まで幅広く分布しており、平均値だけでは実態をつかみにくいのが実情です。
自分の年金情報や、必要な老後資金を確認しておこう
60歳代・70歳代の金融資産保有額は平均で2000万円超となる一方、中央値は1000万円台と開きが大きく、世帯ごとの資産状況には大きな差があることがわかります。
年金の平均月額も、加入期間や働き方によって幅があり、平均値だけで老後の生活水準を判断するのは難しい状況です。
まずは自分の年金見込み額を確認し、今後の働き方や資産の使い方を見通すことが重要です。
老後の生活を安定させるためにも、現状を正しく把握するところから始めていきましょう。
参考資料
・金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」
・厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
加藤 聖人
最終更新:1/23(金) 6:20