9月の株式市場の傾向は?「彼岸底」と言われるけれど実際は?
◆9月の株式市場の傾向は?
9月は、3月決算企業の中間決算が集中しています。中間決算に向けた売りが彼岸(9月22日の秋分の日前後各3日)の頃に最も集中するため、売り優勢になりやすく、「彼岸底」とも呼ばれています。
そこで今回は、9月相場が実際に下がりやすい傾向であるのか、過去のデータから統計的に検証してみました。
■検証対象:全銘柄
■検証期間:2000年1月1日~2024年7月31日
■1銘柄当たりの投資金額:20万円
■買い条件:8月末の寄り付きで買い
■売り条件:25日経過後の翌営業日寄り付きで売り
今回は、8月末に全銘柄を購入し、25日経過後に売却した場合について検証を行います。仮に勝率が50%以上で損益がプラスならば、9月は株価が上がりやすい月となります。反対に損益がマイナスであるならば、9月は下がりやすい月といえます。
以上のルールで過去のデータを用いて検証した結果は、以下の通りです。
◆過去24年間の9月の株式市場:検証結果
勝率:48.50%
勝ち数:40,612回
負け数:43,132回
引き分け数:1,899回
平均損益(円):-91円
平均損益(率):-0.05%
平均利益(円):15,047円
平均利益(率):7.52%
平均損失(円):-14,349円
平均損失(率):-7.17%
合計損益(円):-7,795,317円
合計損益(率):-3,898.16%
合計利益(円):611,095,661円
合計利益(率):305,557.61%
合計損失(円):-618,890,978円
合計損失(率):-309,455.77%
PF(プロフィット・ファクター):0.987
平均保持日数:26.87日
検証結果を見てみると、勝率は48.50%、平均損益(率)は-0.05%です。勝率が50%を切っており、平均損益(率)がマイナスになっています。
損益の推移グラフを見る限り、直近10年間は右肩上がりですが、今回の検証期間(2000年~2024年7月31日)で見ると、9月は勝率が50%を割り、平均損益もマイナスになっている月であることから、安易なトレードを行うとリスクを被ってしまう可能性があります。よって、9月にトレードを行う場合は、慎重に銘柄を選択する必要があるでしょう。
そこで、下がりやすい傾向がある9月相場でも、例年成績が好調である銘柄を確認してみたいと思います。
◆9月の好調銘柄ランキング
表は、先ほどの検証結果において勝率が高かった銘柄のランキングです。
ランキング上位の銘柄を見ると、「テクノアルファ <3089> 」「アサガミ <9311> 」「地主 <3252> 」などが挙げられます。
これらの銘柄は、下がりやすい傾向がある9月相場でも、例年成績が好調です。このような銘柄に注目すると、安全性が高いと期待できるでしょう。
株価が全体的に下がりやすい9月相場で不用意にリスクを被って損失を出さないためにも、投資戦略を考える上で上記ランキング銘柄に注目してみてはいかがでしょうか。
(このテーマでの検証については、【システムトレードの達人】を使って検証しています。記事の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容の正確性および安全性、利用者にとっての有用性を保証するものではありません。当社及び関係者は一切の責任を負わないものとします。投資判断はご自身の責任でお願いします)
文:西村 剛(証券アナリスト、ファンドマネジャー)
国内運用会社にて中小型株式ファンドマネージャー兼アナリストを経て独立。個人投資家に分かりやすく株式投資を伝授すべく、講演や執筆を行う。『夕刊フジ』3年連続 株-1グランプリ グランドチャンピオン。
あるじゃん(All About マネー)
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最終更新:9/5(木) 12:20