金融庁長官、運用者には成果に応じた報酬を-人材の海外流出に危機感

4/19 7:00 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 金融庁の栗田照久長官は、ブルームバーグとのインタビューで、国内の資産運用会社が優秀な人材を確保するためには、運用成果に応じた報酬体系が重要だとの認識を明らかにした。海外への人材流出を防ぎ、資産運用立国の実現に向けた環境整備を進めたい考えだ。

栗田長官は、優秀なファンドマネジャーが十分な報酬を得られず、より高い収入を求めてシンガポールやアメリカへ流出し「人材が十分育たない面はあった」と言及。背景には特に大手金融グループ系列での硬直的な給与体系があるとし、報酬制度の見直しや人材育成のためのガバナンス(企業統治)改革が必要だと述べた。

岸田文雄政権は2141兆円(2023年12月末)に上る個人金融資産の半分を占める現預金を企業の成長投資に振り向けるとともに、内外の資産運用会社の新規参入を促し、業界活性化につなげようとしている。金融庁は昨年発表した「資産運用業高度化プログレスレポート」で、運用会社に報酬制度の柔軟化を要請したが、栗田長官の発言はより具体的な対応を求めた形だ。

栗田長官は外資系運用会社などの動向について、「日本に入ろうという企業はかなりいると思う」と指摘。これまでは投資助言・代理業としての登録が多かったが、「本格的な運用者の登録も増えてくるのではないか」との見通しを示した。

運用会社の参入が活発化するための条件として、日本で十分なリターンを得られるかどうかも重要だと説明。投資先として世界に通用する企業があることに加え、資本効率の改善など企業のガバナンス改革の進展は「日本の今の強みだ」と述べた。

保有なら「理由の開示を」

金融機関や上場企業同士の政策保有株式の扱いについて栗田長官は、「われわれは一貫して政策保有株は減らすべきだと言ってる」と発言。ガバナンスをゆがめる可能性が大きいと指摘し、もし保有するなら「必要性をしっかり開示してほしい」とした。

合計で約10兆円の持ち合い株を保有する3メガ銀など銀行業界について、長年にわたり政策保有株削減に取り組んでおり、「岩盤に突き当たってるという事情は重々承知しているが、さらに努力してほしい」との考えを示した。

政策保有株を巡っては、企業向け共同保険料の事前調整問題で金融庁から行政処分を受けた大手損害保険グループも、合計6兆円超の残高をゼロにする方針を決め、対応を進めている。

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最終更新:4/19(金) 7:00

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