株式週間展望:FOMC焦点、9月利下げ期待高まるか
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トヨタ | 2,516 | -4.50 |
日経平均予想レンジ:3万6800-3万8300円
今週の日本株相場は日経平均株価が週半ばの高値をピークに終盤に調整を深める展開となり、中東リスクが意識された13日は急落した。イスラエルとイランの情勢には引き続き注意が必要だが、来週はFOMC(米連邦公開市場委員会)が目玉のイベントだ。利下げに慎重なFRB(米連邦準備制度理事会)のスタンスに変化が出るかが注目される。
<中東リスクとトランプ関税は冷静に>
イスラエルは日本時間13日午前中に、イランの核施設を攻撃したと発表。米国は関与していないとしており、単独行動とみられている。攻撃は今後も続く見通しだ。これを受け、13日は日経平均が一時前日比で632円値下がりした。
イスラエルとイランは昨年4月にも互いをミサイルで攻撃し、市場に混乱を招いた。ただ、その際は比較的早く事態が収束している。イラン側の出方が焦点となり、情勢が激化した場合は地政学リスクが一段と高まりそうだ。
今年4月のトランプ・ショック以降、日経平均は3万8000円台前半の水準で上昇を阻まれてきた。5月中・下旬に続き、今回も関門を突破できずに下落に転じた格好。にわかに3万7000円前後のネックラインが意識され始めた。
米国の通商政策への警戒感も根強く、自動車関連など輸出株の上値が重い。トヨタ自動車 <7203> はここ直近のもみ合いレンジを下抜けた。トランプ米大統領は現地12日に、既に追加で25%を課している輸入車への関税をさらに引き上げる可能性を示唆した。
<「年内2回」確度上昇も>
もっとも、トランプ関税については引き続き、「TACO(トランプはいつもおじけ付いて撤退する)」の理論で楽観ムードが生まれやすいと考えられる。米国との6回目の関税交渉へ向けて13日に羽田を発った赤沢経済財政・再生相は、自動車関税について「交渉がまとまれば特別扱いになる」という旨の発言を残した。
中東情勢に関しては見通しにくいものの、日本経済にとっての懸念材料となる原油価格は大幅な調整を経ている。際限なく急騰すればやっかいだが、世界景気を踏まえるとそれも考えにくい。マーケットは次第に冷静さを取り戻していくと思われる。
相場にとって今後より重要なのは、米国の金融政策の先行きだろう。つまり、利下げはいつ始まるかという点だ。来週は17-18日にFOMCを控えるが、ここではまだ打ち出されない公算が大きい。それでも、今週米国で出た物価系の指標はいずれも予想より弱く、9月FOMCまでに利下げが再開される確率は約75%に高まった。
FRBの年内の利下げ回数は2回とみる市場関係者が多いが、まだ4割程度にとどまる。仮に6月FOMCの内容がこの確率を押し上げることになれば、市場のリスク許容度の拡大が期待される。逆に当局が慎重姿勢を崩さない場合は、買い手掛かりに欠く展開の中で株価も上値の重さがぬぐわれない恐れがある。
<グロースや防衛に注目>
来週は日本でも日銀の金融政策決定会合(16-17日)が開かれ、17日には国債の買い入れ減額計画の中間評価も発表される。これは昨夏に始まった計画で、金融緩和策に伴う長期国債の購入規模を四半期ごとに4000億円ずつ削減(来年1-3月まで)していくもの。中間評価とともに来年4月以降の見通しも示されるとみられ、市場の関心が高い。
このほか、16日には中国で5月小売売上高をはじめとする重要経済指標が発表され、17日には米5月小売売上高が出る。日本では18日の4月機械受注と5月訪日外客数や、20日の5月消費者物価が注目される。また、同日には財務省が国債市場特別参加者会合を開催する。
日経平均の予想レンジは3万6800-3万8300円とする。米利下げ期待が高まる展開も視野に、グロース(成長)株や防衛株、内需株などを押さえたい。
提供:ウエルスアドバイザー社
ウエルスアドバイザー
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最終更新:6/13(金) 17:46