10日の東京外国為替市場のドルの対円相場(気配値)は、米雇用関連統計の低調な結果などを受けて、1ドル=155円台後半で下落した。午後5時現在は、155円68~70銭と前日(午後5時、155円83~83銭)比15銭のドル安・円高。
午前は、朝方に一時155円20銭台まで軟化したが、日経平均株価の大幅高や、五・十日による国内輸入企業の買いなどに支援され、155円70銭前後へ水準を切り上げた。鈴木財務相が「必要があれば適切な対応を堂々と取っていきたい」などと円安をけん制したものの、ドル円は反応しなかった。
午後は、米長期金利の動向などを眺めながら、155円50~70銭台でもみ合った。
前日の週間新規失業保険申請件数は、前週比2万2000件増の23万1000件と2週連続で悪化。4月の雇用統計に続き、労働需給の逼迫(ひっぱく)感が和らぐ結果となった。FRBによる利下げ観測が再燃し、長期金利は低下。ドル円も水準を切り下げた。
東京市場は前日と同様、朝方に下げた後は買い戻しが優勢だった。市場関係者は「日米の金利差の観点から下げた場面では、買いたい向きが多い」(FX会社)と話す。一方、5月3日安値から4月29日高値の半値戻しに当たる156円ちょうど付近が意識され、上値追いにも慎重だった。このところ、米国の経済指標やFRB高官の発言に一喜一憂するものの、利下げ時期に確信を持てないため、ポジションを傾けにくい状況が続いている。FRBの金融政策を占う上で大きな手掛かりとなるCPI発表まで、ドル円は155円レンジでの推移が続くとの見方が多い。
ユーロは対円、対ドルで上昇。午後5時現在は、1ユーロ=167円84~86銭(前日午後5時、167円26~28銭)、対ドルでは1.0780~0780ドル(同1.0734~0734ドル)。(了)
時事通信
最終更新:5/10(金) 17:34
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