欧米高級ブランド企業、第1四半期は中国需要低迷で急減速か

4/10 11:25 配信

ロイター

Mimosa Spencer

[パリ 9日 ロイター] - 来週から本格化する欧米高級ブランド企業の第1・四半期決算は、売り上げが大幅に減速すると予想されている。中国消費者の需要低迷に加え、比較対象となる前年同期が中国の「ゼロコロナ政策」解除直後で売り上げが伸びた時期だったことが要因。

世界最大の高級ブランド企業、仏LVMHの16日を皮切りに、仏ケリング、伊プラダ、仏エルメスが22日からの週に決算を発表する。英バーバリーとスイスのリシュモンの決算発表は5月。

ケリングは先月、第1・四半期の売上高が10%減少し、アナリスト予想の3%減より大きな落ち込みになるとの見通しを示した。この予想外の発表が、既に高級ブランドセクターの今決算シーズンに影を落としている。

ケリングは「グッチ」の売り上げがアジアで落ち込んだことが減収の主因と説明。他の高級ブランド企業も中国で苦戦しているのではないか、との懸念が広がった。

アリックスパートナーズのコンサルタント、オリビエ・アブタン氏は「危機が続いており、今後が見通せない。全ての成長エンジンが何四半期も止まったままだ」と述べ、前代未聞の不況だと話した。

HSBCのアナリストチームによると、香港やマカオ、シンガポールを訪れる中国人観光客による支出もぱっとしない。

ケリングは中国事業が不振なため、バリュエーションが競合他社に遅れを取っている。減収予想を示して以来、株価は15%下落した。LVMH株はこの間に7%下がったが、富裕層顧客を持つエルメスは2%の下落にとどまっている。

消費者の高級ブランド品購入意欲が短期的に回復するかは不透明なため、今後、前年同期との比較による影響が薄れても業績が持ち直すかどうかは分からない。バークレイズのアナリストチームによると、世界の高級品売上高は昨年の約9%増から今年は5%増前後に鈍化する見通し。一昨年とその前年は二桁台の伸びだった。

生計費の上昇により、消費者は高額消費を厳しく選別するようになっており、その結果、ルイ・ヴィトンやシャネル、エルメスといったトップブランドと、バーバリーのようなその他ブランドとの業績格差が拡大している。

「ミュウミュウ」が若い中国人に人気のプラダなどでも、売り上げの伸びは減速する見通しだ。ジェフリーズは第1・四半期のプラダの世界売上高を9.3%増と予想している。

JPモルガンは、ルイ・ヴィトンやディオールを擁するLVMHのファッション・皮革製品部門の第1・四半期売上高が2%増にとどまるとの見通しを示した。

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最終更新:4/10(水) 11:25

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