「難問を初見で解く人」が自然とやってる最強テク 算数でも数学でも有効「小さな数で試す」考え方

9/21 9:02 配信

東洋経済オンライン

「算数から勉強をやり直して、どうにか東大に入れた今になって感じるのは、『こんなに世界が違って見えるようになる勉強はほかにない』ということです」
そう語るのが、2浪、偏差値35から奇跡の東大合格を果たした西岡壱誠氏。東大受験を決めたとき「小学校の算数」からやり直したという西岡氏は、こう語ります。
「算数の考え方は、『思考の武器』として、その後の人生でも使えるものです。算数や数学の問題で使えるだけでなく、あらゆる勉強に、仕事に、人生に、大きくつながるものなのです」

そんな「思考の武器」を解説した45万部突破シリーズの最新刊、『「数字のセンス」と「地頭力」がいっきに身につく 東大算数』が刊行され、発売すぐに3刷と好評を博しています。

ここでは、「難問を初見で解く人」がやっている、算数にも数学にも使える「最強の考え方」を解説してもらいます。

■「数学ができる人」の頭の中

 「数学ができる人の頭の中って、どうなっているの?」と嘆く人は多いですね。

 できる人にとっては簡単でも、できない人にとっては「どうしてそんなことを思いつくの?」と考えてしまうような思考ができる人が、世の中にはいます。

 僕も偏差値35だった受験生時代には、難しい問題をさらっと解いてしまう人たちを見て、不思議な気持ちでいっぱいでした。

 でも、この差はどこでついているのでしょうか?  どうして数学ができる人は数学ができるのでしょうか? 

 この要因の1つとして、「頭の使い方がうまい」ということが挙げられると思います。

 例えば、みなさんならこの問題をどんなふうに解くでしょうか? 

問題:上皿天秤を使って、1~100gまで1g刻みで量りたいとき、分銅は最低何個必要か? 

 少し問題文の補足をします。

 天秤を使って重さを量るということは、片方に量るものを乗せて、もう片方に分銅を置いていくことになります。例えば3gのものを量るとしたら、片方に3gのものを乗せて、もう片方に分銅を置いて3gを作るわけです。

 3gの分銅を1つ用意するだけでもいいですし、1gの分銅を3つ用意しても大丈夫ですよね。1gと2gの分銅を1つずつ用意してもいいでしょう。この分銅の最低個数はいくつか?  という問題なわけです。

■「小さい数で試してみる」という最強テクニック

 ちょっと難しい問題ですが、数学的な素養のある人だと、「小さい数で順番に試してみる」ということをします。

 最初から「100gを量るためには……」と考えてもなかなか思いつきませんし、かといって具体的な数字を当てはめなければこの問題のルールや答えは見えてきません。

 ですから、小さい数を具体的に当てはめていくのです。「1gだとどうだろう?」「2gだとどうだろう?」「3gだとどうだろう?」と順番に考えていき、その中で法則を見つけようとする思考をすることで、道が開けていきます。

 このように小さい数から実験していく考え方は、小学生の算数の問題でも、高校や大学の難しい数学の問題でも関係なく、非常に重要なものになります。この方法で解ける東大の入試問題だってあるくらいですし、実際にこの考え方をするとこの問題もアプローチが容易になります。

 この考え方でいくと、「1g、2g、4g、8g、16g、32g、64gの7個」ではないかという考えに至ります。

 例えば「3g」は「1gと2g」の分銅があれば量れますね。4gは量れないので、4gの分銅が必要になります。そして「5g」は「1gと4g」、「6g」は「2gと4g」、「7g」は「1gと2gと4g」があれば量れます。

 このように考えていくと、8gは量れないので8g の分銅が必要。「1g、2g、4g、8g」で15gまで量れる、16gは量れないので16g の分銅が必要で、「1g、2g。4g、8g、16g」で31gまで量れる、というように考えることができます。

 そうなると、「1、2、4、8、16、32、64の7個があれば、1~100gまで1g刻みで量ることができる」と考えることができます。難しい問題ですが結構簡単に考えることができるわけですね。

■「天秤」であることに注目すると…

 しかし、実はこの問題、もう少しだけ少ない分銅の数で100gまで量れるのです。どうしてだと思いますか?  実はこれ、「天秤」ですから、天秤の「両方に」分銅を置けるのです。

 たとえば3gのものを量りたいときに、「3gの分銅を1つ」「1gの分銅と2gの分銅1つずつ」「1gの分銅を3つ」という3つの方法以外にもう1つ、量る方法があります。

 それは、「片方に4gの分銅を乗せて、3gのものを乗せたほうに1gの分銅を置く」という方法です。このように、量りたいものの側にも置けるという特性を生かすと、他の量り方も可能になるのです。

 この方法を使うと、「1gの分銅と3gの分銅」の2つだけで、「1~4g」が量れます。2gのものでも、「3g-1g=2g」とすればいいからです。そして「5g=9g-1g-3g」なので、次に必要な分銅は9gとなります。

 「1gの分銅と3gの分銅と9gの分銅」で「1~13g」が量れ、「14g=27g-1g-3g-9g」なのでその次は27g……と考えていくと、答えは「1g、3g、9g、27g、81gの5個」となります。この5個さえあれば、1~100gまで1g刻みで量れるわけです。直感に反して、かなり少ないですね。

■知識があれば楽だが、知識がなくてもたどり着ける

 ちなみに数学が得意な人のために補足をしておくと、これは3進法的に考えることができます。

 ある重さを量る際に「分銅を置かない(0)」「分銅を天秤の同じ側に置く(+1)」「分銅を反対側に置く(-1)」の3つの選択肢を持ちます。こう考えると、3進法ですべての整数を表すことができるとわかるので、「1g、3g、9g、27g、81g」という3の累乗の数の分銅を使えば表すことができるとわかります。

 そういう知識があれば簡単な問題ではあるのですが、知識を使わなくても、「1gだとどうだろう?」「2gだとどうだろう?」「3gだとどうだろう?」と順番に考えいけば答えにたどり着ける問題でした。

 このように具体的に小さな数を当てはめて「実験」を繰り返していくことで問題が解けるようになるというのは、とても面白いポイントだと考えられます。ぜひ参考にしてみてください。

東洋経済オンライン

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最終更新:9/21(土) 9:02

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