強気相場の兆候、注目すべきはETFよりもステーブルコイン:アナリスト

4/9 15:15 配信

CoinDesk Japan

今年、暗号資産(仮想通貨)市場のウォッチャーは、デジタル資産の価格の方向性を見定めるにあたり、ビットコインETFの需要に注目してきた。


しかし、ステーブルコインの供給量の方が暗号資産の需要指標として優れている可能性があり、その急速な拡大は価格の上昇を示唆していると10xリサーチ(10x Research)は4月8日発表のレポートで述べた。


10xリサーチの創設者であるマーカス・ティーレン(Markus Thielen)氏はレポートで、「ビットコインETFの資金流出入にはあまり注意を払わないことをお勧めする」と述べた。


「ステーブルコイン発行体こそが町の新しい保安官(リーダー、権力者)であり、暗号資産市場を上昇させている」


ステーブルコイン(主に米ドルに連動した固定価格のデジタル資産)は、伝統的な法定通貨とデジタル資産の世界を架橋し、取引の流動性を提供する重要なインフラの一部である。市場参加者は法定通貨を預託してステーブルコインを発行(ミント)するため、その供給量の変化は暗号資産市場の健全性について重要な手がかりを示していると10xリサーチは述べている。


二大ステーブルコインであるテザー(Tether)のUSDTとサークル(Circle)のUSDCの供給量は、過去30日間で合計100億ドル(約1兆5000億円、1ドル150円換算)近く増加したと10xリサーチは指摘する。一方、時価総額第3、4位にあたるメーカーDAO(MakerDAO)のDAIと、香港を拠点とするファーストデジタル(First Digital)のFDUSDの供給量も、同期間に5~10%増加したことがコインゲッコー(CoinGecko)のデータで明らかになっている。


USDTだけでも1週間で供給量が24億ドル(約3600億円)増加し、今回の強気相場における7日間の増加幅としては最高レベルだった。


「法定通貨が暗号資産に加速度的に移動している」とティーレン氏は述べた。


一方、米国を拠点とするビットコインETFは、過去30日間で50億ドルの純流入を記録したとレポートは付け加えた。


「ステーブルコインの供給量の増加幅は2倍に上り、ETFとは対照的にその成長はロングポジションのみに支えられている可能性がある」とティーレン氏は述べた。


というのもETFへの資金流入は、いわゆる「キャリートレード」で先物の資金調達率(ファンディングレート)の上昇から利益を得ようとする経験豊富な市場参加者によって歪められている可能性があるからだ。


資金調達率(先物取引と現物市場の価格差に基づいて投資家に支払われる金利)は過去最高水準に近い。つまり、価格の上昇に賭ける(ロングポジションの)先物投資家は、価格の下落から利益を得るショートポジションを保有する投資家に、ポジションの保有手数料を支払うことになる。これにより、キャリートレードとして知られる裁定取引の機会が生まれ、賢明な投資家は、現物のビットコイン(BTC)またはビットコインETFを購入し、先物市場で同じ規模のショートポジションを建てることで、リスクフリーで価格差を利益として手に入れられる。


注目すべきは、複数のヘッジファンドがシカゴ・マーカンタイル取引所で記録的な量のビットコイン先物のショートポジションを保有していたことだ。これはキャリートレードの需要が高まっているからではないかと10xリサーチは先週発表した別のレポートで述べていた。


|翻訳・編集:行武 温|画像:The supply of stablecoins USDT and USDC grew by $10 billion in a month, 10x research noted. (Shubham Dhage/Unsplash)|原文:Stablecoin Growth Is More Important Cue for Crypto Bull Market Than Bitcoin ETF Inflows: Analyst

CoinDesk Japan

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最終更新:4/9(火) 15:15

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