株式週間展望=不確実性残るも短期底打ちか

3/14 17:52 配信

ウエルスアドバイザー

日経平均予想レンジ:3万6500-3万8500円

 米トランプ政権の強硬的な関税政策を背景に、貿易戦争が過熱するリスクが高まった。国内では追加利上げ観測も強まり、内憂外患の様相を呈した今週の日本株相場は、日経平均株価が3万6000円を割り込む場面があった。来週は日銀の金融政策決定会合とFOMC(米連邦公開市場委員会)が予定される中銀ウイーク。市場の嫌う不確実性は幾分残るものの、短期的には底を打ったとみたい。

<関税応酬、トランプ支持率低下>

 トランプ大統領は今週もタリフマン(関税男)ぶりをいかんなく発揮し、13日には欧州産のワインに200%の関税を課す考えを示した。米国による鉄鋼とアルミニウムへの関税導入に対する欧州側の措置(米国産ウイスキーなどへの報復関税)に、さらなる対抗策で応じた格好。報復の応酬が世界を混乱に陥れている。

 米国は4月2日から全貿易相手国に対する相互関税を発動する見通しだ。日本に関しても鉄鋼・アルミをめぐる例外交渉が不調に終わったことから、自動車を中心に対象品目の広がりが懸念される。EU(欧州連合)の報復関税は最大260億ユーロ(約4.1兆円)に上り、中国も既に米国産農産物への課税を強化するなど、貿易戦争が拡大しつつある。
 トランプ大統領の関税をめぐる言動は二転三転しており、マーケットは先行きを見極められずにいた。ただ、ここへきて、「どうやら譲歩する考えはない」という見方で一致してきた印象がある。

 悪い方にではあるが、シナリオが固まりつつあることは、アク抜けへ向けた一歩と言える。もう1つの懸念材料だった米政府閉鎖危機も、それを回避するつなぎ予算案が成立する見通しだと伝わっている。

 また、少し長い目線では、トランプ大統領のフリーハンドは許容されにくくなると考えらえる。米政治系サイトのリアル・クリア・ポリティクスがまとめた世論調査の平均で、トランプ大統領の支持率は13日時点で就任来最低の47.8%となり、初めて不支持率を下回った。直近では、いわゆる「過渡期発言」が取りざたされたが、いずれは来年の中間選挙を意識する必要が出てくるだろう。

<石破内閣の存続危機は好材料?>

 国内では春闘での賃上げ継続の動きなどを背景に、日銀が金融政策の正常化を推し進める地合いが整いつつある。それが利上げによる円高への警戒感を呼び、市場への逆風になっている。もっとも、IMM通貨先物の投機筋の円買い・ドル売りポジションの水準は既に異例の高さに積み上がっているため、需給的には円高が進みにくくなるかもしれない。

 昨年8月の日経平均の大暴落は、米景気の減速不安と日銀のタカ派スタンスが重なったことで引き起こされた。同じ条件が再びそろった割に日本株は底堅い。メジャーSQ(特別清算指数)も14日に通過し、来週は3月権利取りも相まって日経平均やTOPIX(東証株価指数)が戻りを試す展開が期待される。

 石破首相による自民党議員への商品券配布が明らかになり、またしても政治とカネの問題で国会が空転しそうだ。国内の政局不安には注意する必要がある半面、マーケットへの好材料ととらえることもできる。

 まず、新年度予算案は既に衆院を通過している。さらに、内閣支持率は一段の低下が必至とみられ、7月の参院選を前に自民党内で石破おろしの動きがより強まるだろう。ポスト石破の有力候補である高市前経済安保相は、アベノミクスの後継者の位置付けだ。

 来週は日米で18、19日に日銀会合とFOMCがあり、いずれも政策金利の据え置きが予想される。植田日銀総裁は既に13日の参院財政金融委員会で、実質賃金・消費の先行きに対する明るい見解を述べており、19日の会合後の会見でもこれを踏襲すると思われる。FOMCはインフレ率や労働市場の見方が焦点となる。

 このほか、国内で19日に1月機械受注と2月訪日外客数、21日に消費者物価が発表される。海外は17日の中国の主要経済指標(2月工業生産など)が注目される。日経平均の予想レンジは3万6500-3万8500円。

提供:ウエルスアドバイザー社

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最終更新:3/14(金) 17:52

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