(ブルームバーグ): イスラエルが7日午前、パレスチナ自治区ガザとエジプトの境界にあるラファ検問所を制圧したことで、その最終目標を巡り議論が巻き起こっている。これはラファ侵攻の始まりなのか、それともイスラム組織ハマスに圧力を加えて戦闘休止と人質解放の条件で譲歩を引き出そうとしているのかというものだ。
イスラエルのネタニヤフ首相と軍に近い複数の当局者が匿名を条件に政府内の議論について語ったところでは、答えは両方だという。
ネタニヤフ首相はガザ全域からラファに流れ込んだ140万人超の避難民を侵攻前に退避させると繰り返し明言してきた。イスラエル軍は6日、ラファ東部の住民に対し、ハンユニス近郊の「拡大人道地域」に向けて北上するよう呼び掛けた。
一方、イスラエルとハマスの戦闘の休止ないし終了を目指す協議で仲介役の米国などは微妙な局面を迎えている。
ハマスは6日、仲介役のカタールとエジプトが提示した案に同意したと表明したが、イスラエルの戦時内閣は直ちに全会一致でこれを拒否した。イスラエル人の人質33人の解放が遺体の引き渡しになる可能性があることや、イスラエルがレッドラインと見なしている恒久停戦が含まれることが拒否の理由だった。
ネタニヤフ首相は7日の声明で、「昨日のハマスの提案の目的はイスラエル軍がラファに入るのを阻止することだった。それは実現しなかった」と表明。ハマスの案は「イスラエルの基本的な要求からかけ離れている 」と指摘した。
しかし米国は異なる見解を示した。米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は記者説明で、双方は「残る見解の相違を埋められるだろう」というのが米国の評価だと発言。米中央情報局(CIA)のバーンズ長官が米国を代表して新たな交渉に臨み、イスラエルも同席する予定だとした。
カービー氏は「ハマス側は昨日回答した。修正案を提示するのが交渉の仕事であり、交渉とはそういうものだ」と語った。
イスラエル軍報道官はラファでの軍事行動について、ラファ検問所が 「テロ目的 」で使用されていることを示す情報に基づいた対テロ作戦だと説明した。
イスラエル戦時内閣メンバーのガンツ前国防相はラファへの最初の軍事行動を「人質を取り戻すためのわれわれの継続的な努力とコミットメントの不可欠な部分」だと述べた。
原題:Israel Edges Into Rafah With Tension High Over Stalled Talks (2)(抜粋)
--取材協力:Marissa Newman.
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最終更新:5/8(水) 8:07
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