バイオマス発電の活用(日本ベル投資研究所)

6/10 14:01 配信

アイフィス株予報

・再エネ(再生可能エネルギー)の利用をさらに進める必要がある。カーボンニュートラル(CN)に向けて、石炭火力発電のウエイトを大幅に下げることが急がれる。原子力発電をもっと利用したいところであるが、事故への備え、安全性の見直しから思うようにはいかない。

・太陽光、水力、バイオマス、風力、地熱などの再エネは、国内電力の2割強を占めている。石炭火力発電を再エネに替えるには、この比率を倍増させる必要がある。ハードルは極めて高い。

・再エネは、化石エネルギーに比べて、現状では効率が悪い。立地、天候依存、機器の性能という点で、利用の仕方を工夫する必要がある。地産地消する工夫や、補完的な利用を組み込めば、負担を軽減することができる。

・地熱発電は季節や天候に左右されないが、立地の制約や臭気の影響がある。熱水蒸気と共に、硫化水素が排出される。このコントロールが問われる。この硫化物をうまく取り除くことができれば、クリーンなエネルギーとして一段と利用できよう。

・バイオマスは、石化を除く生物由来の有機資源である。トウモロコシを用いたバイオエタノールの生産は、食糧と競合してしまう。わが国では森林の保全とのバランスで、廃木などを利用するバイオマス発電が徐々に増えている。

・世界では、太陽光発電よりも風力発電の方が導入のスピードが早かった。太陽か風か。天候依存のため、その設備利用率がうまくいかないと、立地がなかなか難しい。

・原子力発電は安全に運転できれば、設備効率が高く、クリーンな電力が得られるが、安全性の確保、廃棄物の処理というバリューチェーン全体を考えると、クリーンかどうかも論点になってしまう。

・太陽光発電所や風力発電所を見学に行った。ビジネスとしての効率の中には、当然、地元の人々との信頼作りも含まれる。設備インフラ産業であるから、20年、30年単位で収益性をみていく必要がある。

・施設の安全対策、設備機器の耐久性や信頼性、オペレーションの統合管理も一段と重要になっている。最適な組み合わせに向けたAI活用なども導入が進もう。

・世界のバイオマス発電を見ると、2020年の世界のバイオエネルギー利用量は、世界のエネルギー総消費量の約12%を占めている。また、バイオエネルギーは、世界の再生可能エネルギー利用の約47%を占めている。世界のバイオマス発電容量では、中国、ブラジル、米国、インド、ドイツがトップ5である。

・バイオマス発電のサステナビリティ(持続可能性)はどうか。EUでは森林から直接採取される一次木質バイオマスを燃料とするバイオマス発電を原則補助金対象から外す方向にある。バイオマス発電が再生可能エネルギーとしての重要な役割を果たしているが、同時にサステナビリティの確保が今後の大きな課題である。

・バイオマス発電の燃料には、1)木質系:林地残材、製材廃材など、2)農業・畜産・水産系:農業残渣(稲わら、トウモロコシ、もみ殻、麦わら)、家畜排泄物、糖、でんぷん、菜種、パーム油(やし)、3)建築廃材系:建築廃材、4)食品産業系:食品加工廃棄物、水産加工残渣、5)製紙工場系:黒液(木材パルプを作るときに出る液体)、廃材、セルロール(古紙)、6)生活系:下水汚泥、し尿、厨芥ごみ(野菜のくずや食べ物の残り)などがある。

・これらの資源は、固体燃料、気体燃料、液体燃料などに変換され、発電や輸送燃料に利用される。例えば、木質ペレットやバイオガス、バイオエタノール、バイオディーゼルなどがある。

・バイオマス発電は、これらの燃料を燃焼させたり、ガス化させたりして電気エネルギーに転換する仕組みで、燃料の種類や利用方法によって、バイオマス発電の効率や持続可能性に違いが生じる。

・バイオマス発電の種類には、①直接燃焼方式、②熱分解ガス化方式、③生物化学的ガス化方式などがある。それぞれの方式によって、バイオマスを燃焼させたり、ガス化させたりして電気エネルギーに転換する。

・バイオマス発電はCNに向けて、貯蔵や発電量の調整がしやすく、分散電源や地産地消につながり、廃棄物を有効利用できるという利点がある。

・バイオマス発電の関連分野として、小型バイオガス発電機、木質バイオマス発電、バイオマス発電システムなど、バイオマス発電機の製造やバイオマス発電に関連するシステムの提供で、再生可能エネルギー分野での技術革新や市場の拡大に貢献している。

・その中で、木質バイオマスはどうか。木材からなるバイオマスは、未利用間伐材を使って、発電プラントなどに利用する。森林を守り、計画的に樹木を活用し、1本の木から、製材、集成材、低質剤、木質バイオマスなど、余すことなく使い尽くす。家や家具、紙の原料、ボイラーなどの燃料として利用する。

・未利用間伐材の収集、運搬にはコストがかかるので、森林内に放置されるものも多い。植える⇒育てる⇒使う、というサイクルがうまくまわればよいが、ここでも立地の悪さや再生期間の長さという制約によって、ビジネスとして成り立ちにくい面がある。これをいかに産業に仕上げていくか。

・国内の再エネのFIT(再エネ電気の固定価格買取制度)による買取電力量の構成をみると、2022年3月末で太陽光70%、バイオマス16%、風力10%、水力3.7%、地熱0.3%である。FIT以外の活用も、これから一段と進むことになろう。

・木質バイオマスは、自家消費、地域消費、地域一体型へ広がる方向にある。防災計画と結び付けて、通常時のほかに、災害時の利用も組み込んでおくことが望ましい。

・木質バイオマス発電を、自社でのRE100達成のために、あるいは非FITとの事業化に向けて、手掛ける企業も増えてこよう。ビジネスとしての採算も、社会的インパクトも含めて算定する必要が出てこよう。

・木質バイオマス発電を、本業としてビジネスにするには、これまでの経験を強みとして展開できる企業に限られるかもしれない。一方、非FITとしてCNを目指す対応という点では、相当な広がりが出てこよう。これらの両面からバイオマス発電を評価していきたい。

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最終更新:6/10(月) 14:01

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