「特殊詐欺にダマされた人」と「ダマされなかった人」、明暗分けた“たった1つ”の違い【4つの防止策も解説】

4/18 16:02 配信

ダイヤモンド・オンライン

 振り込め詐欺などの特殊詐欺事件の発生件数は、今なお減ることがありませんが、その被害者の9割近くが65歳以上というのをご存じでしょうか(内閣府・令和五年版高齢社会白書)。高齢化が進む日本において、この先もシニアを狙った犯罪は手を替え品を替え現れることが十分に予想されます。そこで今回は株式会社三菱総合研究所と、リスクマネジメント学が専門の奈良由美子放送大学教授が監修した新刊『シニアが陥る50の危険』(青春出版社刊)から、高齢者が巻き込まれやすい特殊詐欺被害について抜粋して紹介します。

● 「特殊詐欺」は「一本の電話」から

 親族や公共機関の職員等を装い、被害者から金品をだまし取る詐欺のことを「特殊詐欺」といいます。被害者とのやりとりに手紙やハガキが使われることもありますが、最も多く利用されるのは自宅の固定電話です。

 特殊詐欺被害者の9割近くは高齢者で、手口で多いのが「オレオレ詐欺」、「還付金詐欺・預貯金詐欺・キャッシュカード詐欺」です。

 警察庁によると、2023年上半期の「特殊詐欺」の被害額は前年度より26.8%増えた193億円だったとのこと。特殊詐欺の被害を防ぐために警察や行政が啓発活動を行っていますが、被害にあう人は後を絶ちません。それは手口がどんどん巧妙化しているからです。

 コロナなどの社会情勢を即座に設定に盛り込み、複数の人間が入れ替わり立ち替わり電話口に出るなど、入念に練られたストーリーには危機感をあおり、疑念を打ち消すリアリティがあります。

 特殊詐欺の多くは「一本の電話」から始まります。老後の安心のためにコツコツ貯めてきたお金を守るために「電話」対策を講じておきましょう。

● 詐欺犯罪者が嫌う電話機に変更する

 かけてきた相手の番号が表示される「ナンバーディスプレイ」サービスに申し込むのは基本中の基本。非通知でかけてきた相手に対して、番号を表示してかけ直すようアナウンスが流れる「ナンバーリクエスト」も併用すると安心です。

 さらに、「詐欺等の犯罪被害防止のため会話内容が自動録音されます」とメッセージが流れ、こちらが受話器を上げると録音を開始する「自動通話録音機」を取り付けておきましょう。自動通話録音機は多くの自治体で無料で貸し出しているので、ぜひ問い合わせてください。

● 「050」「+」で始まる番号に気をつける

 ネット回線を使った「050」から始まる電話は「IP電話」とも呼ばれ、通話料金が抑えられることから広く利用されています。

 簡単に契約できる特性から特殊詐欺に使われることが多く、今後は契約時には本人確認が義務化されることとなっています(法人の場合は登記事項証明書など)。

 犯罪に使われた固定電話やIP電話に対して、警察は利用停止の措置を取ります。そのため日本の警察の権限が及ばない「国際電話」を利用する犯罪組織も出てきました。

 国際電話の場合、番号の頭に「+」がついて表示されます。不思議に思って電話に出たり、かけ直してもずっと無言。時には何やら外国語が聞こえることもあります。

 まったく意味不明な反応ですが、通話時間を引き延ばして被害者に高額な通話料金を負担させて利益を得る仕組みがあるのです。

 心当たりのない「+」で始まる番号から着信がたびたびあるようなら、「国際電話不取扱受付センター(0120-210364)」へ連絡して着信拒否の手続き(無料)をします。

 海外のアプリなどを利用すると、番号の前に「+」がついた国際電話に見える番号を取得することもできます。この場合、通話料金で利益を得られるわけではないので、規制が始まって詐欺に使いづらくなった「050」の番号の代わりとして利用することが目的と見られます。

● 固定電話を解約し、犯罪者との接触手段を断つ

 ナンバーディスプレイを入れ、自動通話録音機を取り付け、見慣れない番号には「出ない・折り返さない」を徹底するのは基本ですが、さまざまな番号から何度も電話がかかってくることがあります。

 おそらく、あなたの自宅電話番号が記載された名簿が出回っているのです。煩わしさだけでなく不安な思いを抱くようなら、思いきって固定電話を解約するのも手です。スマホだけで十分に用が足りるなら解約を検討してみましょう。

 固定電話を解約できないのなら、電話番号を変更する方法もあります。変更後の番号は限られた関係者だけに伝えるようにしましょう。104番号案内への登録と電話帳の記載は、特別な理由がない場合は希望しないほうがよいでしょう。

● 「特殊詐欺」にだまされる人・だまされない人

 特殊詐欺犯から電話や手紙・ハガキなどで接触があったにもかかわらず、被害者にならずに済んだ方もいます。

 「被害にあってしまった方」と「被害を回避できた方」には明らかな違いがありました。

 「被害にあってしまった方」の多くは、日頃から「自分は被害にあわない」と考えていたのです。「自分は大丈夫」という思い込みや、「すぐに見抜ける」という過信が、詐欺を見抜く目を曇らせたといえます。

 さらに、この「思い込み」や「過信」は、「他者へ相談する」という発想をも摘み取ってしまいました。被害者の多くは、誰にも相談することなく一人で対処していたのです。

● 家族や周囲も警戒心を持つ

 「自宅にいることが多い」「固定電話などで接触が可能」「老後のために蓄えたお金を持っている」高齢者は、特殊詐欺を企む犯罪者に狙い撃ちされる存在です。

 高齢者は自分自身が狙われている存在だということを決して忘れてはいけません。高齢者だけではなく、家族や周囲の人間も「高齢者は狙われる」と常に警戒し、定期的に連絡を取って変わりがないか確認しましょう。

 特殊詐欺について高齢者と話し合うことも被害を防ぐ大きな効果があります。やり口を知っていると、詐欺犯に遭遇したときに「怪しい」とセンサーが発動するからです。

 特殊詐欺では、お決まりの「だまし文句」が使われます。

 たとえば「オレオレ詐欺」の「だまし文句」といえば犯罪名の由来にもなっている「オレオレ」。また、「時間がない」「急いでいる」とやたらと急せかしてくるのも共通です。

 最後に、危険を防ぐポイントをまとめると

 1. ナンバーディスプレイなど「固定電話」の防犯性を高め、犯罪者との接点を断つ。
2.固定電話の解約、番号の変更を検討する。
3.「自分は大丈夫」という思い込みや過信を捨て、異変があったらすぐに相談を。
4. 日頃から家族とコミュニケーションを取り、特殊詐欺についても話し合っておく。

 といった4項目が挙げられます。

 だまされないためにも、こうしたリスクについて知っておくことがはじめの一歩となるでしょう。

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最終更新:4/18(木) 16:02

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