「資格試験に落ちる人」のヤバいノートの取り方 学習で重要なのは「テキストを育てる」こと

4/25 16:02 配信

東洋経済オンライン

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「きれいなノート」を作るのはムダ
 今回は、効率的な勉強法について解説します。

 勉強の目的は「知識をアウトプットできるようにすること」です。従って、効率を重視し、なるべく時間をかけずに目的を果たせるようにすべきです。

 まず、やらないほうがいいことについて考えてみましょう。

 これまでの経験の中で、努力して勉強しているにもかかわらず、結果が出にくい人がいると思っています。それは、「きれいにノートを作るタイプの人」です。

 小中学校の授業風景を思い出してください。

 まったく授業を聞いていない人、集中してきれいにノートを取る人、ボーッとして何を考えているかわからない人など、いろいろな種類の人がいたはずです。

 このうち、もっとも成績がいい人は、「ノートをきれいにまとめるタイプ」ではない人だったのではないでしょうか。

 ちなみに私はボーッとしている人で、授業をほぼ聞かず、ファミコンのことを考えたり、教科書の授業とは関係ない部分を読んだりして、よく怒られていました。

 誤解を恐れずに言えば、勉強のレベルにかかわらず、きれいなノートを作るのは時間のムダです。

 資格試験に限らず、教材は大きく分けて、テキスト、問題集、参考資料になります。テキストはその科目で学ぶべき内容を網羅的かつ体系的にまとめたものです。問題集は、実際に出題される問題や、予想問題をまとめたものです。参考資料は、テキストに記載するには分量が多い法律の条文や、絵画や古文書などの画像をまとめたものです。六法全書や日本史の資料集などが該当し、必要に応じて参照します。

 これまで書いたとおり、普通の人は1回触れただけの論点を理解することは絶対に不可能です。何度も何度も繰り返すことで、意味を少しずつ理解できるようになり、知識が自分のものになります。

 そのため、授業や講義など、特定の論点にはじめて触れる段階でノートを作っても、本当に必要な知識をピックアップすることはできません。

 たいていは、不必要な内容を取りこみ、必要な情報を取り漏らしてしまうでしょう。

 そもそも、覚えるべき内容はすべてテキストにまとめられています。

 ですから、改めてまとめの資料を作る意味はまったくありません。

 繰り返してテキストを読んでいると、最初は重要だと思わなかった部分の重要性に気づくこともありますし、逆に重要そうに見える部分があまり出題されないということに気づくこともあります。

 最初にきれいなノートを作って、それをもとに勉強していると、結局は情報の過不足が生じることになり、非効率です。

 効率を追求するなら、ノートは作成せず、インプットはテキストに一元化することが望ましいのです。

 このように、きれいなノートを作っても、知識を網羅的に得るためには、結局テキストを読むことになります。

 ノートを作る過程の意味は乏しいので、勉強方法としてはおすすめできません。

 勉強の目的は知識を得ることであり、きれいなノートを作成することではないからです。

 意味が乏しいことに時間をかけていると、非効率になり、結果が出なくなります。

ノートではなく、テキストを育てる
 効率的な教材の管理方法は、「テキストを育てる」ことにあります。

 具体的に説明すると、やるべきなのはテキストの重要な部分と重要でない部分を分け、読みやすいようにすることです。

 合格しようと思えば、テキストは何度も何度も読むことになります。

 当然、薄いほうが効率的です。

 問題集や過去問を繰り返すうちに、出題頻度が高い論点と、そうでない論点がわかるようになります。

 たとえば、公認会計士試験の試験範囲には、経理作業を行うにあたって必要な帳簿を作成する手続きなどをまとめた「帳簿組織」という論点があります。

 この部分について、近年の出題は少ないようで、今後の重要性も高くないでしょう。

 現代の経理実務は、パソコンで行うことが当たり前であり、手書きの帳簿を作っている会社は少ないです。

 とくに、新規開業する人が、手書きで経理作業をしたいとはほぼ思わないでしょう。

 試験で問うことの意味も薄いと判断できます。

 とはいえ、テキストには帳簿組織についてもある程度の記述があるので、同じ時間を使っていれば、時間の浪費になる可能性が高いです。

 出題可能性の低い部分については、かける時間を短くしていくべきです。

 一方で、過去問を解いていると、毎年のように出ている論点があることに気づきます。

 そのような論点を見つけたら、該当部分に線を引くなど、わかりやすいようにして、次回読んだ際に重要なことがわかるようにしましょう。

 未来の自分にメッセージを残すようなイメージです。

 一周して、もう一度戻ったときに、「ここは頻出だ」と気づければ、丁寧に読むようになり、理解が深まります。

育て方は「線を引くだけ」
 私の例で説明すると、テキストの一周目は、黒いボールペンを持ち、重要そうな部分に線を引くことに集中します。

 内容の理解は二の次で、覚えるべきポイントを目立つようにすることが目的です。

 二周目、三周目と、次第に線が増えていき、逆に真っ白な部分が残ります。

 三周ぐらいを終えると、重要な部分にマークがされるようになり、次回から注意すべき点が明らかになります。

 問題集も同じように、解答・解説部分で覚えるべきところが目立つようにするとよいでしょう。

 勉強に限らず、何かに取り組むときは、目的から逆算して方法を考えるべきです。

 プロセスを終えたときに得るものが大きくなるよう、効率を最大化する意識を常に持ちましょう。

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最終更新:4/25(木) 16:02

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