米国例外主義に欠陥の兆候、揺らぎ始める信頼-アムンディやピクテ

5/7 12:47 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 一部の投資家にとって、米国株の記録的な上昇を支えてきた米国例外主義は一巡した。

堅調な消費と人工知能(AI)への期待にもかかわらず、米国の経済成長率は昨四半期にほぼ2年ぶりの低水準に落ち込み、インフレ率は高止まりした。S&P500種株価指数は、一連の大幅な業績不振を受けて4月に月間ベースで下落。信頼感は揺らぎ始めている。

ピクテ・アセット・マネジメントやアムンディなどの逆張り投資家によれば、米国と米企業は金利が他の国・地域よりも高くてもアウトパフォームするだろうという米国例外主義に基づいた投資手法の欠陥が見え始めている。むしろ、バリュエーションやインフレ見通しがより穏やかな欧州やアジアに、より良い機会があるという。

ピクテのチーフストラテジスト、ルカ・パオリーニ氏は「米国例外主義は過大評価されている。成長期待は、米国については楽観的過ぎ、それ以外の国について悲観的過ぎる」と話した。

このような論調は、米国の高金利長期化が成長や企業の健全性に与える影響について、一部の投資家が抱いている根強い懸念を反映している。

ピクテの投資委員会の投票メンバーであるパオリーニ氏によると、同社はここ数週間、米国から欧州へ資金を再配分しているという。パオリーニ氏は、消費財や銀行といった国内志向のセクターや、コモディティーへのエクスポージャーのある英国株を有望視していると付け加えた。

欧州では成長が回復しており、欧州中央銀行(ECB)とイングランド銀行(英中銀)は米連邦準備制度理事会(FRB)より先に政策を緩和する可能性が指摘されている。

バンク・オブ・アメリカ(BofA)が先月行った調査によると、世界のファンドマネージャーは欧州株を2022年2月以降で最も大きくオーバーウエートにしていた。JPモルガン・チェースのアナリストは先月末、より魅力的なバリュエーションにより、米国に比べユーロ圏の株式のリスクリワード比率が改善する可能性があると指摘した。

このようなセンチメントの変化を示す兆候として、S&P500種は過去5四半期は欧州やアジアの主要株価指数を総じてアウトパフォームしていたが、3月末以降は出遅れている。

アムンディ・インベストメント・インスティテュートの責任者、モニカ・ディフェンド氏によると、同社はグローバル株式ポートフォリオで米国をアンダーウエートにしている。2兆1000億ドル(約325兆円)以上を運用する同社は、英国株をオーバーウエート、欧州株を中立としている。

ディフェンド氏は「米国のハイテクは割高で、景気減速局面で消費者志向のセクターには触れたくないだろう」と指摘。「ディスインフレの話は米国よりも欧州の方がはるかに信用できる」とも述べた。

また、ティー・ロウ・プライスは今年、米国で大きなポジションを持ちながらもアジア株投資を強化している。約1兆5000億ドルを運用する同社のグローバル株式ポートフォリオスペシャリスト、ラフル・ゴッシュ氏は、ドルベースの輸出国であるアジア諸国や「強い国内成長ストーリーを持つ国」は米経済の不透明感の中でアウトパフォームする可能性が高いと語った。

同社の「集中戦略」のファンドの幾つかはインドネシアと韓国の金融株とハイテク株へのエクスポージャーを高めており、分散投資ファンドは今年、中国株のポジションを増やしているとゴッシュ氏が述べた。

香港株はここ数週間、世界的な上昇を実現している。先月上昇した数少ない主要市場の一つであるインドは、インフラ投資と内需が景気を下支えし、史上最高値近辺での取引が続いている。

一方、ピクテとアムンディは円安が輸出企業を支援し、消費者物価の上昇が国内製造業を支援する日本をオーバーウエートにしている。

原題:Amundi, Pictet Lead Contrarian Wave to US Stock Exceptionalism(抜粋)

(c)2024 Bloomberg L.P.

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最終更新:5/7(火) 12:47

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