米GM、不振の中国事業で「7500億円超」損失計上へ 早期立て直しへ工場閉鎖やブランド統合検討
アメリカ自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)は12月4日、業績不振に陥っている中国事業を再構築するため50億ドル(約7518億円)超の特別損失を計上すると発表した。
中国の主力合弁会社である上汽GMの事業価値の見直しにともない、2024年10~12月期決算に26億~29億ドル(約3909億~4360億円)の減損損失を計上。加えて、工場閉鎖や製品ラインナップ再編などに必要なリストラ費用として約27億ドル(約4060億円)を計上するとした。
■米中関係悪化も痛手に
27年前の1997年、GMは国有自動車大手の上海汽車集団(上汽集団)との合弁で上汽GMを設立。ビュイック、シボレー、キャデラックの主要3ブランドを導入して幅広い製品ラインナップを構築し、中国の乗用車メーカーの販売ランキングで上位3社の一角を長年維持してきた。
ところが、数年前から中国市場のEV(電気自動車)シフトが加速する過程で、上汽GMはEVやPHV(プラグインハイブリッド車)の投入で中国メーカーに後れを取った。さらに、悪化の一途をたどっている米中関係も(アメリカ製品に対する消費者の購買意欲を低下させ)、GMの中国事業の足を引っ張る一因になった。
上汽GMの2023年の販売台数(メーカー出荷ベース)は100万1000台にとどまり、ピークの2017年(200万台)の半分に縮小。しかも、この数字は販売店に在庫を押し込むことで無理にかさ上げしたものだった。
2024年に入ると、販売店が抱える過剰在庫の弊害が深刻化し、上汽GMは在庫整理に着手せざるを得なくなった。その結果、2024年1月から11月までの(メーカー出荷ベースの)販売台数は37万1000台と、前年同期比約6割も落ち込んだ。
販売台数の激減により、GMの中国事業は赤字に転落。同社の決算報告書によれば、2024年1月から9月までの損失額は累計3億4700万ドル(約522億円)に上った。
■収益力の改善目指すが…
GM中国法人によれば、思い切った出荷調整が効を奏し、販売店の在庫はすでにピークの半分に減った。また、中国市場に投入したEVやPHVの販売台数が上向き、7~9月期に初めてエンジン車を上回るなど、ここにきて明るい兆しも現れているという。
財新記者の取材によれば、上汽GMではビュイックとシボレーのブランド統合も検討している。一連の事業再構築と合理化をテコに、GMは中国事業の収益力の早期改善を目指す。
とはいえ、その実現は容易ではない。現在の中国市場で外資系自動車メーカーはおしなべて苦戦しているが、中でも(GMやフォードなどの)アメリカ系ブランドの状況は厳しい。EVやPHVでは中国メーカー(の価格競争力)に歯が立たず、エンジン車の燃費性能では日系メーカーに及ばないからだ。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は12月5日
東洋経済オンライン
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最終更新:12/19(木) 17:02