明日の戦略-リスクオフムードが強まり大幅安、米CPIは流れを変える材料となるか
13日の日経平均は大幅続落。終値は654円安の38721円。米国株安を嫌気して下落スタート。開始直後には一時プラス圏に浮上したが、改めての売りに押されると、そこからは下値模索が続いた。高く始まったソフトバンクG<9984>が下げに転じたことや、東京エレクトロン<8035>が買われはしたものの場中に伸び悩んだことなど、寄与度の大きい銘柄の決算反応が案外であったことも、全体のセンチメントを悪化させた。前場のうちに節目の39000円を割り込むと、後場には下げ幅を700円超に広げて38600円台まで水準を切り下げる場面もあった。終盤にかけてはやや戻したものの、600円を超える下落で取引を終えた。
東証プライムの売買代金は概算で4兆9000億円。業種別では石油・石炭、小売、海運などが上昇した一方、精密機器、その他製品、輸送用機器などが下落した。MBOによる非公開化を検討するとの観測が報じられ、会社からも提案を受けているとのリリースが出てきたセブン&アイ・ホールディングス<3382>が後場急騰。半面、今期は営業赤字に転落する見込みとなったハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>がストップ安まで売り込まれた。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり587/値下がり1012。通期の利益見通し引き上げや増配を発表したENEOSが大幅上昇。上期が大幅増益となったカバーが商いを伴って急伸した。地合いの悪い中でも好材料のあった銘柄は跳ねており、上期営業黒字転換のシャープが13.8%高。期末配当見通しを大幅に引き上げた青山商事や大規模な自己株取得を発表したTHKは、場中に値が付かずストップ高比例配分となった。
一方、ソフトバンクGは決算を受けて買いが先行したものの、失速して2.9%安。主力どころでは日立、リクルート、任天堂などの下げが大きかった。ドル円は円安に振れたものの、トヨタ、ホンダ、スズキなど自動車株が全般軟調。通期の利益見通しを引き下げた住友鉱山が急落した。今期の減益見通しを提示したネクソンがプライムの値下がり率トップとなり、年初来安値を更新した。
日経平均は大幅安。大型株が全般弱く、印象の悪い下げとなった。39000円や25日線(38964円、13日時点)など節目がサポートになっておらず、チャートの形状も悪化。決算発表が終盤戦に差しかかったタイミングで40000円が遠くなってきたことから、目先は高くなる場面があれば戻り売りが上値を抑えるだろう。
本日の米国では10月の消費者物価指数(CPI)が発表される。米国では長期金利が上昇する中でも主要3指数が高値圏で推移しているが、本来、株式市場にとって金利は低い方が好ましい。物価指数が強いとインフレへの警戒が浮上してマーケットが混乱するリスクもあるだけに、結果が米長期金利の低下を促すことを期待したい。ただ、その場合、為替市場ではドル安(円高)が進む可能性があるし、金融株は買いづらくなる。半導体株などグロース色の強い銘柄に出直りの動きが見られるかが注目される。
トレーダーズ・ウェブ
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最終更新:11/13(水) 17:00