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【20歳台前半で持つのが普通に!】もはや保有はステータスではない、各社注力の「ゴールドカード」は“実利優先”の新時代に

4/8 5:02 配信

東洋経済オンライン

 4月からクレジットカードにある変化が起きた。自筆サインによる決済が原則できなくなったのだ。コロナ禍以来、サインではなく端末に差し込んで暗証番号を入力する方式が定着したとはいえ、少し前の世代にとっては残念なお知らせかもしれない。

■セレブを演出できたゴールドカードに変化が

 高級フレンチやホテルのバーで、お店の人にさりげなくクレジットカードを渡し、支払い伝票にサインをする――というのがセレブ族を演出できるシーンだったからだ。その際に手渡すカードは、むろん一般カードではない。ゴールドカード以上のステータスがなくては格好がつかない。

 しかし、今やゴールドカードの立ち位置は、バブル時代とは変容してしまった。かつてはカード会社から優良顧客として選ばれ、特別なインビテーションを受け取って初めて持つことができた。そのためには毎年多額の金額を使ってクレジットヒストリーを積み上げ、信用を獲得して――という手続きが必要だったが、もはや昔ばなしだ。

 それどころか、カード会社は「申し込むなら一般カードではなく、ゴールドカードにしましょう。こんなにオトクですよ」と自らアピール合戦を繰り広げている。ステータスのデフレ化、カジュアル化がはなはだしく、今さら羨ましがってくれないカードになってしまった。

 もちろん、国内や海外の空港ラウンジが利用できたり、ショッピング保険が充実していたり、国内外の旅行傷害保険が付帯されていたりと、一定の特別感があることもある。しかし、若者層にとっては「ちょっとポイント還元率がいいカード」くらいの印象らしい。

 NTTドコモが18〜29歳の男女を対象に実施した、「ゴールドカードに関する若者の意識調査」によると、クレジットカードを契約している男女のうちゴールドカード保有者は16.2%もいた。取得した年齢も平均22歳となり、全体の8割の人が24歳以下で持ち始めたというのだから、クレヒスをコツコツ積み上げ……という親世代は脱力だろう(若年化には特有の理由があるのだが、それは後ほど説明する)。

 ちなみにゴールドカードを持とうと思ったきっかけは、「ポイントやマイルがたまりやすいと思ったから」が27.6%、「一般カードにはない特典が魅力的だったから」が20.6%、「申し込むだけで大きな金額のポイントがもらえたから」が16.8%と、ステータス云々よりも直接的メリットが評価されている。

 むろん、年会費がかかることも織り込み済みで、そのコストを考慮しても「おトク」だと判断しているようだ。

■ゴールドカードを持たせてしまえばこっちのもの? 

 そんなレポートを出しながら、ドコモは2月27日から18〜29歳の若者向けに「dカード GOLD U」の提供をちゃっかり始めた(高校生は不可)。

 年会費として3300円かかるが、満22歳以下なら実質無料だ(年間30万円以上のショッピング利用がある、「eximo」「eximo ポイ活」「ahamo」を契約し、電話料金の支払い設定をした場合なども実質無料の対象。ただし初年度は支払いが発生、翌年の会費請求時に減算する方式)。

 通常のショッピング利用では1%還元とそれほどでもないが、さすがは携帯会社で電話料金への還元率が高い。ドコモ利用料金1000円(税抜き)ごとに5%還元される。さらに「ahamo」契約者にはデータ容量を毎月5GB進呈。

 空港ラウンジ無料などのゴールドカードらしい特典のほか、当カードで購入したケータイが偶然の事故で紛失・盗難または修理不能になった場合の補償も最高10万円ついている(購入後3年以内)。全生活がスマホの中にあると言ってもいい若者世代向けに練られたカードだろう。

 他社でも、若者世代向けにハードルを下げたゴールドカードを用意している。その理由は、言ってみれば「ゴールドカードを持たせてしまえば、あとはこっちのもの」という考えがあるからだろう。

 ステータスは低下する一方だと先に書いたが、やはりゴールドカードを手にすれば、他の一般カードより優先的に使いたくなるものだ。特有の特典も使い倒したい。自然とメインカードに躍り出る。年会費を無料にするためにせっせと使うケースもあれば、年会費がかかる分せっせと使って元を取ろうとするケースもある。どっちにしても、せっせと使ってくれるのだ。

 なお、若者向けゴールドカードは、保有できる年齢が決まっている。その年齢を超えた時は、それまでの利用状況に問題がないなら、通常のゴールドカードにスライドすることになるだろう。これまでゴールドカードを使ってきた利用者は、そこで一般カードに「格落ち」しようとは考えないものだ。

 年会費が上がっても、引き続きゴールドカード保有者でいようとする。つまり、20代のうちに青田買いしておけば、その後も長きにわたって優良な消費者を確保できる仕組みなのだ。「持たせてしまえばこっちのもの」が各社の本音だろう。

■メルカリのゴールドカードは販売分も利用実績に

 メルカリユーザーにとってメリットが大きい「メルカード」も、3月17日からゴールドカードの提供を開始した。メルカードは、メルカリの利用実績等をベースに利用限度額や還元率が決まるのが特徴だ。カード利用料金の支払い日を翌月の1日から末日まで自由に設定できるうえ、メルカリの売上金で返済することもできる。

 ただし、一般カードでは利用限度額が最大90万円で、もっと限度額を引き上げてほしいという声もあったそうだ。そこで、300万円まで限度額を引き上げ(実際には過去のメルカリ利用実績等を基に決定される)、空港ラウンジサービス・スマホ保険・旅行保険等を付帯したゴールドカードを発行することにした。

 メルカリらしい特徴はショッピング保険だ。メルカリで買った中古品の破損・故障・盗難も補償の対象になるという(ゴールドカードを使用して決済した場合)。

 さらにユニークなのは、カード保有者がメルカリで出品し販売した金額も、カードの年間利用額に含めるとした点だろう。従来のカード利用実績と言えば、「買った」金額のみを指していたが、「売った」金額も合計するというのが斬新だ。「メルカード ゴールド」では年間利用実績に応じて、通常還元率1%に加えて2500〜2万ポイントのボーナスポイントがもらえることになっている。

 その実績に「売った」を加えていいとなれば、売買を日常的に繰り返すヘビーユーザーにとっては朗報だろう。……いや、逆だ。このカードを選んだユーザーは、これまで以上にメルカリでの売買を増やそうとするはずだ。ちなみに、ゴールドカードの年間利用金額(販売含む)50万円以上で翌年度の年会費5000円が無料になる。やはり「持たせてしまえばこっちのもの」理論に見事にあてはまるのではないか。

■ゴールドカード×経済圏

 いわゆるポイント経済圏のカードも、当然ゴールドカードをアピールしている。「PayPayカード ゴールド」(年会費1万1000円)は、ソフトバンクおよびワイモバイルのスマホ通信料等のポイント還元率が破格の10%だ。また、Yahoo! ショッピングやLOHACOの買い物がいつでも+2%になる「LYPプレミアム」特典の対象でもある。

 「au PAY ゴールドカード」(年会費1万1000円)も、auとUQ mobileの携帯料金を支払いに使えば、ゴールド特典を加えて10%ポイント還元となるほか、au PAYへのオートチャージ設定、ゴールドカードの支払い先をauじぶん銀行に設定するなどで、還元率をどんどん上げられる。「楽天ゴールドカード」(年会費2200円)は、楽天市場でのポイントアップに加え、楽天証券でのクレカ積立の還元率や楽天銀行での預金金利が上がる。

 あえて年会費を設定することで、元を取るために経済圏での利用を増やし、特典を使い倒そうという動機付けにもなるだろう。支払う金額が増えれば増えるほど、もらえるポイントが多くなるのが、「還元率」という構造なのだから。

 原点に返れば、ゴールドカードとはたくさんお金を使ってくれる優良顧客だけが持てるカードだった。招待制は廃れたが、その本質は変わっていないのかもしれない。

東洋経済オンライン

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最終更新:4/8(火) 5:02

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