ウェンディーズ「640円モーニング」を見直した朝 マックの値上げ攻勢で、もはや全然高くない

3/30 5:02 配信

東洋経済オンライン

喫茶店やレストランが、朝の時間帯にドリンクやトーストなどのメニューを割安価格で提供するモーニングサービス。名古屋の喫茶店が始めた文化とされていますが、最近では大手外食チェーンも数多く提供しています。
そんなチェーン店の外食モーニングをこよなく愛するライター・ブロガー、大木奈ハル子さんがお届けする本連載。第70回となる今回、訪れたのは「ウェンディーズ」です。
 飲食チェーンがひそかにしのぎを削っているジャンル、それが「モーニング」です。朝の数時間だけ提供される限定メニューは、コスパ抜群かつ店の特色が強く表れ、どれも魅力にあふれています。

 そのなかでもとくに、朝限定メニューを積極的に展開しているのが、カフェチェーン、ファミレスチェーン、牛丼チェーン、ハンバーガーチェーンです。マクドナルドの朝食メニュー「朝マック」に至っては固有名詞としてもすでに定着しています。

 今回は、アメリカ発祥のハンバーガーチェーン「ウェンディーズ」の「ウェンディーズモーニング」をご紹介します。

■上陸から40年以上「ウェンディーズ」とは? 

 「ウェンディーズ」は、1980年にダイエー系列として日本に上陸しました。2002年にすき家やなか卯、ココスなどを手がけるゼンショーホールディングスへと売却。

 2010年には日本から全店舗が消滅するなど、紆余曲折を経て、2015年に「ウェンディーズ・ファーストキッチン」として再スタートし、関東エリア、関西エリアを中心に66店舗を展開しています。

■ウェンディーズモーニングはビッグボリュームなハンバーガーが勢揃い

 「ウェンディーズ」のモーニングメニューの販売時間は、開店から朝10時まで。ほとんどのハンバーガーチェーンが朝11時まで提供しているので、少し早い印象です。

 朝限定のハンバーガーメニューは5種類。

・B・E・L・T(ベーコンエッグレタストマト) 税込450円
・ブレックファーストベーコネーター 税込510円
・ソーセージエッグ&チーズサンド 税込390円
・ベーコンエッグ&チーズサンド 税込390円
・ブレックファーストサンド 税込450円

 ボリュームのあるハンバーガーというと、「バーガーキング」の専売特許というイメージがありますが、実は「ウェンディーズ」も負けてはいません。バンズの中に朝ごはんを詰め込んだような、食べ応えのある朝限定バーガーが揃っています。

 特に「ブレックファーストベーコネーター」はすごい。チーズ、ベーコン、目玉焼き、ベーコン、チーズ、ソーセージパティと、バンズにこれでもかというほど、こってりしたあれこれをはさみ、朝の胃袋に挑んでくるのです。

■朝限定メニューはプラスセットを利用することで、お得さの本領発揮

 単品価格は決して安くはありませんが、ここに「プラスセット」として、プラス税込110円でSサイズドリンクをセットする「コンビ」、プラス税込190円でSサイズドリンクとラウンドハッシュポテトをセットする「ハッシュセット」を組み合わせることで、モーニングメニューのお得さが発揮されます。

 「プラスセット」で選べるドリンクは、税込250円のレモネード、コーラなどの炭酸系ドリンクと、税込300円のコーヒー、紅茶、抹茶、ほうじ茶などから選べます。単品で注文すると税込380円するラテ系のドリンクも、プラス30円で注文可能です。

 単品価格と「プラスセット」の値段を比較すると、300円のドリンクで「コンビ」を注文すると190円値引きされ、「ハッシュセット」を注文すると300円値引きされる計算です。

 つまりは「ハッシュセット」は、ハンバーガーとラウンドハッシュポテトをオーダーしたら、ドリンクが無料で付いてきているようなもんです。

■B・E・L・Tバーガーのハッシュセット640円

 「B・E・L・T」はその名の如く、バンズの中にベーコンと目玉焼きとレタスとトマト、さらにとろけるチーズをはさんだ、ボリュームバーガーです。

 バンズはてっぺんに卵黄を塗って焼いた、つるぴかタイプのブリオッシュパンを使用。てっぺんの部分は香ばしく、生地はたっぷり空気を含んだサクッと軽い食感は、ウェンディーズならでは。

 ソースはこってりとしたマヨネーズ。酸味は控えめでコクがある、チューブタイプのマヨネーズとは一味違う、瓶入りタイプのアメリカンな味わいです。

 濃厚なハンバーガーを、さらにこってりさせてくれて、朝からガツンとくる食べ応え。チーズの塩気との相性もばっちりです。

 ベーコンはカリカリに焼いてあり、噛めば噛むほど旨みが口内に溢れます。トマトは厚切りで爽やかな酸味とみずみずしさで、バーガーを格上げしてくれます。

 ハンバーガーの具材に使用する目玉焼きは、厚みを持たせて焼いてあり、白身部分のプリっとした食感がたまりません。

■マグカップのドリンクと、一口サイズのハッシュポテト

 セットにしたドリンクは「ホットピーチティー」。ぽってりとした厚みのある陶器のマグカップで提供されました。手の中で収まりもよく、紙コップやメラミンカップでは味わえないほっこり感があります。

 ハンバーガーチェーンでフレーバーティーが飲めるのは珍しく、さらに追加料金なしで注文できる点も嬉しいポイントでした。三角ティーバッグで茶葉がゆっくり広がり、甘いピーチの香りが鼻腔をくすぐります。

 サイドメニューの「ラウンドハッシュポテト」は、一口サイズのハッシュポテトが3つセットになっています。狐色のカリカリこんがりな外側と、ホクホクしっとりな内側の歯ざわりのコントラストが楽しいスナックです。

 味付けは特になく、シンプル。でも、だからこそおいしい。厚みがあり芋感が強めの味わいです。油を吸い込んだ炭水化物の塊はなんとも罪深く、朝の五臓六腑に染み渡ります。

■バンズは2種類、パティは四角

 「ウェンディーズ」のハンバーガーのバンズは2種類。上記で紹介したブリオッシュパンのほかに、クイーンバンズというパンの中央に切り込みの入ったものがあります。

 モーニングメニューの「ソーセージエッグ&チーズサンド」は、クイーンバンズを使用していました。水分を多めに含んだしっとりとした口溶けのよいパンで、優しい甘さが特徴です。

 また、四角く厚みのあるビーフ100%のハンバーグパティが「ウェンディーズ」の象徴でもあるのですが、モーニング専用のソーセージパティも四角いパティを使用していました。ポークをベースにスパイスやハーブなどが利いたおしゃれな味わいです。

 「B・E・L・T」と比べると、地味な印象がありますが、実はぷりぷりソーセージに、目玉焼き、スライスチーズと、しっとりクイーンバンズ。実はなかなかどうして、食べ応えのあるハンバーガーでした。

■1年前は高いと思った価格が、今はそうでもないと感じる理由

 実は1年前から「ウェンディーズ」のモーニングの価格は変わっていません。

 筆者は、以前店に立ち寄った際に「ウェンディーズのモーニングのお値段、ちょっと高めだな」と感じたのですが、今回は「ウェンディーズのモーニング、このボリュームでこの価格なら、かなりお得だな」と感じました。

 コロナ禍の外食産業の売り上げ低迷や、近年の物価高騰のあおりをうけ、ハンバーガーにインフレの波が押し寄せる中、安いハンバーガーチェーン筆頭だった「マクドナルド」は、度重なる値上げを繰り返し、都心価格を導入しました。

 東京都在住で都心価格が適用される、我が家の最寄りの「マクドナルド」は、バーガーにドリンクMとハッシュポテトがセットになった朝マック「フィレオフィッシュセット」は、2023年1月に税込570円だったのが税込660円と90円値上がりし、「マックグリドルソーセージエッグセットは、税込540円だったのが税込620円と80円値上がりしています。

 今回食べた「B・E・L・Tバーガーのハッシュセット」は税込640円なので、ドリンクのサイズがマクドナルドのほうが大きいというのはありつつも、価格差はほぼなくなり、両者横並びになったという印象を持ちました。

 ここからは「安いマクドナルドと比べて、ちょっと高めのウェンディーズ」という、かつてのイメージは塗り替えられ、商品のおいしさや、店ごとのコンセプト、メニューの魅力など、中身で勝負する時代がやってくるのかもしれません。

 チェーン店のモーニングの食べ比べを愛する者としては、「そりゃあ、安いに越したことはないけれど、これはこれで面白いかもしれないな」と、感じた朝でした。

編集部注:本記事に登場するメニューの価格は、すべて取材時点のものです。昨今の円安、原材料高騰などの影響を受けて価格が改定されている可能性があります。また、店舗によってモーニングの値段・内容は異なる場合があります。

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最終更新:3/30(土) 6:48

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