“頭のいい人”はラーメンの感想を「やばい」では終わらせない…【中身のない答え】を卒業する2大原則
会社の会議などで、きちんと考えているつもりなのにいい意見が思い浮かばず、「なんで私は、ありきたりで普通な意見しか思いつかないんだろう」と悩むビジネスパーソンにとって、「大事なのは『思いつき』で話さない、『反応』をしないこと」と語るのは放送作家で戦略的PRコンサルタントの野呂エイシロウ氏。
そんな野呂氏が提唱する、課題解決のための「考え方のコツ」を、同氏の著書『道ばたの石ころ どうやって売るか? 頭のいい人がやっている「視点を変える」思考法』から、一部を抜粋・編集してお届けします。
■頭のいい人の感想は「やばい」では終わらない
私が、ある人気のラーメン屋に行った時の話です。
その日も満席に近い状況でした。私の席の近くに、若い男性客のグループが座っていて、みな美味しそうにラーメンをすすっています。そして、お互いに顔を見合わせながら、こんなことを言っていたのが聞こえてきました。
「やばいくらい、うまいね!」
「うますぎて、やばいね!」
何だか、それを聞いている私のほうが「これはやばいな」という気分になってしまいます。ぜんぜん美味しそうに聞こえない、美味しさがまったく伝わってこないからです。
せっかく友人同士で、美味しさを共有したいのであれば、もっと具体的に「何がどう美味しいのか」を話したほうがいいんじゃないかと思いました。
なぜ、美味しさが伝わらないのか。それは、ラーメンを口に含んだ時に思いついた感想しか言っていないからです。表現の仕方も「やばい」では中身の薄さが際立ってしまいます。さしずめ「ウスイケ」(薄い意見)といったところでしょうか。
中身のある意見を言おうと思えば、麺の食感、のどごし、スープのクリーミーさに視点を向けて話してみたり、過去に食べたラーメンと比較したりすれば、解像度も上がって、いろいろと「自分なりの」答えが見つかると思います。
それを意識するだけでも、美味しさがより伝わりやすくなると思いますが、もっと視点を変えればこんな言い方もできます。
「ラーメンは丼1杯のフルコース」
ラーメン評論家の大崎裕史さんの名言です。思えば、1杯の丼の中に、さまざまな食材がありますよね。最初に前菜として、上に載っている野菜を食べて、その後にスープ、メインディッシュは麺もしくはチャーシューだと考えれば、丼の中で1つのコース料理が完成されているわけです。
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これは、視野を広げて、ラーメンとフランス料理などと比較するから出てくるセリフです。「いやいや、食レポじゃあるまいし、別に『うまい』でいいじゃないか」。そう思うかもしれません。
たしかに、細かなことでいちいち目くじらを立てることもないのでしょう。ただ、私が心配なのは、こういう人は他の場面でも似たような感じなんじゃないかと、余計なお世話ながらそう思ってしまうのです。
■「この人、何も考えてないな」と思われる回答
「一事が万事」と言います。
例えば、仕事の打ち合わせで、上司の考えについて「どう思う?」と意見を聞かれた時も、「さすがです」「おっしゃる通りです」という回答しかできないのであれば、「この人、何も考えてないな」と思われても仕方ありません。
「私は会議でちゃんと自分の意見を言っているよ」とおっしゃる方のなかにも、正直、中身のない答えをしてしまっている人は、結構いるんじゃないでしょうか。
例えば、あなたの会社で「売り上げアップ」というテーマで打ち合わせをしたとします。そんな会議の場で、あなたに話が振られたら、どう答えますか。
ひと通り、やれることはやってきたし、新しい対策と言われても正直、なかなか思いつかない状況です。
「電話営業の件数をもっと増やします」
せいぜい、このくらいしか言うことがありません。他のメンバーからも、こんな意見が出ます。
「もう少し割引きをしてみたらどうでしょうか」
「SNSで情報発信してはどうですか」
「販促ミーティングを週1回行いましょう」
悪くはないですが、誰でも思いつきそうな意見ばかり。思いついたことをそのまま言っているという意味では、さっきのラーメンの「やばい」「うまい」と本質的にはたいして変わらないんじゃないでしょうか。
また、会議でのそうした意見に対して「SNSは流行ってるからいいよね」とか「ミーティングの回数が増えるなんて面倒だ」といった、これまた思いつきの「反応」で返事をするような会議では、課題解決につながらず、結果、時間のムダにもなります。
■「思いつき」だけを積み重ねても意味がない
大事なのは、「思いつき」で話さない、「反応」をしないこと。
この2大原則を守るだけでも会議がだいぶましになります。この2つをやめる代わりに、やってほしいのが「視点を変える」こと。
例えば、この会議では、「どうすれば、売り上げが上がるのか」という方法論ばかり話しています。しかし、視点を変えて、課題を俯瞰してみれば「そもそも、なぜ売れないのか?」という疑問が出てくるはずです。
ある企業は、「そもそも、なぜ売れないのか?」という疑問に対して、視点を自分たちの対策ではなく、お客さんのほうに向けました。
「いっそ、お客さんになんで自分たちの商品を買ってくれないのか聞いてみよう」とインタビューを実施したのです。
すると、自分たちが強みだと思っていたスペックと、お客さんが求めているスペックにギャップがあることが分かりました。そこで、さっそくプレゼン資料をお客さんのニーズを盛り込んだ内容に改善したところ、以前よりもぐんと売り上げが上がったのだそうです。
■「頭の良さ」とは学歴やIQのことではない
こういう意見が、常に言えるようになるといいですよね。
けど、いつもきちんと考えているつもりなのにいい意見が思い浮かばず、「なんで私は、ありきたりで普通な意見しか思いつかないんだろう」「もっとズバッと解決につながるようなことが言えたらいいのに」と悩んだ経験があるのではないでしょうか。
他にも、
「いつも、誰かの意見に賛同するだけで、自分の意見が出てこない」
「意見を求められると、思いつかずにフリーズしてしまう」
「テーマに対して調べたことは言えるけど、『じゃあどうしたらいいのか』が分からない」
「具体的な対策が思い浮かばず、結論として『頑張ります』という趣旨のことしか言えない」
こんな悩みはあるあるですよね。けど、あなたの周囲にも、ありきたりではないユニークで、ハッとする意見を言える人が、いるんじゃないでしょうか。例えば、
・会議の席で少々のムチャ振りに対しても、すぐに上手い切り返しができる
・商談の席でも気の利いたことを言って、お客さんの心をつかむ
・企画書の中身も、ありがちではなくキラリと光るオリジナリティーがある
その人は、あなただけでなく、きっと周囲からも「すごい人」「面白い人」「頭がいい人」と思われていることでしょう。
そんな人を見て、あなたはどう思いますか。
「そういう人は、並の人とは違って頭のいい人なんです」
「きっと頭の回転が速いんだよ」
「クリエイティブな才能があるのかも」
では、その人は生まれつきすごい人だから言えるのでしょうか。あなたはずっとその人にかなわないのでしょうか。
答えはNOです。
大事なのは、考え方の「コツ」。それさえつかめば、あなたも自分なりのユニークな意見が言えて、面白く、課題解決につながるようなアイデアが浮かぶようになります。
■「視点を変える」という思考法を身につける
普通の意見というのは、言い換えれば「誰でも思いつくこと」です。
上司から「〇〇について考えてみて」と振られて、少し考えてみて、最初にパッと思いつくことがあります。そこで考えが止まってしまえば、当然、ありきたりな意見しか言えません。
あなたがパッと思いつくことは、他の人もだいたい同じことを思いついています。本当はそこからがスタートで、その後どう考えを展開させていくかが重要なのに、ほとんどの人はそこから先ができていません。
最初に思いついたこと、あとはせいぜい2番目、3番目に思いついたところで「これ以上、何も思いつかない」と頭を抱えていませんか。
それでは、どうすれば思いつきから1歩先に進めるのか。そのやり方こそ、「視点を変える」ということです。
ユニークな意見、面白い意見、他の人にはない独創的なアイデアを言える人たちに共通しているのは、「視点を変える」という思考法を身につけているということです。
私は、この思考法を身につけている人が、いわゆる「頭がいい」と言われる人なんじゃないかと思っています。
東洋経済オンライン
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最終更新:4/24(木) 23:18