FRB当局者、利下げ急ぐ必要ないと強調-地区連銀総裁が相次ぎ発言

4/13 3:03 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 米ボストン連銀のコリンズ総裁やサンフランシスコ連銀のデーリー総裁ら12日に発言した米金融当局者は、インフレ高止まりや底堅い労働市場に言及し、利下げを急ぐ必要性はないと強調した。

このほか、アトランタ連銀のボスティック総裁は年末にかけて年内に1回の利下げがあるとの見通しを重ねて示し、カンザスシティー連銀のシュミッド総裁は利下げへの「忍耐強い」姿勢が望ましいと述べた。

デーリー総裁はサンフランシスコでのイベントで、「私見では金利調整の緊急性は一切ない」とし、「政策は現在、良い位置にあり、利下げを検討する前に、インフレ率が当局の物価安定の定義である2%に低下する軌道にあると十分に確信する必要がある」と語った。

シュミッド総裁も、先手を打って政策を調整するよりも、金融当局として利下げの前にはインフレ率が2%に回帰するとの「明確で説得力ある」証拠を待つべきだとの考えを示した。

シュミッド氏はカンザス州オーバーランドパークで講演し、「インフレ率が目標を上回って推移し、経済成長が引き続き勢いを示し、さまざまな資産市場で価格が高水準にある中で、現在の金融政策のスタンスは適切だ」とコメントした。

さらに、このところの物価上昇圧力はタイトな労働市場に支えられたサービスセクターに集中しているとし、金融当局が物価安定を達成するには労働力需給の改善が必要となる公算が大きいと論じた。

パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長ら当局者は、インフレ率が2%の当局目標に向けて持続的に鈍化していると十分確信できるまで、利下げ開始は望まないと表明。主要政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを昨年7月以降、二十数年ぶりの高水準に据え置いている。

失望すべきデータ

最近発表されたインフレ指標は期待された数値を上回っている。3月の消費者物価指数(CPI)のうち、変動の激しい食品とエネルギーを除くコア指数は前月比0.4%上昇、前年同月比3.8%上昇と、2月と同じ伸びとなった。

「インフレ率が持続的に2%に戻る軌道にあるとの明確で説得力ある証拠を待って、金融当局として忍耐強くあるべきだとの私の考えをこうした最近のデータは裏付けている」とシュミッド氏は語った。

投資家の間では、9月を皮切りとした年内2回だけの利下げ見通しが広がっている。

コリンズ氏は、現在の経済環境の下では、利下げ回数は3回でなく2回となる公算が大きいと発言。シカゴ連銀のグールズビー総裁は、金融当局が2%の目標を達成するには住宅部門のインフレ鈍化が必要だと繰り返した。

米金融当局がインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)価格指数は、2月の総合価格指数が前年同月比2.5%上昇となった。3月のPCE価格指数は今月26日に発表される。

シュミッド氏は講演後の質疑応答で、金利がより長くより高い水準にとどまると「信じる理由」があると指摘。「物価抑制を成し遂げなければならない」とし、「現行の政策がシステムを通じて作用するようにする必要がある」と答えた。

バランスシート

シュミッド氏はまた、米金融当局のバランスシートについて、保有債券の平均残存期間を短くし、規模を「一段と小さく」するのが望ましいと述べ、主に米国債で構成されるようにしたい考えを示した。

「バランスシートは依然として大きく、長期金利に引き続き下降圧力となっている」と述べた上で、「インフレ率が目標を上回り、労働市場がタイトで、株価が歴史的な高バリュエーションとなっていることを踏まえれば、経済と金融市場にはもはや当局の大きなバランスシートの支援は必要ない」と話した。

原題:Chorus of Fed Officials Emphasizes No Urgency to Lower Rates(抜粋)

--取材協力:Catarina Saraiva、Alex Harris、Molly Smith、Vince Golle.

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最終更新:4/13(土) 10:35

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